工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

拭漆栃座卓

茶室
確たる記憶は無いものの、Webサイトを公開した時には既に同種のものを[Gallery]に納めていたはず。(こちら)
つまり工房 悠の初期からの定番的なデザイン。
今回のものは、M邸、新築に伴い、茶室を設えるのでそこで使用する座卓を制作して欲しいとの依頼に応えたもの。
Webサイトの[Gallery]に納めていたデザインを指定してくれたので、材料だけを別途吟味し、拭漆が映える栃での制作となった。
サイズはこの茶室の押し入れに収まる大きさということで、1,500w 750d。
(本来は茶室としての室礼〔しつらい〕であるので、この座卓は無用)
デザイン、および構成はここで特記するほどのものでもない、食卓テーブルなどでも用いられる工房 悠の定型的なもの。
畳摺りに2本の曲面形成による脚部を介し、甲板吸い付き桟に結合される。
仕口としては真ん中に太めのホゾを指し、両外側も“抱かせホゾ”として堅固に納める
この脚部を貫で固めるが、畳摺りを貫通させるクサビ止めの構造とし、また吸い付き桟を送り寄せ蟻とすることで、ノックダウン対応とする。


脚部の曲面成形は、甲板妻手側を座位置とする場合にも足捌きができるようにとの配慮であることは言うまでもないが、トータルなデザインとして考えたものでもあり、顧客もそうしたことを評価しての指定であったと思う。
拭漆は生地着色など全くせず、生漆を愚直に10数回塗り重ねた本道をいくもの。
お茶室という格式のある部屋の調度品として制作されたものだが、家主には喜んでいただけたようだ。
このお茶室も施主としてずいぶんご苦労があったようで、主要な木材(床柱、床框などの)は施主自身が探してこられたそうだ。
因みに左隅にちらりと見える給仕口の戸は工房 悠の制作。本来は太鼓張りの襖とするが、施主のたっての依頼で秋田杉一枚板の板戸(水屋側は舞良戸)とした。
拭漆栃座卓

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