工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

《小型ノギス》木工加工向けのカスタマイズ

ノギスの先端・ジョーのカスタマイズ化

木工作業における小型ノギスですが、使い始める前のカスタム化について少し触れておきましょう。
小型ノギスを木工加工作業で用いる場合、買い求めた時の状態では使い勝手は良くありません。

木工作業における小型ノギスの用途も様々です。
その中でも部材断面の寸法を計測するケースが多いと思いますが、次いで多い測定対象は枘加工での枘の寸法ではないでしょうか。

そこでここでは枘の寸法を計測する際のノギスについて考えて見たいと思います。

丸鋸昇降盤での枘加工のような事例では、カットした鋸のアサリ部位にノギスのジョーを挿入し、その厚み、幅などを計測することがよくあると思います。

枘を加工し終えれば、厚みも幅も容易に測定できますが、加工途上では鋸を入れたアサリ幅の溝(2.2〜3.0mm)があるだけで、ここにノギスを挿入して計測しようとしても、そのままではノギスのジョー先端はアサリ溝幅より大きいために挿入できません。

そこでこの丸鋸による切削で付けられた溝に挿入可能なところまでジョー先端を切除せねばなりません。

ただ、この2.2〜3.0mmという数値ですが、ノギス・ジョーの強度から考えればかなり危うい細さですので、安易にその数値まで削り込むわけにはいきません。

挿入する深さは、ジョー先端が計測対象に正しく接すれば良いだけですので、3〜5mmほども挿入できる程度で構わず、その条件を満たす程度の切削量にします。決してノギスの本来の物理的強度を劣化させるほどのいじくりをしてはいけません。

グラインダー切削について

このカスタム加工作業はグラインダーで行いますが、グラインダーの砥石の番手にもよるものの、強く押しつけますと焼きが戻り強度が大きく劣化してしまいますので、赤らめないようゆっくりとやりましょう。

なお、こうした作業のグラインダーですが、回転数は3,400rpm あたりが一般的だろうと思いますが、鉋の刃などの炭素工具鋼では回転数が高すぎますし、ノギスのようなステンレスであっても、こうした繊細な切削加工では低速で行うのが賢明です。
半減の1,800rpm ほどに落として挑みましょう。

なおグラインダーの低速化ですが、専用のスピードコントローラーで制御する方法の他、本体そのものの仕様が木工向けの低速仕様になっているものもあります。
ただ残念ながら国内では見あたりません。
米国では多様に市場展開されていますので参照してみてください。(画像のものはその一例です。:RIKON

hr

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