工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

BOSCH 電動工具は老いて ますます

BOSCH 振動ドリル 1182-7
BOSCH 振動ドリル 1182-7

ジグソーでの切削加工が必要となり[1]、systainer® から取り出し、いつものようにブレードを装着しようとしたが、これが上手くいかない。

うちのジグソー、BOSCH GST 60PBE は主軸上部から長いマイナスドライバーでアプローチし、固定させるという旧型のタイプ(現在のブレード装着方式はレバー操作でのワンタッチに進化しているようだ)。

この主軸の管を覗き見れば、なんと、ブレードを固定する部位のパーツが脱落しただの空洞になっているではないか。
はて、困った。
前回使用してからかなりの月日が経つので、この小さなパーツを探し出すのは極めて困難。
systainer®の底から、考えられるあらゆる箇所を探したが、その努力は実らなかった。

このジグソーは工房起業の前年に購入したもので、つまり稼働年数は30年を越えるツワモノ。
起業に向け、様々な機械、そして電動工具を整備しつつあったものの中の1つ。

当時は今のようなネット販売などあるはずもなく、地域のBOSCH正規代理店を探し、Pro向け青ボデーの13mm 振動ドリルや、トリマーなどとともに求めたものの1つ。

トリマーはBaseを1度交換し使い続けたものだが、さすがに引退させ、角ノミ、外箱研磨用の砥石を装着させ、専用高速ドリルとして使い回している。

他方、ジグソーと、振動ドリルは未だに現役バリバリである。

これまでカーボンブラシの交換を求められることもなく、時間経過は長いものの、実質的な稼働時間は少なかったためか、まだまだ使用に耐えられるというわけだ。
今は知らないが、当時、ジグソーと言えば、BOSCHに限る、といった定評で、事実、大変快適に使い続けてきた逸品だ。

さっそくBOSCHジャパンのカスタマーセンターに相談掛けた。

1勝1敗

かなり旧いものなので、なんとも答えられないが、修理センターに送ってくれ、との応答。

また、同時期に購入した振動ドリルも、トリガースイッチのロックボタンが脱落紛失していたので、2機種同梱し、修理に送り出した。

結果、1つは修理可能、1つはダメ、諦めろ、とのお告げ。

可能な方がジグソー。ダメなのが振動ドリル。もはや交換部品の用意はされていないとのこと。

ジグソー、余りに旧いため、実は修理については半分諦めていたこともあり、新規購入も想定し、日本のBOSCH、および米国展開のBOSCHで見繕っていた。

BOSCH ジグソー GST60PBE パーツ図版
BOSCH ジグソー GST60PBE パーツ図版

この問題となったブレード固定が、上述の通り今ではツール不要のワンタッチで可能になっていたりと、そそる内容の進化を遂げているところが知れたが、基本的な機能、切削能力に大きな進化は無いようだ。


そもそもジグソーとは、マシンそのもので切るわけじゃ無く、装着したブレードが切るものなので、これは当然だ。

なお、欧州のWebサイトからは、同機種のパーツ表とともに、それら全てが販売されていることを確認できていたので、脱落紛失部位の修復への期待は十分だった(右図)。

そして、数日後には修理見積書がFaxされ、これを応諾し、修理することに。
さらに1週間後には、修理を終えたジグソーが戻ってきた。

買い換えれば正規50,000円ほどのモノが、10,000円程度の修理費用で済むのであれば、そちらを選ぶのがBOSCH愛好家の心意気というものだろうからね。

吸塵アダプターの新規導入

また今回、新たに吸塵アダプターの導入を試みた。
購入時、この吸塵システムがパッケージされたモデルの販売もあったようだが、購入店舗には本体のみのものしかなく、これまでもあえて導入することもなく使ってきた。

ただやはり、切削時に大量に排出されるダスト(おがくず)は進行方向を見定める“スミ”を隠してしまう事から、始終、口や箒で除去させねばならない手間を考えれば吸塵はやはり必須。
無論、呼吸器にトラブル抱えている私にはダストを環境にダダ漏れ飛散させる無防備な作業環境への配慮も求められるところだが、ここはそれ以上に作業性において必須なのだ(苦笑)。

ということで導入したのだが、当然にも?、この旧型にジャストフィットするものなどありはしない。
BOSCHカスタマーに互換相当品のアドバイスを求めても、集塵機の機種や’ホース径を聞かれるばかりで、肝心要のジグソー本体へのフィッテングについては全く有意な答えは得られず、丁重に電話を切り、仕方なく、Webページ掲載画像等での判断から、「一か八かの大勝負」で買ってみた。

BOSCH 吸塵アダプター GST 2605510301

BOSCH GST60PBE
BOSCH GST60PBE と吸塵アダプタ

存外、想像以上のフィッティングで使用できるようになった。
アダプターはかなり強く押し込まねば装着できなかったが、純正に近い納まりだった。
その先端もブレード押さえのベアリング直近まで伸ばすことができている。
中央部分がバリアングルとなっていて、ホースの取り回しも良いようだ。

また、ジグソー本体の切削部位の先端に取り付ける透明防じんフードの方は、フィッティングに大変難儀した。
これが無いことには、吸塵効率も悪いだろうから何としても無理矢理でも納められるように、切り刻み、あるいは半田コテで溶かしたりしながら、加工。
機能上は十分なレベルのフィッテングで納めることができるようになった。

こうして、購入時から30有余年、修復と増強加工を経、より進化した形でリフレッシュさせることになった。

BOSCH 振動ドリルのリフレッシュ

ところで修理不能と告げられた13mm振動ドリルについてだが、トリガースイッチのロックボタンの交換修復は諦めることとした。この部位は、ドリルスタンドに装着しての作業には欠かせないものとなるので、必須のものではあり、やむなく木と木ねじで簡単な代用品を作ることに。

常時、マシンに収まることはできず、連続運転の際に嵌め込むだけの哀しい代物だが(苦笑)[2]、無いよりマシだろう 。

この際なので、カーボンブラシを替え、振動機構部のグリスを入れ替えてやることにした。
カーボンブラシの購入だが、かなりの旧型で入手できるか分からなかったが、無用な懸念だった。このあたりの汎用部品は長期、多様に使われるものだから豊富に在庫されているのだろう。

グリスは番手などは不明だったが、マキタのハンマードリル用グリスが容易に入手できたので代用させることに。

まずはグリスを入れ替える。


このドリルは振動ドリルだが、もちろん通常の13mmドリルとしての機構もあり、また高速、低速の切り替えも有する。


その分、内部機構は複雑で、いくつものギヤが封入されている。


このギヤ回転時の接触摩耗から吐き出される金属ダストとグリスが一体となり、真っ黒に汚れた状態だった。
これらを全てクリーンアップ。
こうした洗浄作業だが 専用のスプレーも容易に入手できるので、竹串、ウエスなどを駆使しながら汚れきったグリスを除去、洗浄した。

マキタのグリス30mlを全量使い、回転部位に塗りたぐり、封印。


次にカーボンブラシの交換。


ハンドル部のカバーを外せば、すぐにプローチできる位置にブラシ固定部があり、交換作業はとても容易なもの。

BOSCH 振動ドリル カーボンブラシ交換
BOSCH 振動ドリル カーボンブラシ交換

さて、こうして30数年前の電動工具も、リフレッシュされ、今後も身近な愛用品としてその期待に応えてくれることだろう。
私も老いてきたことは否定しがたいが(苦笑)、この度の修理の一件は、まだまだ現役で頑張れるこの電動工具の相棒と供に、あちこちの痛みを修復しつつガンバレ!との思いを新たにするのでもあった。

ガテン系現場で愛用され、耐久性に定評のあるBOSCHだが、そのタフさに負けずやっていこう。

10mm ハンドドリル、リフレッシュはならず

10mmハンドドリル HandyMan
10mmハンドドリル HandyMan

上は10mmの変速ドリル。
380wのパワーで小型軽量の部類だが、実はこれも起業時頃からの稼働であり、同様に30数年間使い続けてきたドリル。
HandyManというブランド名だが、販売元は新ダイワ。どうも製造は米国Black&Deckerのようで、OEMなのだろう。

通常、ハンドドリルでの開孔作業のほとんどはこれで行っている。可変速、逆回転もでき、軽量で快適だからね。
加え、長年にわたって愛用してきたことには大きな理由がある。レベルがビルトインされているのである。

手持ちで水平、垂直に高精度に開孔するというのは決して容易なものではないが、このレベルがあれば、かなり高精度な作業が可能だ。

快適に使い続けてきたものの、カーボンブラシの劣化が気になり、躯体の内部にアプローチしてみた。
案の定、危険領域に近づきつつあるように思えた。

だが、残念ながら、このメーカーは今は無く、部品調達も絶望的。
購入元は地元展開のホームセンターだったので、同店舗に問い合わせるも、そのメーカーはもう無く、修理受付はできない、とのこと。

仕方がなく、様々なカーボンブラシを在庫しているものと考えられる街の修理屋を探し、なんとか代用品でも探してもらい修理を追求する必要があるが、いまだその手掛かりは無い。

新規に購入すれば済む話ではあるが、このレベルを搭載した電動ドリルは国内市場には皆無。
米国にはあるようだが、コードレスのタイプで、国内展開していないメーカーであり、充電池の調達に難がある。
こんな利用価値の高いレベル搭載、需要層は多いのではと考えられるが、なぜ国内メーカーは作らないのだろうか。

たぶん、気の利いた作業者であれば、外付けのバブルレベルを探し出してきて、自力で搭載する人もいるだろうが、精度を確保するのは難しく、私には無理難題。
そんなわけで、街の修理屋を探しつつ、カーボンブラシの最期まで見届ける、ということにした。

関連する事柄も残っているが、次回に回そう。

hr


《関連すると思われる記事》


❖ 脚注
  1. ジグソーの活用事例は曲線の切断です。通常、この曲線切断加工はバンドソーという大型機械で行うのが基本です。ただ、テーブルの甲板のようなボリュームの大きな被加工材の場合などは、このジグソーを用いるのが合理的な方法となります。 []
  2. ドリルスタンドの活用ですが、通常のボーリング(木材への孔開け作業)はボール盤(ドリルプレス)で行いますが、ボリュームのある大きな被加工材への開孔などの場合や、プラグカッターを用いた丸ホゾの加工などでは、小型のドリルスタンドにこの13mmドリルを取り付け、加工することになります。 ➡️ https://koubou-yuh.com/blog/?p=777 []
                   
    
  • 振動ドリル、うう……木工での使い道がわからない‥‥

    • 私も教えてほしい。

      木工という限定的な活用では、この13mmというチャックのサイズが意味を持ちますね。
      通常のハンドドリルは10mmまでの軸しか掴めませんので。

      振動ドリルの機能は、他でも無く、コンクリートの床などへのアンカー埋込などへの活用です。
      ハンマードリルまでいかずとも、通常のアンカーボルトであれば、この程度(510w)のパワーと振動機構があれば開けられますので。
      ビンボーな私には、2つの活用ケースを1つの電動工具で叶えようというずるさ。

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