工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

梅雨入りにあぢさゐを

アジサイ1

紫陽花や 藪を小庭の 別座敷
松尾芭蕉 (芭蕉51歳の作、座敷とは深川の子珊亭)

昨日は九州から山口まで梅雨入りしたというし、気象レーダーを見れば長々と横たわった梅雨前線が列島へと近接しつつあることで、当地も含め一気に梅雨入り宣言するだろうとの予想は外されることなくズバリ当たってしまった。
今朝、工場に入る頃からしょぼしょぼとした細かい雨。
これも昼過ぎには本格的になってしまった。間もなくニュースでは梅雨入りの報。
アジサイ2

あぢさゐの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜あさねさす昼
佐藤佐太郎(『思潮』1952)

数枚の萼紫陽花の画像は一昨日近隣を自転車で走行中に見つけて撮らせてもらったもの。
目にとまったとあるお宅の庭には、いわゆる普通の半球状のあじさいもあったが、そのほとんどは萼紫陽花だった。
しかも山アジサイとでもいうのか、原種に近いような風情を持った野性味豊かなものたちだ。
アジサイ3

森駈けてきてほてりたるわが頬をうずめんとするに紫陽花くらし
寺山修司(15歳)

残念ながら人の姿もなく品種名を尋ねることも叶わなかったが、いずれまた機会を見て伺っておきたいと思った。
アジサイ4

あじさいの花の終りの紫の濡れびしょ濡れの見殺しの罪
佐佐木幸綱(『群衆』1970)

梅雨の時季は木工屋にとっては鬼門。
今日も仕事を終えると、機械という機械、すべての定盤には合板、毛布などで覆う。
加工中の材料はもちろん。
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