工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iWoodという“工芸品”(補記)

iWood3しつこくも第2弾。

とはいっても、昨日の記事の追記を少し詳述させていただくだけだが、しかしここにMiniot社の、iWood品質への強いこだわりを見ることができる。

電源スイッチ、およびボリュームコントロール・シーソースイッチ部への極限的なまでの品質追求などがそれである。
(昨夜、記事を上げた後、関連する記事のBlogを狩猟してみたのだが、一様にすばらしい品質であることを讃えながらも、こうしたディテールへの言及はほとんど無いようなので、少し木について語ることのできる者がネット上に書き置いておくのも無駄ではないと思ったからね)

〈音量ボリュームのシーソー〉
画像を参照いただきながら解説を試みよう。

まず最初はシーソー機構による音量ボリューム。
ご覧のように左右の輪郭部は完全にカットされているが、中央は浅い切り込みがあるだけ(図中、矢印)。
これによりシーソーとして機能。木の柔軟性、復元性を活かしたボリュームコントロールを可能にしている。

〈電源スイッチ〉
音量ボリューム機構と似ているが、こちらは向かって右が支点(図中、矢印)、左の輪郭部が切り抜かれ、上下動を可能としている(左側を押すことでON、OFF切り替える)。
ただここは木口であるので、恐らく自然のままとは考えにくい。確かに共木の木口であることは認められるが、何らかの補強が施されているのだろう。

〈Dockコネクタ部〉
底のDockコネクタ部だが、左右の孔はマイク。
木口になるが、その加工仕上げ精度は高い

〈カバー接合部〉
iWood4
前回既に書いたように、ここは凹凸の刻みでロックされる機構となっている。

この接合ロック機構の保持は経年変化によりどの程度の信頼性が維持できるのか心許ないが、しかし本体とカバーはかなりタイトに収まっているので、外れてしまうということにはならないだろう。

〈パーソナルメッセージ刻印〉
文字数の制限があるが、カスタマーが任意にメッセージを付加することができる。
このレーザー彫刻によるパーソナルメッセージ刻印は無料サービスだが、大きなロゴ、モノグラムなども有料で受けている。

〈メーカー ロゴ刻印〉

裏蓋下部にはメーカー ロゴが刻印。全てにおいてクールだね。

さてざっと概観してきたが、技術的に注目すべきはレーザー彫刻、レーザー切削の応用と、その切削加工、仕上げ精度の高さが1つ。

あとは本体が入る内部の彫り込みはどのようにして彫り込まれたのか。
専用の刃物を装着してのNC制御による彫刻ということであろうけれど‥‥。
ボクはこの辺りは素人なので、解説の資格がない。

以上、Miniot社への礼賛記事となてしまったが、木を素材とする仕事をさせていただいて、時折このような思いもかけない技法と、クールなセンスを見せつけられることがあり、やられた〜、とばかりに驚かしてくれるのが嬉しい。

まだまだ木というものの可能性というものを教えられるiWoodである。

そうか、考えてみればオランダは木靴の伝統的文化があるよね。
してみれば、これもiPhoneの木靴と見れば分かりやすいか。
オランダの木靴職人にしてみれば、得意分野?

何やら変な具合の結末になってしまったが、落とすと間違いなく破損するだろうから、この上からプラスチックのカバーで覆ってしまおうか(爆)。

ところで今日は二十四節気の“雨水”。次の“啓蟄”へ向けての春への胎動ということだが、明日は全国的に大荒れとの予報。
北国では大雪の警戒が必要。
当地域では大雨とのこと、留意されたい。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 風車と木靴の伝統を持つ国、オランダですが
    ここ数年、自由な遊び心がある挑戦的なデザインを生み出す国、
    としても注目を集めている様です。
    ゴッホとフェルメールのフランドル絵画、
    ブルーナにリートフェルト、
    クラシック、だけどポップ。
    麻薬と売春が合法なのは引きますが 大好きな国です。
    見れば見る程 スゴイですね、iWood。

  • 欧州フェチのサワノさん、いくつかオランダを紹介いただきましたが、スイーツはどんなん?
    ボクの場合はグリーンボトルのハイネケンに代表されるビールですかね。
    >売春が合法
    ウ〜ム、実質的に売春が野放しにされ、あるいは性犯罪が絶えない日本と、国家による管理売春のどちらが良いのかは議論が分かれるよね。オランダではその結果性感染症が低下したと評価する声も少ないと言うからね。
    男女関係における真に解放された交歓と、共同体の中でのカップルの在りようの受容のされ方は時に矛盾をきたすことは避けがたいものがある。
    ま、いずれにしろカネを介在させての関係性は倫理的に良くないことだけは明らかですね。
    主題と異なったテーマに逸らせてしまい、スミマセン。

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