OLPCという“たくらみ”(ウルグアイ全小学生に配布完了)
ちょっと旧聞になってしまったが、先月OLPCがウルグアイの全小学生に配布完了、というニュースが来ていた。(BBC)
決して順調にこのプロジェクトが進行しているというわけでもないと思うが、成果を上げつつあることの1つの指標とも言えるニュースであり、喜びたい。
以前からこうしたことに関心のある人はスルーしていただくとして、簡単に基本的なところを説明すると‥‥、
まずこの《OLPC》というプロジェクトだが、「One Laptop per Child」の頭文字。
発展途上国の全ての子どもに1台のノートパソコンを ! というNPOのプロジェクト。
最初は“100ドルパソコン”などとセンセーショナルな話題として提供されたもので、IT一般に興味のある人は覚えているだろう。
MITのニコラス・ネグロポンテ氏が起こしたNPOだ。
さて、このBBCのニュースでは南米ウルグアイでは、この2年間で362,000人の生徒と18,000人の教員にこのコンピューター(ラップトップ)「XO」が渡されたことを伝えている。
政府の教育予算の5%にあたる資金の投下だそうだ。
1台あたり100ドルで済んだというわけではなく、結局260ドル掛かったとのことだが、これはただ「XO」マシーンの費用というのではなく、ネット接続などの環境整備、および維持管理、教師のトレーニングなどの費用を含んだパッケージでのもの。
これが意味するのはつまりただ途上国への“パソコンの施し”などというのではなく、「デジタル社会と知識の教育のあいだのギャップを埋める試みとしてのプログラム」だというのである。
この《OLPC》プロジェクトに関わる情報は今回のウルグアイでの朗報に限らず何故なのか日本のメディアは全くといって良いほどに伝えてこなかったようなのだが、英国BBCを開いてOLPCでサイト内検索掛ければ、時系列的に追っていることが分かるはず。
参加国は東南アジア各国、南米、アフリカ諸国など
このXOのOSはLinuxベースで、発展途上国の過酷な環境にも破損しないような堅牢な作りで、かつクールなデザイン。ということだが、まだまだ価格も含めて進化の途上、という側面もあるようだ。(その堅牢性は*参照でLinkしたビデオのネグロポンテ氏のパフォーマンスで確認できるね)
ところでこのOLPCというプロジェクト、必ずしも思ったように普及していないというのは一体何が障害になっているのか。
- 昨年来の金融危機からの影響を受けた受け入れ先国の調達資金の問題
- PC価格の全般的低廉化(ネットブックなどの普及)によって、OLPC・XOそのものの低価格イメージが損なわれている
- OSがLinuxベースでWindows OSではないことへの懸念
- NPO創設時の会員だったインテルが離脱した(2008/01)
などが上げられるのだろうが、このOLPCは低開発国の児童への教育プログラムとしては画期的な理念であり、国連開発計画(UNDP)も支援を表明しており、ぜひ進めてもらいたい。
確かにまだまだ課題は多いのだろうが、その志は高く買いたいと思う。
まずWindows不採用への懸念は旧くさい概念でしかないだろう。
今やオープンソースとフリーソフトウェアへの志向、あるいはクァッドコンピューティングの時代であって、MS依存の既成のシステムに拘泥することはない。
電力供給が望めない場所でも、ヨーヨーのような簡易な発電機で電源供給可能のようだし、Wi-Fi搭載で次の記事のように無線LANからネットへとアクセスできる環境は、子供達の目と頭脳を世界へと拡げ、夢がふくらむきっかけになっていくだろう。(参照)
低開発国におけるデジタルデバイスというものは解消されねばならない。
軍事独裁の国々、植民地国家などからの解放は、やはり正しい情報の取得というものが有力な武器となることは歴史が教えている。
これからも注目していきたいプロジェクトだね。
公式サイトに詳しいので、BBCの記事とともに要チェック !
*参照
■ 公式サイト
■ BBC 「Negroponte on the small laptop」
ネグロポンテ氏の解説ビデオ(ちょっとダウンロードが重く、最初CMが入る)
■ AFP BB News 関連検索
■ YouTube J・レノンによるCM