工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

立春

東京都内も含め昨日は大雪で交通網を含め大きな影響があったようだが、今日は立春、春がやってきたというわけだ。
東京郊外在住の方からは今日はとても日射しが強く、みるみる積もった雪が溶け出しているとのメールを頂く。
当地も日中はこれまで感じられなかったほどの強い日射し。立春にふさわしい太陽のありがたさを感じる。
数日後(7日)は旧暦の1月1日。つまり新年となる。
しかしまだまだ寒いのに立春とはこれ如何に。
ご存じの方も多いと思うが、立春とは冬至と春分の真ん中(ほぼ)に当たる日を当てる。
これは中国暦の考え方からのもので、また立春のこの時期の新月の日(今年は7日)を年を改め新年として祝ったものだ。(本Blog右メニューの最下部、Moon Fasesを見れば分かるように、あと三日で真っ暗になる)
7日にはもう一度あらためて新年の祝いの杯でも上げてみようか。
今日は『カッコーの巣の上で 』(NHK BS)を観ているので、この辺りで。

本は書店から

オンラインショッピングがごく一般の買い物スタイルになってきているとはいえ、このところ本については極力書店で求めるようにしている。
amazonでも、他のショッピングサイトでも「あなたのお望みの新刊がありますよ」とメール案内してくれるのはありがたいと思う反面、余計なお世話(フン)と感じるだけではなく、それを越えてちょっと怖ろしくさえある。
なかなかリアルな書店では置ききれないレアな本、弱小出版社によるものなどについては仕方なく複数のネット書店で求めるが、一般の書物は地元の書店で買うようにしている。
年々経営困難になっているであろう地域の書店を少しでも継続経営できるように応援したいからね。(そんな些少の購入金額でどれだけ影響力行使できるの?という冷めた見方をする方には理解できないことだろうけど)

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餃子中毒問題という憂鬱

餃子中毒問題はとても悩ましい。
中毒被害の実態は深刻であり、早急な原因究明が求められるが、01/30にアナウンスされて以来被害の方は拡大する一方、原因究明の方はと言えば日を追うごとに難渋を強めているような展開だ。
解明されている事象、専門家の見立てによれば、焦点はどうも事件性になびきつつあるかのようだ。
もちろん、現段階では殺虫剤が混入した原因を想定させるような“証拠”が上がっているわけではないので、安易な決めつけなどできようもなく、食品への毒物混入という緊急事態ではあれ、極力慎重な検証、解明、捜査に注力してもらいたいし、メディアにも節度を守った報道を望みたいと思う。
今日、全国展開しているあるラーメン屋で食事をした。
注文したのは担々麺と餃子。
食べながら思ったね。
このラーメン、餃子に使われている素材にはどれだけ中国からの輸入物が入っているのだろう?と。
現在日本の食料はカロリーベースで60%を輸入に頼っていると言われる。
中国からはその大部を占めているのだろう。
今日のラーメンも麺の原材料の小麦、かん水、ネギなどの野菜、肉エキス、ごま油、ゴマだれ、etc
恐らくはこれらのほとんどが中国由来ではないだろうか。

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“手作り家具”と機械設備(その11)

〈倣い成形加工および面取り成形加工に使われる機械について〉

倣い成形加工および面取り成形加工に使われる機械とは、例えばヘビーデューティーのルーターマシーン、そして縦軸面取り盤などだ。

卑近な事例でうちのケースを俎上に少し考えてみたい。

ルーター&面取り盤ヘビーデューティーの「ルーターマシーン(ピンルーター)」は起業当初より導入していたものだが、これは修行当時に世話になった親方のところでの使用体験から、その木工加工工程においての能力と、利便性というものに大いに触発されたからに他ならない。

信州での修行当時の木工所には確かに設置されていたし、訓練校の機械室にも隅っこの方に置かれてはいた。
しかし残念ながらその活用範囲は狭く、せいぜい面取りであるとか、丁番彫りといった領域に留まるものであった。

しかしルーターマシーンの活用範囲を考えれば、もっと他の領域においてその能力は評価されるべきであることが親方の下で知らしめられるということになった。

その代表的な事例が倣い成形という作業工程だろう。
これは何も家具を量産するためのシステムというのではない。
最小単位である1つの家具部品を作るにしても、ある程度のボリュームを持った部材であれば、その成形加工というものは決して簡単な作業ではない。

一般には被加工材に墨付けし、これをバンドソーなどで挽き抜き、反り台鉋、南京鉋などで成形していくということになるだろうか。

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“手作り家具”と機械設備(その10)

家具工房における機械導入と制作スタイルの問題

機械の導入というものが木工房におよぼす影響について、その本質的なところについてこれまで語ってきたが、これは各々の機械についてはどのようであるか、少し見ていきたい。
木取りに使われる基本的な機械についてはこれまでに幾分掘り下げて言及してきたので、ご理解いただけただろうと思う。
ここでは主要に木材加工に於いてもっとも高頻度に使われる丸鋸昇降盤について少し考え、次に倣い成形加工、および面取り成形加工に使われる幾つかの機械について見ていこうと思う。

〈丸鋸昇降盤〉

何度かこれまでも述べてきたところだが、木材加工工程においてこの丸鋸昇降盤ほど活躍する機械は他に知らない。

量産家具産地である当地・静岡では、工房にこの機械をたった1台設置するだけで仕事に励む職人も少なくない。仕事の内容は家具、木工小物などの加工から組み立てまで、様々。
それだけ汎用性が高く、使い勝手の良い機械と言えるだろう。
幅割き(リッピング)、横挽き(クロスカット)、カッターでの段欠き、小穴突き、成型作業(様々な形状のカッターで)、面取り作業、
制作する対象にもより活用状況は大きく異なるのは言うまでもないが、加工工程の7〜8割をこの機械がこなしてくれる。

*いずれ本稿において「加工工程における機械の選択について」という項を設け、加工工程での機械選択の考え方についても詳しく見ていくつもりだ。

これらの工程は、機械導入以前であれば手鋸、手鑿、作里、際鉋、面取り鉋、などの手道具で行われていたものだ。
動力を用い、どのような細胞組織であれ強力に切削してしまう機械は、当然にも作業者と被加工材との関係性を分離し、親和性において遠ざけてしまうというリスクは避けがたい。
しかし現代の木工加工においてはもはやこの環境を前提とし、如何に有機素材としての木材に向き合うのかという思考において解決されねばならないだろう。

例えば‥‥、
カッターでの切削工程などは負荷が大きくなり、その運行方向によっては細胞組織の配列(木目と言われる部分)の読みを無視すれば、目的とする切削量を超えて局所的に破断してしまうことは誰しも経験するところだ。

やはり如何に強力な機械であっても、いや強力な機械であればこそ、その木目を良く読み、あくまでも倣い目(順目)方向で切削させるように心掛けねばならないだろうし、いずれ記述しなければならないが、面取り切削工程でも周速度の遅いトリマーやルーターなどを選択するのではなく、丸鋸昇降盤にカッターを取り付け、順目切削で行うことで、切削精度の高い、良い切削肌を得られるということになる。

つまり機械とは手道具の延長として位置づけるという、少し使い古された言葉ではあるが、あらためて警句としての有効性は認めねばならないだろう。

確かに強力な機械であれば木目がどうであれ強引に切削してくれるが、しかしそれだけに加工される対象が木材繊維であることを忘れがちで、そのことで良好な切削肌が逃げていくということにもなるのだということを良く自覚し、正しく快適に使いたい。

* 昨日の記事についての補記
定盤の平滑性の修理についてだが、機械屋にあらためて確認したところ、わずかに0.5mm以下の精度調整であれば、フライスで切削し直すのではなく、グラインダーでの研磨作業で行えば十分とのこと。
昔は、さらに熟練職人の手によって、ノミ様のもので削り合わせることも行われていたのだという(鉄工については詳らかにしないので詳述しません)。
いずれにしても1Weekほどの日程が必要ということなので、機械使用のスケジュール調整を行った後の話しになるね。

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手押し鉋盤、ねじれ調整での難渋

手押し鉋盤調整

皆さんの手押し鉋盤の調子は如何であろうか。
うちのはちょっと調子が悪くなっていた。
太洋製作所、というメーカーの300mmのもの。

この前後の定盤がどうもねじれてきたようで、良い削りができなくなってきていた。
手押し鉋盤は木取りにおいて基準を決める最も重要な機械になるので、これが調子を落としていたのでは良い仕事はできない。
加工工程全般においてストレスから自由になれない。

手押し鉋盤という機械の機構にはいくつかのタイプがある。
この太洋製作所の手押し鉋盤は、いわゆるリンク式というタイプの機構だが、ユーザー自身での微調整が可能。
対して、例えば桑原製作所に代表されるような、いわゆるカミソリ型のものは調整が困難。
したがって不具合があるようであれば、このタイプのものはフライスで定盤を削り直すしかないだろう。
リンク式のものは基本的は前後のテーブル(定盤)の端に左右それぞれに調整個所がある。

ここで調整すればよいわけだが‥‥、これがなかなか大変。
昨日の機械屋の社長によれば、プロの機械屋でも半日は覚悟せねばならないとのことだった。

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雨を突いて。

結局今日も終日しょぼしょぼと、しょぼい雨が降り続いた。
んな事情もあって、半日工房を閉め業者周りに走り回る。
1月も終わろうとしているにもかかわらず、年始回りもしていないところばかり。
〈金具屋〉
スガツネもいろいろと新しい機能金具を開発しているようで、たまにはこうして訪ねてみないと開発メーカーへの敬意を示すチャンスさえも遠ざけられてしまう。
日本の金具メーカーの開発戦略も、大凡ドイツの後追い的な姿勢が見え隠れするとは言うものの、そこは日本の技術陣の優秀さで独自に換骨奪胎したようなハイセンスで良質なものを作ってくれれば良いというものだ。
〈機械屋〉
国内家具産業の低迷は木工関連の機械屋を窮地に陥れているかと言えば必ずしもそうではないのかもしれない。
偏に中国因子だ。
家具工場から撤収された機械はお色直しされ、中国大陸へと向かう船に積み込まれる。
そうした販路をいち早く開発した業者は潤っている。
商人(あきんど)はどんなご時世になっても、しぶとく、力強く生き抜いていこうとするものだ。
〈職人さん〉
問屋がとても採算が取れないような話ばかりもってきていやんなっちゃうと訴える。
─ そりゃ、●▼さんも悪い。安くやってくれると思われちゃってるんだもん。
自分の首を絞めることになるような安請け合いは絶対しないと、自分に言い聞かせなきゃ。
─ そんな事言うけどスギヤマ君。背に腹は代えられない時だってあるからね。
しかし今回は◆■家具(市内の量産フラッシュメーカー)と同じ3mもののボードを1本だけで良いから総無垢でやってくれって言うんだ。それが◆■家具の出し値と同じ価格でって言うんだぜ。
─ もう、開いた口が開かない、とはこのことだ。
そんな道理が判らん問屋などケリいれてやんなよ。
産地の職人の嘆きは深い。価格の叩き合いで自分たちを追い立てる。
〈突板業者〉
ここは米材など外国産材を得意とするところ。
今日はライティングビューローの机面に用いる杢の相談。
多くの挽き板業者が米材を中国大陸での調達を当たり前のようにしている現在、なお米本国との直接取引で良材を仕入れている。
こうした業者は家具産地、静岡だからたくさんある。
しかし家具業界を相手にしているようでは発展性は見込める訳もなく、建築産業へと大きくシフトチェンジしていることは云うまでもないことだが、ここでは高級車のダッシュボードなどへの供給も含め多様な展開を得意とし、そうした企業努力で景気は良いように伺える。
予定通りウォールナットバール杢を使うことにする。
仕上がりの結果が楽しみだ。

水仙に鋭気をもらい‥

水仙庭の隅に遠慮気味に咲き出した水仙。
その年、一番に花を見せてくれる野生品種の1つだ。
少し手折り、花器に生ければ芳しい春の香りが部屋を充満させる。
群生地のこの水仙を見るのも良いが、このように密かに春の到来を知らせてくれる咲き方も良いものだ。
どうも天気が優れず。木取り作業も気が乗らない。
他にもいくつかの凹む出来事が重なり、バッドコンディション。
ボクは元来オポチュニスト(というよりいい加減と云う方が合ってるかな)なので、あまりくよくよしない方なのだが、時にはリフレッシュを必要とすることもある。
今日は水仙を撮影したり、工房裏の大きな椿の木に登り数本の枝を手折って生けたり、自転車(クロスバイク)で10kmほど走行して汗を掻くなど、ちょっと仕事から離れて身体を動かしてみた。
こんな時はお気に入りの音楽にでも身を浸せば少しは軌道修正できるだろう。
《チックコリア&上原ひろみ/スペイン》
最後の1分間のサビにいくまでの師弟の掛け合いが緊張を孕んで良いと思った。

明日は快調にいきたいね。

クレノビアンの末席から‥‥

The Fine Art of Cabinetmaking
The Fine Art of Cabinetmaking
James Krenov(ジェイムス・クレノフ)氏を知ったのは職業訓練校に入校して間もなくの頃。
木工を志して入校したものの、このような著名な木工家さえ知らなかった怖さ知らずの無知な若者だった。
何がきっかけだったかは忘れてしまったが、まだ訓練が始まって間もない頃、訓練校の指導教官Eさんが Krenovの著書4冊を貸し与えてくれたのが最初の出会いだった。
無知な若者にもそれは大きな衝撃を与えてくれるに十分な内容であったようで、E先生には無断で(ごめんなさい。もう時効で許してください)コンビニに走り、主要部分を複製させてもらった。
英語が苦手なボクは関心の強いところを中心に辞書と首っ引きで翻訳しながら対峙するという日々が続いた。
krenov&Yuh一般に訓練生の場合、以前に勤めていた職場の失業保険が適用されこの給付を受けながら訓練に励むという制度が補償されているのだが、ボクにはその資格が無く、生鮮市場の早朝のアルバイトに精を出しながらの登校だったこともあり、深夜の机に向かっての学習は楽ではなかった。
また訓練も本格的に始まると、終了時間を超えて6時、7時とこのE先生の帰宅を阻みながらの夜遅くまでの実技が続いていたので、体力的には大変だったように記憶している。
しかし無知な若者にとっては1日、1日が充実し、楽しい日々であった。
このような機会を与えてくれ、木工の基礎を学ぶことから、木工というものの深遠、熱い想いまで伝えてくれたこの指導教官E先生には本当に感謝している。
Krenov近影そうした訓練の充実とあいまって、Krenov氏の著書に紹介される作品の美質、その精神性、そして技法の数々は深くボクの身体に染み込み、大きな勇気を与えてくれるものだった。
その後夏休みであったか、E先生の紹介もあって、たまたま地元静岡にカール・マルムステン校を優秀な成績で卒業して帰国していたMさんという人がアトリエを構えていることを教えられ、お会いする機会を得た。
(その後地元に帰ってからも、様々な形で指導を受けることがあった)

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Macでラジオ

土曜の朝はピーター・バラカンの「ウィークエンドサンシャイン」というFMラジオの番組を聴くことからスタートするのが日課。
普段忙しくしているので洋楽のソースはほとんどこの番組に依拠しちゃっている。
ところでラジオ放送というものが現在のIT全盛の情報化社会においてどれだけ有用なメディアであるのかは議論の分かれるところかもしれないが、ボクにとってはこの旧いメディアもありがたい社会への窓口だ。
ひょっとするとTVより活用しているかも知れない。
このところ局によっては腐朽の度合いを強めるTV番組編成と較べればラジオの方がよほどマシとも言える。
ということでMacでラジオを ! という環境を整えたくなっていた。
ところで何故しかしMacでラジオを ? と訝る向きもあろうが、これにはいくつかの理由がある。
Mac的生活を基本としている日常にあって、このMacで全ての操作ができる環境を望みたいとうこともあるが、それとともに考えたいのが、デジタル音源として録音保存することで、再活用、編集が可能となる環境を得たいから。
忙しい日常でのエアチェックをMacで予約録音し、これを任意に編集保存、そして最終的にiTunesに格納するという考え方だね。
なお再生にはMacにUSB接続したデジタルアンプ+SPを備えているので、USB接続できるラジオチューナーさえあればよいということになる。
しかし決定版というのがなかなか見あたらない。
考えられるのは現在使用しているONKYOのデジタルアンプのシリーズ(WAVIO)でAM/FMチューナーを搭載したものがあったのだが現在は製造中止。(さらには、ソフトはWinのみ)
他にもいくつかの聞いたことのないメーカーから数機種が探し出せたが、これらは外国語習得のために開発されたようなもので、USB接続の環境がなかったり、モノラル限定であったり、また音質においては期待できるものではなかった。
最近のオーディオコンポではUSB出力を持ったものもかなり普及してきていることも知ってはいたが、しかしMacでの操作性(ソフトが未対応)、予約録音機能は無いだろうと思われる。
さてそこで最後に残ったのが米国Griffin Technology社が製造している「radio SHARK」というもの。

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