工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

2010年度の美術展 Pick up !

サルガド昨年末の東京都写真美術館での《木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし》展の観覧の際、その1つ前の企画展《セバスチャン・サルガド アフリカ》展の図録を注文していたのが届いた。
あのときは終了したばかりだったのに、図録は完売し、あらためて増刷する予定とのことで頼んでおいたもの。
版が小さいうえ、1頁に2枚の作品という構成であるために喚起力に欠ける。
やはりオリジナルプリントを観なければダメだと悟った。
今は高価な美術書を求めなくともかなりの程度で高画質のプリントをWebから探し出すこともできるだろうが、やはり国内での閲覧の機会があれば出かけなければならないということだね。
怠惰は精神の摩耗、欲望からの逃避、老化への道を掃き清めるだけ ?
今年もいくつか観ておきたい美術展覧会が盛りだくさん。
ただ静岡という地勢は、大都市から離れ、文化的には孤島のような感じさえあるため、必然的に美術展へのアクセスには東京都内、名古屋へと足を運ばねばならず、業務との関わり、繁忙時期との調整など、いくつかのハードルを越えてのものとなる。
とりあえず、以下に挙げる企画展のいくつかは逃したくないと考えているが、さて…。


エミール・ガレの生きた時代―近代生活のエレガンス

  • 目黒区美術館
  • 04/17〜05/30
  • 黒壁美術館(滋賀県長浜市)のコレクションの中から、貴重な作品を選んで出品。
    ガラスや陶器とともに家具も展示。
    国立近代美術館、工芸館、あるいは諏訪の北澤美術館などで何度も観ているものだが、ウォールナット、マホガニーなどで精緻に作られたアールヌーボーの家具は必見。
  • 「ガレ生誕記念ナイトツアー」 05/04
    ガレの誕生日にちなんで、閉館後の美術館にて、実際の家具作品と共に空間を体験するツアー。通常の展示では触ることの出来ない椅子に実際に座ったり、飾り棚の扉の中を見るなど、「動態展示」によって作品と空間を体験。
  • 公式Webサイト

ボストン美術館展 

  • 森アーツセンターギャラリー
  • 04/17〜06/20
  • 世界屈指の美の殿堂、ボストン美術館が誇るヨーロッパ絵画コレクションから、16〜20世紀の選りすぐりの名画80点。
    エル・グレコ、ベラスケス、ヴァン・ダイク、レンブラント、コンスタブル、コロー、ミレー、マネ、モネ、ドガ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ、マティス
  • 公式Webサイト

ルーシー・リー展

  • 国立新美術館 企画展示室1E
  • 04/28〜06/21
  • ルーシー・リーの創作の軌跡を、国内外の優れたコレクションから約250点でたどる。没後初の本格的な回顧展。
  • 記念講演会
    「ルーシー・リーの思い出」 04/29
    アニータ・ベッソン氏(ロンドン、ギャラリー・ベッソン代表)、金子賢治(東京国立近代美術館工芸課長)
  • 「工芸とモダンデザイン:ルーシー・リーの時代」 05/16
    金子賢治(東京国立近代美術館工芸課長)
  • 「ルーシー・リーの制作技法について」 05/30
    小山耕一氏(陶芸家)
  • 公式Webサイト

FIFA W杯

  • 06/11〜07/11
  • おっとFIFA、ワールドカップだった。ヨハネスブルグまでは足は運べないのでTV観戦になるね。大いに楽しみたい。
    スポーツもこれほどのスーパースターが集い、くり広げられる戦い、パフォーマンスはまさしくアートだ。

ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新  

  • パナソニック電工 汐留ミュージアム
  • 06/20〜09/05
  • ハンス・コパー(1920-1981)は20世紀イギリス陶芸界の巨匠の一人。
    ルーシー・リーとの出会いを通じて陶芸家として頭角を現したコパーは、独特の形と表面の質感を持つ彫刻的な作風を完成させる。初期から最晩年まで、その芸術の全貌を紹介する回顧展。

シャガール-ロシア・アバンギャルドとの出会い 〜交錯する夢と前衛〜

  • 東京藝術大学大学美術館
  • 07/03〜10/11
  • フランス、ポンピドー・センター所蔵のシャガールの代表作が同時代のロシア・アヴァンギャルド作家の名品とともに一挙来日
  • 公式Webサイト

印象派とモダンアート    

  • サントリーミュジアム 天保山
  • 07/10〜09/20
  • モダンアートに重要な位置を占める作家たちの名品を紹介し、その魅力に迫る
    サントリーコレクションに、国内の有名美術館や所蔵家から借用した名品を加えたおよそ100点
  • ※注、このサントリーミュジアム 天保山は2010年12月末をもって休館

バウハウス・テイスト-バウハウス・キッチン  

  • パナソニック電工 汐留ミュージアム
  • 09/18〜12/12
  • 近代社会のなかの新しい女性像と、彼女達のために現れた生活の新しいデザインを、バウハウスで生まれたキッチンに象徴させるとともに、色々な視点で再確認。

週末恒例のYouTube貼り付けは坂本龍一の「エナジー・フロー」を高橋アキで

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • サルガドさんの図録、私も手に入れました。
    NHKの新日曜美術館を見て、欲しくなり
    オーダー。
    その後、アマゾンで、写真集も買いました。
    Workers: An Archaeology of the Industrial Age
    とても、すごい迫力で、涙がでました。

  • kentさんもはまってしまいましたか。
    (>新日曜美術館は視ていませんでしたが、図録完売したのも、その影響もあったのかな)
    サルガド氏の写真は被写体の苦悩を声高に訴えるのではなく、静謐な叙情性の中に、深くて強い力がありますね。
    同時代に生きる者としての強い自覚があったればこそなのでしょうか。
    kentさんもまたその系譜にあるというわけですよね。

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