工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

天童木工の家具と自作家具との出会い

天童木工1
今朝は雨も上がり日も射す梅雨の合間となり、納品日和となった。
県内東部の個人宅2軒。
昨年末、顧客からの紹介による来訪での製作依頼だった。
受註後半年を越えての納品でお叱りを受けても仕方のない状況であったが、快く迎えていただき、最後はご自宅での昼食まで呼ばれ、少なくない時間を歓談させていただいてしまった。
2軒とはいっても、同じ市内の実家と、娘さんのお宅という関係。
娘さん宅はマンションで、こちらには6尺の水屋と、小物。お母様が住むご実家には小降りのキャビネット。
Top画像は、このご実家の居間で使用しているソファとテーブル。
ご覧のように、かなり旧い天童木工のもの。
他にも松本民芸家具を核として、様々な和洋家具が所狭しと置かれていた。
数年前にお亡くなりになったお父様が家具が好きで集めていたようだ。
画像の天童木工の家具であるが、テーブルの方はデザイナーは不明なるも、ソファは剣持勇のものではないだろうか。
40年ほど昔に買ったのではと言っていたので、かなり使い込まれているが、張りはともかくも、木部の欠陥は見られなかった。
デザインも当時としてはかなりモダンなものであっただろうと思う(1950年代のデザインか)。剣持勇はジャパニーズモダンの提唱者としても知られているが、このシンプルでモダンなデザインも天童木工のラミネート成形加工のプロダクトとしての完成度があってはじめて可能なものだ。
ボクも及ばずながらこうした時代を超えて大切にされるような家具を作りたいと思うし、このように家具を大切にしてくれる人々がいることを常に念頭におきながら仕事に勤しむことの大切さを改めて思わされたものだった。


Lam06食事をいただいたダイニングには、ちょこんとボクの手になるアームチェアが置かれてあって、一瞬びっくり。
何と言うことはない。昨年末、製作依頼で訪問していただいた時に1脚買い上げていただき、その後旬日も立たずに気に入ったからもう1脚送れとの話であった。
こうして家具好きな家族に囲まれて、このアームチェアもシアワセであろうと思う。
ところで初めて訪問した時に、自分の手による家具が置かれていることに驚くのは過去数回あった。今回は単なるボケだが、過去の経験は全くの偶然。知人の紹介で工房近郊の街に住む古老の住宅に出掛けた時のこと。
居間にボクが製作したテーブルが置かれてあった。??
聞くと、とある家具屋に特注させたものとのこと。
確かに、当時はその家具屋の仕事を請けていたことがあった。
この偶然に当然にも話は弾み、古老のお客はより信頼性を託して製作依頼してくれたのだった(ワードローブ、飾り棚、他いろいろと)。
いつどこで自分の家具に再会するかも知れず、いい加減なことは出来ないものと肝に銘じたものだった。
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