ラミネート トリマー Porter Cable〈PCE6435〉
トリマー、Porter Cable〈PCE6435〉を導入しました。今日はその紹介です。
前回、前々回記事で検証した通り、国内で販売されているリョービ〈TRE-60V〉と瓜二つの機種です。
トリマーとしては、私はこれまでBosch2機種、マキタ1機種、リョウビ2機種などを使ってきたわけですが、前回検証したように、〈PCE6435〉は類種を越える性能と使い勝手を有する機種とみましたので、迷うこと無く購入に踏み切りました。
もちろんリョービ〈TRE-60V〉でも良かったのですが、あえてこの機種と瓜二つの「原器」とでも言うべきものであるPorter Cable社に敬意を表する意味合いもあったことは書き記しておきましょう。
ただこの機種の場合、ベース高さ調整リングがインチ仕様であり、同様にコレットが当然にもインチ仕様であるわけですが、コレットに関してはリョービのコレットと互換性があるだろうと勝手に決めつけ、また調整リングの寸法表記に関しては適宜換算すれば構わないという判断です。
それらが例え間違っていたとしても、何とでもなるだろうというオポチュニズム的判断(=甘い判断)からですね。
その結果については後段に。
では少し項目ごと、具体的に見ていきます。
駆動モーター
同クラス類種では最もパワーを吐き出す5.6A可変速のモーターですが、
電子制御搭載のモーターですので、スイッチ駆動後、スムースな起ち上がりはもちろんのこと、被切削物による負荷の変動にも安定した回転、かなり静粛な駆動音と言えます。
このモーター、可変速(16,000〜31,000 rpm)の機能を搭載していますが、これまで国内メーカーのものでは無かったようで(海外製品ではBoschのトリマーなどにも搭載されていました)、リョービ〈TRE-60V〉は初の機能ということになるようです。
本体とベースの結合
本体とベースの固定は、シーソー式のレバーのわずかに数度の角度の操作で結合ー開放します。
この辺りは同じレバー方式のDeWALT 〈DWP611〉では大きく半回転させる方式と較べ、より進化していると思われます。
この簡便な締め付け方式で緩む心配はないのかと気になりますが、たぶん問題無さそうです。
リング スクリュー回転によるベース高さ調整
これまで数回にわたり縷々触れてきたように、PorterCable社固有の高さ調整方式である、調整リングをスパイラルに切り込まれた溝に沿わせ回転させることで、ベース高さを無段階に調整させる機構が使われており、類種トリマーには無い特有のシステムです(PorterCable社の元々のルーターではベース側にスパイラル溝が切られているのに対し、Dewalt〈DWP611〉や、この〈PCE6435〉では本体ハウジング側に溝が切られているという違いがある)。
これは決して複雑な機構では無くシンプルなものですが、とても優れた機構と言えるでしょう。
他機種においてもスクリューでの調整機構を持つものは多いものの、本体ハウジングとベースの関係性が常に真直で結合されるPorterCable方式とは精度において大きく異なるもので、全く独自の機構と言って良いでしょう。
詳しくは分かりませんが、国際的な特許なのでは無いでしょうか。
バランス
やや頭でっかちの形状ですが、日本の成年男子の片手でしっかり握れ、重量バランスも良く、操作性は悪く無いと思います。
また以前のリョービのトリマーなどでは頭から電源コードが出る構造でしたが、これは頭上はフラットで刃物交換等の作業が安定的な姿勢で行うことができ、ポイント高いです。
昨今の多くのトリマーの傾向ではありますけどね。
また、この刃物交換の場合、スイッチ機構がこの頭の脇にレイアウトされ、ONの状態では頭から少し飛び出す恰好であるために、このまま頭を下に作業台などに置けば、必然的にスイッチ部分が倒れ、強制的にOFFになるという安全対策にも貢献する構造となっています。
因みに電源コードですが、過度に太く、本体のコンパクトさを阻害する感じがします(リョービの機種の場合は不明)。
(この交換作業はやや難儀を極めました。ハウジング内部は実にタイトなレイアウトです。全くお薦めしません。当然にも保証対象外になりますしね)
D型ベース
リョービは四角いベースが標準のようで、D型ベースはオプションで展開されているようですが、この機種はD型ベースが標準です。
トリミング作業の場合、このD型ベースの方が操作性が良いと思います。
LED照明
LED照明は今や電動工具では標準的な装備になりつつあります。これが搭載されないようでは市場から見向きもされないのではと思わされるほど。
加工物に対する刃物の位置の視認性は大変重要な要素です。
Dewalt の〈DWP611〉はツインのLEDが搭載されていますが、こちらは1灯。
集塵アタッチメント
リョービは集塵アタッチメントもオプション展開されているようですが、たぶん、これを求めれば、ジャストフィットするはずです。
しかし、私の使用環境ではあまり必要とされず、導入予定はありません。
コレット問題
さて、問題のコレットですが、標準添付のものは当然にも1/4インチ。リョービから6mm用のコレットを購入しようと考えたものの、どこの販売店(販売サイト)も商品はリストされているものの、在庫無し、入荷予定不明、とのこと。
やむを得ず、死蔵しているリョービのトリマーから取り外し転用する事に。
全く問題無くコレットナットと本体にジャストフィットしてくれました。
リョービのかなり旧い型のトリマーからの転用でしたが、この辺りの互換性には新たな別の興味がでてきますね。
えてしてこれらの電動工具メーカーは、決して互換性を許容せず、自社の囲い込みをしたがる傾向があるわけですが、何やらユニバーサルな統一感で思わず頬が緩んできます。
テンプレートガイド
前回の記事でも、このテンプレートガイドへの関心を記したわけですが、想定通りと言いますか、ユニバーサルテンプレートガイドがジャストフィットしました。
たぶん、リョービのものも同様と考えられますので、これまでユニバーサルテンプレートガイドを使って来なかったユーザーも、この有為な知見は知っておいて損では無いと思います。
6mmシャンクのトリマービット、市場には様々なサイズのビットが市場展開しています。
ユニバーサルテンプレートガイドを活用することにより、トリマーの活躍領域が大きく拡張します。
これまで国内ではこのユニバーサルテンプレートガイドの活用を前提としたベース設計はあまり無かったようですが、リョービ〈TRE-60V〉の市場投入を機に、ユニバーサルテンプレートガイドをぜひインチ仕様では無く、メートル法仕様で設計、製造していただきたいものです。
マキタ、リョービなど主要メーカーが足並み揃え、同一仕様で歩み寄り、共同歩調を取って欲しいですね。
これはトリマーだけではなく、大型に至るまでルーター全てにおいてフィッテイングするのが前提です。
そうで無いとこれらトリマー、ルーターの本来的な機能を十全に発揮できないということであり、製造メーカーとしても購入者の利便性提供におけるユーザービリティの欠如として指弾されるべき問題だろうと思います。
私たち職業木工家の多くは海外市場へとアクセスし、これらを自力更生で調達し、加工現場で対応させていますが、国内メーカーの開発者においてはそうしたユーザー側に立った視座がとても希薄のように感じられてなりません。
以上、簡単ながらPorter Cable〈PCE6435〉のご紹介でした。
まだ本格的に使っているわけでもありませんが、今後、使い込んでいく中で、新たな使用感などがあれば記事にしたいと考えています。
なお、この機種は国内販売されてはいませんし、私の稚拙なBlog記事を除けば国内のWeb上の情報も皆無です。
一般にこの機種を求められるのであればリョービの機種をお薦めします。
それでも〈原器〉であるこの機種を、とのことであれば、がんばって個人輸入してください。
因みにリョービが日本国内で市場投入されているからなのかも知れませんが、USA Amazonは日本には送ってくれません。別ルートになります。
ただそれでも価格的には(輸入に伴う全ての経費)日本国内のリョービ機種の実勢価格よりむしろ安価です。
Top画像:左から、Dewalt〈DWP611〉、PorterCable〈PCE6435〉、Bosch〈PMR 500〉、リョービ〈〉
なお、このPorter Cable〈PCE6435〉のスペック、仕様については1つ前の記事を参照してください。(こちら)
※ Porter Cable 公式サイト
〈PCE6435〉
※ マニュアル(PDF:5.4MB)
※ 過去、関連記事(時系列)
- トリマー機種比較(2005年1月)
- BOSCH ラミネートトリマー「PMR 500」(2006年1月)
- トリマー DEWALT〈DWP611〉という優れもの(2011年8月)
- コレット問題の解決:Dewalt〈DWP611〉(2011年8月)
- DWP611は使える(2011年10月)
- コンパクトルーター(トリムルーター)機種比較(2015年2月)
- RYOBI 〈TRE-60V〉と、電動工具メーカーの開発競争と連携(2017年11月)
- リョービ〈TRE – 60V〉他、トリムルーター・仕様等の一覧表(2017年11月)