工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

工房訪問者の興味はワークベンチ

昨夕電話があり、工房見学したいとの話。
基本的にはあまり断らないようにしているが、この訪問者のお連れの青年が「以前断られてしまったことがあります‥グシュ」との話しをしてくれたので、そう言うこともあったようだ。
今回は世話になった職業訓練校の同じ指導教官の教え子、つまり後輩にあたる人のようであったし、また土曜日という気楽さもあり、来ていただきお話しさせていただいた。
3人とも家具制作に関わる人。うち一人は現在訓練校の生徒。
話は木工技法の地域的特徴、海外と日本の技法の差異と共通するところ、使われる木工の道具(刃物類)の差異、うちの機械のラインナップの特徴と訪問者が勤める家具製作所との差異、あるいは作家志向の作り手の生業としての困難さと、その問題性、などなど、初対面ではあっても「同じ釜のメシ」的懇意さも手伝い、長々と話し込んでしまった。
家具制作とはいっても、制作される対象のジャンルの差異、依って立つ木工技法の差異による機械選択、道具選択の違い、その職人の木工への志向水準における(取り組む姿勢)アプローチの差異、などでその方法は千差万別。
しかし重要なことは、現代のようにあからさまな資本の影響下から免れることの出来ないマーケットを対象にせざるを得ない以上、基本的な木工技法の体系を十分に修得し、そして近代化のなかで進化している機械化、新たな工具、道具の開発などを積極的に研究、導入するなど、その姿勢には進取の精神、網羅的、あるいはゼネラルな考え方も必要となってくるだろう。
俗に言う抽斗を多く持つ、ということも高品質な仕事を適切なコストで市場に問うには必須の要件と言えるだろう。
こうしたことは良い指導者の下で積極的に学び、さらには可能な範囲で良い木工家、職人を訪ね、教えを請うこと。
書籍、あるいはネットでも情報は氾濫しているが、ジャンクな情報に右往左往することなく、フェイス・ツー・フェイスで、先輩職人の手の動きから学ぶことの重要性を忘れないこと。
ところで、このなかのひとりが関心を持ったのは工房にでんと鎮座している「ワークベンチ」。
知ってはいたようだが、本格的に見るのは初めてだったのかな。
いわゆるスカンジナビアンタイプのワークベンチであるが、これから本格的に木工を始める人にはぜひとも良い作業台=ワークベンチを構えることを絶対的な要件として進言したいと思う。
好みもあるだろうが、多くのスタイルがある中でスカンジナビアンタイプは最良の選択と言って間違い無いだろう。
もし独立経営を準備されている方は、まずは樺材(真樺、ウダイカンバなど)を確保し、乾燥管理しておこう。材木は年々その需給状況は悪化していく。親からでも親戚からでもコイビトからでも良いから、カネを無心し、樺を買いに走ろう。
・3寸板、あるいは角材にして:約10m、(脚部、ベンチトップ部)
・2寸板:少々(ベンチトップ部、他)。
・1.1寸板:少々(ツールトレイ枠他)。
その先にこそ、木工家の未来が開かれている !?
あまり先にならない時期に、あらためてワークベンチについての詳細な紹介をしてみたいと思う。

超硬刃のプラグカッター

プラグカッター
新たに制作している小ぶりのスツールを構成する1つの部品へ施す丸ほぞを削り出すためのカッターが必要となった。

旋盤加工でも出来なくは無いのだが、シンメトリックな形状ではないのでカッターで削り出すことに。

しかし、保有するプラグカッターではサイズ、能力からして芳しくないと判明し、あわてて「オフ・コーポレーション」に世話になることになった。

この通信販売会社についてはこのBlog訪問者のほとんどは知っているだろうから紹介の必要も無いと思われるが、うちの所在地も同社と同じ地域ということもあり、この会社の創業当時から何かと世話になってきた。

その頃は自身でも個人輸入を活発に行っていたということもあったり、また今ではほとんど設備も充実してきているので、スポット的に購入するくらいであまり良い客では無い。ましてや無理難題ばかり言うものだから鼻つまみものかも。
さてさっそくカタログを拡げて対象の箇所を探せば、何とその種類の豊富なことよ。

今回必要とするプラグカッターの性能、機能を満たしてくれそうなものだけでも数種類。
結局機種選択の判断に苦しみ、メールと電話で問い合わせ、的確なアドバイスを頂き、1つのタイプを選択。

「カーバイドチップ プラグカッター」というものにした。
要するに超硬のチップが1つロウ付けされている奴だ。

以前、恐らくは炭素工具鋼であろうと思われる同種のカッターを米国から個人輸入したことがあり(画像左から3つめ)、程よく使ってきたが、今回は1サイズ大きなものが必要となり、1/2″、3/4″の2本を購入。(画像左からカーバイドチップ・3/4″、1/2″、炭素工具鋼・3/8″、そしていわゆる一般的なプラグカッター各種サイズ)

しかしこのプラグカッターというものにカーバイドチップのものがあるとは数日前まで知らなかったな。(画像矢印の先にあるのがカーバイドチップ・切れ刃のところ)
一般に切れ味は炭素工具鋼、ハイスに較べ、カーバイドチップ(=超硬刃)のものは良くないということになろうが、針葉樹ではなく堅木が対象であれば、耐摩耗性(耐熱性)、長切れ、という特徴を持つ、カーバイドチップの選択に迷いはない。

事実、なかなかその切れ味、切削肌は良いものだった(今回はブラックウォールナット、および本クルミ)。最初なので当たり前と言えばそれまでだが(苦笑)、今後気乾比重1に近い堅木への切削能力などで確認すべきところだね。

70921c写真右はある部品の木口に丸ホゾを切削しているところ。

ボール盤の定盤を垂直に倒すのもやっかい(他にも以下に示すような理由がある)なので、ドリススタンドに13φチャックのハンドドリルを装着することで目的を叶える。(これらのカッターは1/2 “シャンクが多いので10φのドリルでは装着できない)
因みにこのドリルスタンドはBOSCHのものだが、穿孔の深さ確認用に寸法が刻まれていたりストッパーがあったりと何かと使い勝手は良い(他機種との比較はしたことがないのだが)。

また、部品を垂直に立てるという要求には、このスカンジナビアンタイプのワークベンチのテールバイス部が見事に応えてくれるのでありがたい。
4寸の厚みのバイス咥え部(平面的には直角が確保)が垂直で構成され、ここに任意の厚み、幅の被加工材を垂直固定で咥え締め付けることができる。

つまりボール盤の定盤に軍艦の如くに多くのクランプを使わざるを得ない被加工材固定方法よりも、こちらの方がはるかにスマートで作業性が良い、ということだね。


■ 追記 07/09/22
Webサイト「木工家具の工房 悠」ワークベンチ紹介ページ(こちらから)
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hr

東北地方大雨被害と尾州檜と

日本列島、今年は台風の当たり年だ。
台風の発生数と日本への影響を及ぼす数の比率が例年比でかなり高いようだ。
直接的には台風によるものではないが東北地方広域での大雨による被害もすさまじい。秋田、岩手の河川が氾濫し、交通網が寸断しちゃってる。
藍クラフトさん、大丈夫でしょうか。
さてこの影響で今週、北海道からやってくるはずの材木が来ない。
陸路も海路も寸断。
早くとも来週、週半ば以降になるとの見通し。
その代わり、という訳でもないのだが、清水の材木屋で今日は「尾州檜」の良いものが見つかった。ありがたい。
1.5尺幅、5寸厚、15尺長。
15年前に製材され、管理されてきたもので、完全な乾燥材。
これを早速その場で2枚+αに割った。無節、割れも無い。柾目が通り、木表はいわゆる中杢。
手に入れようとしても恐らく断念せざるを得ないような銘木の1つだ。
かつて1mを越えるクラロウォールナットの原木を入手し、製材、乾燥管理してきたものを1枚、1枚と食卓などに仕上げ、手元からお客様のところへと搬送されていく時は一抹の寂しさに襲われたものだったが、またこの尾州檜の良材も同じような道を辿ることになるのだろう。
木工とは、こうした個々の希有な材木との出会いと別れという、実に人間臭いというか、情緒的な感情を揺さぶる何ものか、と言う要素があることも魅力の1つであり、またそのために過剰な欲望がもたげ、使う当てもなく大枚はたいて買い求めてしまう麻薬のようなところがあるのも偽らざるところだ。

秋めく週末

ニラの花今日も不安定な陽気だったが、午後からは久々に晴れ上がり秋の高い空が気分を良くしてくれた。
8月下旬から始まっていたこの辺りの稲刈りもほぼ終えたようで、刈り取られさっぱりした田んぼではカラス、野鳥などが落ち穂を啄んでいる。
4.5日もすれば田んぼの畦には曼珠沙華が華やかに顔を見せるだろう。
画像は、さて何でしょう。
畦道にも、うちの庭のそこかしこにも数本づつ茎が伸びている。
ニラの花だね。
1本の茎に半球状に白い小さな花を数10個も付ける。
花弁が6枚あるように見えるが、そのうち3枚は苞(ほう)だとか。
黄色い雄しべが6本。アクセントカラーできれいだ。
葉っぱは当然食することができる。花ニラというのは専用品種があるようだ。
ボクは中華料理は好きで良くキッチンに立つが、炒め物にはよく使う。
臭い成分のアリシンも身体には良いんだろうね。
調理ではあまり火を通しすぎないのがコツかな。
熱した油に投入すると同時に塩をパラパラ振ればより緑が映えるね。
高温でささっと炒めれば OK !。
卵焼きに溶き込むのも悪くない。
こんな綺麗な花を撮影して、考えることと言えば調理のことというのも、しかし食いしん坊に過ぎるかな。
週末の天気はどうだろうか。晴れると良いね。
* 画像、クリック拡大(800px/73KB)
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松ヤニとの格闘 / freud社ブレード

このところアカマツでの家具制作が続き、機械も刃物もヤニだらけで往生こいてます(これって方言だろうね)。
最悪なのはプレナーだね。定盤にヤニが付くのは仕方がない。硬質プラスティックのスクレーパー様のものでこすげ取る(これも方言?)。
さらに大変なのは下部ローラーに付着したヤニ。
ここにヤニが付着すると、おが屑と一体化し、突起物様の障害物となり、被加工材の板面に自動送材過程で傷が付いてしまう。
告白すれば、最初は気づかなかった。
削り終えた材料に凹み傷があちこちに (?_?)
はて、?と暫し首を傾げプレナー機構部をのぞき込む。
下部ローラー、600mmの幅の特定箇所に付着物がびっちりと。
特定箇所というのは、ヤニの障害による送りの不具合を覚悟して、一定のところで集中して使用したことによる。
いや、これがなかなか取れない。高速で回転させながら、アセトンで濡らしたウエスでローラーを湿らせ、硬質プラスティックのスクレーパーで取ろうとするが、とてもやっかいな代物だ。
プレナーという機械は機構が複雑であるので、今次アカマツ加工を終えた後に、刃を取り替えながら(超硬刃であるため、めったに取り替えないが)、恐らくは裏刃を中心に、送材ローラー(ガンギローラー)など、その他の機構も含めしっかりとヤニ付着を取り除く洗浄をしたいと考えているが、とりあえずは送材での不具合は起きていないので、この下部ローラー2本分を処理した。
freudブレード
ところで、丸鋸の刃はこんなもの ↑ を使うとヤニ対策になるね。
テフロンでコーティングされたブレードだ。
イタリアの「freud」社のもの。
80チップ、50チップ、24チップと3種用意しているが、これはテフロンコートというだけではなく、キックバック対策が施されたブレード形状となっていたり、ブレードの厚みは3mmと比較的厚い。軽いフィーリングで良く切れるし、それでいて回転音もとても静粛性が高い。
以前、友人のT氏の斡旋で購入したものだが、大事に使っているよ。
カネフサを含め、日本の木工刃物の品質も高いと思われるが、しかしこのような優れたものを使うと、その設計思想に木工産業の歴史と伝統の差異というものを感じさせられてしまうことも少なくない。
補記(07/09/14)
なお、このFreudの丸鋸刃のシャフト穴径はほとんど全て5/8″となっています。
一般に日本の丸鋸盤のシャフトは1″ですので、Freudの丸鋸刃を用いるには径の拡大が必要となります。(機械屋での加工は可能です)
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「古き日本の面影」芹沢美術館

芹沢美術館パンフ1

静岡市立芹沢美術館から次期企画展の案内が届いたので紹介しよう。
「古き日本の面影  ─ アイヌと沖縄の染織 ─」

染色家・芹沢けい介が30代のころから親しみ、尊敬してやまなかったアイヌと沖縄の染織。日本の北と南の端で個性的な発達を遂げたこれらの染織は、周辺地域の様々な影響を受けつつも、古い日本の面影を残しているといわれます。今回の展覧会では、芹沢が収集したアイヌの染織資料45点と、沖縄の染織資料49点を一堂に展示します。

ボクにとって北海道旅行の楽しみの1つはアイヌ文化に親しく触れることができることだが、アイヌ民俗資料館に造作なく置かれている染織には目を見張るものが少なくなかった。
何よりもその意匠は独特でヤマト民族の末裔のDNAからは探し出すことのできない独自のものだ。
呪術的な印象の強い意匠を読み解くことは、アイヌ文化に深く分け入ることに繋がっていくことだろう。
一方紅型に代表される沖縄の染織は現代の日本の染織にも大きく影響を与えている。
一時は沖縄は様々な領域でブームになった感がある(今も続いているのかな?)。
しかしそのほとんどは消費される対象としてのそれでしかなかったのではという懸念は強い。
南国の島々。癒しの観光地。しかし沖縄独特の文化と歴史に深く分け入り、ヤマトとの関係における歴史と現在を対象化しようとすることはむしろ忌避され、ヤマトには無い異質の土壌と文化も消費の対象として再生産されていく。
芹沢美術館パンフ2民族固有の伝統工芸に触れることはその民族の生活文化を知り、同時に自国の生活文化にどのように影響を及ぼしているのかを比較対象することを通して、帰属する民族の歴史と現在の由来を知る契機になるだろうし、ひいては自己というものを知ることにも繋がっていくだろう。(注)

どこからきて、どこへいくのか。

芹沢さんは世界各地の民族文化を深く訪ね、工芸品を狩猟、収集したコレクターでもあったが、このアイヌと沖縄の染織は特筆すべきものということなので楽しみだ。
【古き日本の面影  ─ アイヌと沖縄の染織 ─】
会 期:2007年9月15日(土)〜11月25日(日)
休館日:毎週月曜日(9/17、9/24、10/8を除く)、9/18、9/25、10/9
■関連イベント
・講演会「沖縄の紅型と芹沢けい介について」
講師:兒玉絵里子(沖縄国際大学南島文化研究所特別研究員)
日時:9月23日(日・祝)13:30〜15:30
申し込み:往復はがきにて返信宛先、住所、氏名、電話を記入し美術館まで郵送(9/11〆切)
・アイヌ文化体験講座
講師:居壁太・宇佐照代(協力:財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構)
日時:10月21日(日)10〜12時、13:30〜15:30
申し込み:往復はがきにて返信宛先、住所、氏名、電話を記入し美術館まで郵送(10/10〆切)
・学芸員による展示解説
日時:10月13日(土)・11月11日(日)13:30〜15:30
直接美術館へ、満席になり次第受付終了
他、Webサイトチェックを(こちら

*注
日本の近世の国家形成におけるアイヌと沖縄の関係はそれぞれその手法も歴史的経緯も異なるが、支配と収奪、領有の歴史であったことでは共通する。これは現在においても諸関係において色濃く残存していて、工芸という分野からアプローチするにあたっても、それらの背景に刻み込まれた史実と生活文化に参照を求めることも重要なことだろう。

あれは伊勢湾台風の夜だった

台風19号は各地で荒々しい爪痕を残して北上していった。
当地は直撃は免れたようだったが、猛烈な風と断続的な豪雨に見舞われ数年ぶりと思われる台風通過だった。
個人的に台風で思い起こされるのは「伊勢湾台風」(1959/09/26)。
小学生の頃という遠い昔の話。当時奈良県南部の山中に居住していたのだが、900-920ミリバール(当時はhPaという単位呼称ではなかった)の威力を持つ超巨大な台風が潮岬に上陸。
その後紀伊半島を縦断し、日本海へと抜けていったのだが、名古屋市、三重県を中心に死者・行方不明は5,000人強を出すという阪神・淡路大震災を除けば自然災害としては近代歴史上最大の被害をもたらしすものだった。
なぜこれが記憶に鮮烈であったのかは台風の通過途上に位置していたこともあるが、この日はボクの誕生日ということで、母親と弟、そしてボクの3人でささやかなお祝いをしていた時だったからなのだ。
父親は出張で留守。中学の兄は高校受験を控え街の親戚宅へと預けられていて、残る3人の家族が留守を守るという全く心許ない状況だった。
猛烈に吹く風は雨戸を閉めてもガタガタッガタガタッと小さな家を揺さぶり、とても生きた心地がしない夜だった。
当時はTVなどはまだ無く(放送はされていたが、まだ一般には普及しておらず、うちにTVがやってきたのは2年後だった)、ラジオ放送で台風情報を聴きながら必死の形相で母親と共に雨戸を押さえ、立ち去るまでひたすら耐えていた。
誕生祝いなどというハレの気分は吹き飛び、ただ生きていて、また明日から学校へと行けるのが嬉しかった。
それから50年近く経過し、災害対策は大きく進化し、情報網も整備されてきた。
しかしなお自然の驚異に晒されたときの人間社会の脆弱さを思い知らされることも屡々。
皆さんの地での被害はどうだったでしょう。
台風一過。
朝、工房の湿度計は70%。まだこれでは組み立てのできる環境ではない、ということで次の制作準備などで大気の乾燥を待つ。
午後にはみるみる湿度は下がり、50%近くまで落ちる。
いそいそと組み立て準備に入り、にやけながらホゾ穴にボンド。ホゾにボンド。
ホゾを指し、ショックレスハンマーでガツン ! 。
組み立て作業は、一連の工程の中にあって、もっとも楽しいハレの場だね。
針葉樹なので割裂が懸念されるが、そこは経験とカンで問題なく組める。
矩、平滑性、捻れなどを確認して圧締。
今日は帆立4組、扉4枚等々。
改めてアカマツが組み上がると、美しいと思った。

台風9号直撃とiPodファミリー更新

台風9号
台風第9号 (フィートウ)、何やら静岡直撃じゃん。965hPa、超弩級な威力を振りかざし、石廊崎の南 約120km付近を北上中。
当地では断続的に横殴りの雨と突風が叩きつけている。気象庁のレーダー画像は午後7:30のものだが、台風の眼がくっきり。数時間後に当地もこの眼の中に入っちゃうかな。
実は今日はキャビネットの加工も終わりパーツ単位での仕上げも済んだので、組むばかりになっていたのだが、この状態ではとても組む勇気は無い。
潔くあきらめることも時には重要。
加工を終えた材料は布団で二重三重に簀巻きにし、機械という機械の定盤はベニヤ板で覆い、プレナー、四軸ホゾ取り盤など内部が複雑な機械へは布団で丸ごと覆うなど、劇的湿潤状態への対策を施し、さっさと早じまいだ。
今夜半から明日未明に上陸、午後は台風一過と踏んでいるが、さてどうなるかな。
工場を閉めた後はスティーブ・ジョブズ氏(アップル社CEO)の本日6日未明(日本時間)のサンフランシスコでのApple社のSpecial Evenの基調講演(Keynte)オンデマンドビデオを視る。(こちらから)

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松 ─ 針葉樹の美しさ

松材
以前も記事にしたことだが、断続的に建築解体材を使ったいくつかの家具を製作している。
普段もっぱら広葉樹を活用している感覚とは違い、戸惑いとともにあらためてその美しさを再確認させられてもいる。
松(アカマツ、クロマツ)および一部檜。
使用部位は桁、梁、柱、および天井板。
構造材の桁、梁、柱の古材の方は、そのほとんどは1尺角を大きく越えるボリュームのものだったし、天井板もいわば中杢に近いような良質のものから端節のあるものも含め、1尺2寸ほどの幅のものもあった。
依頼主からは当初構造材の方を見せてもらったのだったが、さほどの材積でもないので、果たして卓以外のものを制作するのは無理だろうな、と算段していたのだったが、実は天井板も私たちで確保したのよ、と倉庫の方に案内され、6分、7分板で20枚近くの松材の天井板を確認することになった。
この天井板があればこそ、框構造のキャビネットを構想できるからありがたい。
水屋、和箪笥、などいくつかのプランを提案し、今回は卓とともに水屋を制作している。
古材は昨年秋に再製材し、シーズニングしてきたものであるが、赤松特有の青変菌に侵されてはいないものの、さすがに60年ほども経過し虫害も多く、木取りに苦労させられている。
工房起ちあげ直後、一時ある家具屋の特注制作を請けていたことがあり、ここでパイン材を用いたカントリー風の家具を制作していたことがあったので、その性質、特性なりは体験済みなれども、やはりあらためて加工工程での特徴的なこととして脂(ヤニ)の扱いには閉口している。
切削機械、切削刃物すべてにヤニがこびり付き、この処理は普段広葉樹を扱っている者としては無視することの出来ない実にやっかいなことである。
単にヤニがこびり付き汚いということに留まらず、機械の摺動性、自動送り込みなどにも少なくない影響を及ぼす。
またこのヤニの問題は接着性にも難をおよぼすだろうから、これもまた慎重でなければならない。
あるいは杉などと較べればましなものの、春目などはどうしても柔らかいので、引き戸など建具を建て付ける場合などには敷居部分にサクラなどの硬質材を埋めるなどで補ってやらなければならない。
しかしアカマツ、クロマツは針葉樹の中にあっては以外に重厚で強度もあり、加工性は悪くないと思われる。(米材のそれらとはかなり違う)
そうした特徴を備えている松だが、最後にやはりその木目の特徴について触れておきたい。
古来より日本ではアカマツ、クロマツが至るところで育てられてきている。
ここ静岡では全国的にも知られた「羽衣伝説」の舞台、三保の松原の老松は有名だが、日本の海岸沿いで松を見ないところが無いほどありふれた樹種。
風雨に晒されてなお耐え、曲がりくねったその姿形は建築材における横材(桁、梁など)として重宝されるが、こうした材を製材すれば力強くうねった杢を醸すだろう。
無論家具材としても有用。
今回の仕事を達成させ、首尾良くいったらば、機会を見て新材のアカマツを入手し力強いキャビネットでも作ってみようか。
今回木取った材の部分を画像にしたが、春材と晩材が見事なコントラストを見せ、とても表情豊かだ。(台輪、支輪部分)
ややヤニっぽいところも処理は大変ではあるものの、建築材ではその力強さから上がり、床板などに喜ばれているし、手頃な太さであれば茶室(草庵)では床柱にさえ珍重される。
まさに日本の風土、日本建築に欠かすことの出来ない樹種の1つと言えるだろう。

アン・サリー「こころうた」

こころうたアンサリー(Ann Sally )という歌手がいる。
ボクは数枚のアルバムを購入した程度でファンと言うにはほど遠い者でしかない。
そんなわけでこのところ関心が行き届いていなかったのだが、最近「NHKみんなの歌」に作曲・歌手として関わり話題を呼んでいるというので、この曲も所収されている最新アルバム《こころうた》を購入しようと考えている。
試聴も購入もiTSからできるよ。
アン・サリー - こころうた

彼女の存在を知ったのは2001年の!stアルバム《Voyage》から。
その頃は確か医療研修でニューオリンズに在住していて、収録も彼の地で行われたものだったと思う。
彼女は心臓内科医なのだが、現在は帰国し、2足のわらじ、いや3足、4足のわらじで活躍中のようだ。
天は二物を与えず、などと一物も与えられていないボクのような凡人には救いの手ならぬ諦観に逃げ込ませる甘いささやきがあるが、彼女はどこからみても隙のない才媛。ドクターで二児の母親で、Jazzシンガーで美しい人。etc,etc
(第2子はこの5月に生まれたばかり。公式サイトDiaryに詳しいが、娘ちゃん(1)←[長女のこと]は「NHKみんなの歌」で母親の歌が始まると踊り歌うそうだ)
その彼女が「NHKハート展」に応募されたハンディキャッパー(接尾語“er”の用法はおかしいが、日本語化しちゃってる現状に倣う)の詩に50組のアーティストが触発を受けて作品を制作するというプロジェクトの今年の「NHKハート展テーマソング」の依頼を受けて作曲・歌唱した。
彼女が選んだ詩は「のびろのびろだいすきな木」という奈良県在住の加藤勇喜さんの作品。
木という自然界で最大の大きさと寿命を持つ生物を取り上げ、ピュアな心の大きな視野で木と人間の関わりを詩作している。
彼女の作曲・歌もこの清新な詩を自身の世界へと見事に取り込み、これを特有のナチュラルトーンでやさしく歌いあげている。

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