工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

炎天下のハードな作業はほどほどに

マホガニー
うちの業務は基本的には個人のお客さまからの注文を主体として展開してるので、比較的スケジュールの組み方はタイトなものではない。
良質なものを制作するにはスケジュールに追われていたのでは満足できる品質ではかなえられないこともある。
起業したばかりのバブルの頃は若かったこともあるが連日半徹夜での作業に追われたもの。
ただ仲介者もボクの仕事の本質を理解してくれていたので、あまり付加価値の低いものは紹介するでもなく、比較的めぐまれた環境ではあったのでなかなか充実した仕事をさせていただいたと思う。
おかげで毎月のように原木を競り落とすことも出来たし、機械設備の整備も進んだ。
時は移って、現在は景気は思わしくないとはいえ、全てが自身のオリジナルなもので勝負できるので、その点においてはたいへんありがたい。
そうであれば少しはタイトなスケジュールでも応えてやらねばならないかな。
そんなわけで今日はあわただしく倉庫の1番奥に仕舞い込んであったお宝のマホガニーを取り出す作業からスタートしたが、狭い倉庫にぎしぎしに詰め込んであるのでフォークリフトでえっちらおっちら、2/3ほどもの在庫を整理しながらの作業。
こんなに材木持ってどうするのですか、とは若いスタッフのぼやき。
空にはぎらつく太陽。炎天下の力作業はあかん。
ばてばてやわ。
でもやっと久しぶりのマホガニーとの再会。
9.5フィート、3〜4インチ板
サンプルの手板を作るために削ってみたが、例の如くゴマが導管から出てくるのを確かめ、ふむ、なかなか良い木味だとばかり一人ほくそ笑む。

夏の京都

東寺
京都の7月は祇園祭
しかも今日15日は宵宮祭
祇園祭りは八坂神社
八坂神社には鍵善良房
鍵善良房では葛切り
葛切りは黒田辰秋御大による螺鈿の器
そして帳場の大きな飾棚
と、やってきたのは良いのだが、今日はせっかくの祇園の宵山にも立ち会うことなくとって返さねばならないあわただしさ。
往復700Km近い日帰り行。
とはいうものの、古刹の伽藍をただ走り抜けるだけではあまりにも殺生。
東寺の講堂、五重塔を間近から仰ぎ見るのは久方ぶりのこと。
そこからさらに河原町から祇園へ。
車を八坂神社脇の市営駐車場に留め置き、鍵善良房へ。

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トビウオも旬

トビウオ体調30cmほどのトビウオが手に入った。
この初夏から盛夏に掛けてが旬のお魚ちゃん。
型が良く新鮮であれば、もちろんお刺身だね。
白身なので比較的淡泊な味のものだが、ボクは好きだね。
小家族なので2匹だけ買い求めたが、そのうち1匹をお刺身に、残りは塩焼きにした。
海原を数100mも飛翔するという特異な生態を持つことはよく知られているが、太平洋側の人たちには今ひとつなじみがないかも知れない。
日本海側ではもっぱら天日で干したものをアゴと呼び上品な出汁(だし)の原料になる。
これは軽く焼いたものも美味だね。
今日のお刺身はとても良かった。筋肉質なためか身も引き締まっており、味も決して淡泊すぎず、独特の旨みがあった。
魚体が逆三角形をしているので、少し包丁捌きがやっかいかな。
それと小骨が多いので、小骨抜きの道具は欠かせない。
今日のように暑い日の夕餉には、こうしたさっぱりと、しかし良質なタンパク質のお魚が良いようだ。
トビウオの刺身

椅子の再塗装から

田園
炎暑とも言いたくなるような真夏の陽気だったが、陽も沈まんとする夕刻の田園は美しい。
光景を邪魔しているのは「Ram03」というアームチェア。
数日後、顧客の要望で制作対象のサンプルとして持ち込む椅子なのだが、2脚納入後数年経過したものを借り受け、傷を治し、塗装し直したところ。
ダイニングチェアとして使われていたようで、その環境から様々な汚れが付着したり、大小の傷も少なくなく、アイロン、スクレーパー大活躍で、ほぼRenewalできた。
オイルフィニッシュであるので、こうしたRe Finishingは難しいものではない。
Ram03美しさが蘇えりオーナーも喜んでくれるだろうし、新たな顧客へは新規制作への決断へと誘ってくれることだろう。
実はこの椅子の座枠、地ズリはラミネート。
本格的にラミネートを用いたのは、これが最初だった。
過酷な使用環境で経年劣化も懸念されたが、まったくその部分の劣化はなかった。
なお、Top画像のような使われ方は想定していないので、ご注意を !
(Top:クリック拡大)

家具職人はiPhoneをどう使いこなす?

iPhone

昨年のWWDCでのiPhone2Gの発表以来、国内リリースを待ち望みつつ3Gへのグレードアップ進化を見つめてきたので特に驚くようなものは無いはずであったが、しかし昨夜来のメディアのフィーバーぶりには驚きを越えて呆れてしまった。

購読紙朝日に至ってはこのところ連日のように取り上げているし、今日の夕刊では1面トップで六段ヌキ。地元地方紙も同様。NHK他TV局も騒ぎすぎ。

しかしSoftBank表参道店では数日前からの人を先頭に1,500人もの行列が出来る騒ぎぶりを見せられ、またこれが日本に留まらずグローバルな拡がりを持つことを知れば、もうちょっとした世界的社会現象と見なすべきかとも思えてくる。
たかがケータイ新機種リリースが何ほどのものか。

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IKEA商品群への評価は・・

製造会社を明記した上での商品の評価というものは、なかなか難しいものがある。
しかしこのIKEAの商品群というものは、徹底したコストカットでは世界大的規模においての業界の雄であるだろうから、様々な家具制作のスタイルの中での一方における象徴ということでこれを適正に評価することは重要なことだと考える。
またIKEAという企業規模からすればある種の社会的公器としての位置づけがなされて然るべきでもあるだろう。
さて、こんな怖じけた前振りで始まったが、しかし驚くね。
家具制作に従事しある程度の内部事情に知悉している者として、やはりその価格設定について目を見張るものがあるのは事実だ。
例えばIVARという椅子の場合、わずかに¥2,490。
最も廉価なものの1つだが、一応は無垢のパイン材が使われている。
流通コスト、原材料費を除けば果たしてここから製造経費を賄えるものなのだろうか。
確かに組み立てはユーザー側に負担させることが基本のIKEAではあるし、学童椅子のようなチープなものではあるが、一応は椅子の機能は持っている。
ポエング アームチェアあるいはポエング アームチェアという天童木工ばりの積層合板でのリラックスチェア(画像右)なども、なかなかくつろげる良品と思われたが、これも8,000円台から様々なバリエーションで展開されている。
材種はバーチ材突き板とあるが、フェイスがバーチで芯材は何だろう?
また意外に充実しているのがキッチン周りだが、いわゆるシステムキッチンも30万円台から様々に取りそろえる。バブルの頃であれば数百万もしたようなイメージのもので若い女性には強く訴えるのだろう。
北欧企業の設計とあって、スライドレールなど機能性豊かな金具もふんだんに使われているようだ。

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再進出のIKEAに行ってみた

IKEA港北店を訪ねる機会があった。
わずかに1時間ほどの視察であったが、なかなか楽しめた。
広大な敷地を持つ2階建ての店舗だが、主要な商品を展示してあるのは2階。1階は買うべき物が決まった客がセルフで搬出する巨大なストレージとレジ、他にグリーン、飲食施設などがある。
したがって家具を展示するのは1フロアであるが、どれだけの広さがあるのか不明だが、かなりのものである。
元は「ヤナセ横浜デポー」という施設があった場所だそうだ。
視察とは言っても日曜日という繁忙日のためとても混雑していて、人いきれで疲れてしまったこともあり、わずかに1時間ほどのものだったので、詳細な紹介をするほどのものでは無い。
ただ雑誌などでの紹介記事、あるいはIKEAのWebサイトからだけでは伺えない現場視察ならではの獲得物も少なくなかった。
まず何よりもそれは、上述したようにまともな通行もままならないほどの混雑ぶりに示される人気スポットになっていることの実感である。
昨今、さっぱり家具が売れない、国内工場は疲弊する一方、といった消費不況とは一体どこの国のこと?とほおをつねりたくなるほどの“好況”ぶりを見せつけてくれていた。

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IKEA撤退の頃

IKEAという家具ショップを知ったのは80年代初頭の頃だったか。
つまりまだボクは家具職人になろうなどとは思いもしなかった頃のこと。
船橋の湾岸に面した広大な敷地にできた商業施設、「船橋ららぽーと」に大規模に展開していたので、ちょっとおもしろそうだね、と言った感覚で出掛けたのだと思う。
当時はただの客でしかなかったので客観的な評価など出来るはずもないが、あきれるほどの品揃えと品質、その価格にはただただ圧倒されたことは覚えている。
帰りには椅子を1つと、ラグ、ガラス食器など小物をいくつかぶら下げていたはず。
しかしその後間もなく知らぬ間に撤退してしまっていた(1986年)。
ボクはちょうどこの頃から家具職人への歩みを始めたのだったが、その修業先・松本から上京した機会に真っ先に訪れたのは新宿三丁目交差点に出来たばかりの「アクタス新宿店」だった。
その当時はこのアクタスがIKEA撤退を機に設立されたという関係にあったことなど知らなかった。
IKEA撤退後にこの従業員がまるごと移行して設立されたのがアクタスだったことを知ったのはこの世界に入ってからだった。
この「アクタス新宿店」は世界の家具の名作揃いで目を見張るものだった。
当時はミネビアという会社が展開していた青山通りに面した家具ギャラリー(名前は忘れた)でしか見ることの出来なかった北欧の名作が、このアクタス新宿店には惜しげもなくそこかしこに置かれ、家具職人の卵でしかなかったボクには根拠もないのに家具制作への夢を掻き立てるに十分な商業空間だった。
新宿三丁目交差点に繋がる道から少し低い位置に当たるファサードからは、大きな開口部を持つ窓ガラスを通してピーコックチェアが見えたし、2階にはスパニッシュチェアもフィン・ユール、イージーチェアもさりげなく置かれていた。
バブル以降は珍しくもないものであるも知れないが、当時にしてはまさにハイセンスでエグゼクティヴな空間を演出してくれていた。
しかしその後この店舗からはデザイナーブランドが徐々に消えて行き、こうした夢空間からマーケティング優先の現実路線へと大きくシフトしていったようであるが、これもバブルが弾けて世の中全体がうつむき加減になっていた時代相からすれば必然であったのかも知れない。
残念だが今に至れば訪れることも無くなってしまった。
そして2006年、あらためて日本進出を図ったのがIKEAだった。

G8 サミットと世界市民のはざま

G8北海道洞爺湖サミットが開幕した。
1973年のオイルショックを機とする経済危機に直面した日本を含む欧米先進6ヶ国の首脳が集まった会議を起源とする(現在のG8からカナダ、ロシアを除いた国々)。
その後旧社会主義国をも含めG7、G8へと拡大してきたが、いずれにしろ世界の政治経済を支配する首脳たちのクラブだ。
カント言うところの「永久平和のために」が国際連盟結成への思想的基盤であるとしても、G8が果たしてこれを補完するものであるかどうかについては多くの疑問が出されている。
しかも近年では影響力は低下し、形骸化していることは北海道に集結している各国NGOの反G8の運動家の声を借りなくとも、広く共有されているだろう。
今回の洞爺湖サミットでは地球規模での問題になっている環境・気候変動、原油高騰、および穀物高騰でさらに追い詰められているアフリカなど発展途上国における貧困の問題などが主要なテーマとされているが、こんなことは今になって俎上にするまでもなく数10年前から顕在化してきた事柄だし、その原因の多くを産み出してきたのもこれらG8クラブの面々だったのでは無いのか。
さてところで地球環境問題だが、CO2の増大が地球温暖化の原因であるとの前提に立っての議論が果たして正当なものであるかについては専門とする科学者などからも多くの疑念が出されている。(槌田敦 『CO2温暖化説は間違っている』ほたる出版、など)
CO2原因説はCO2排出が大きく削減される原子力発電を推進させるための政治的な背景があるのではないかと言ったような内容で。
ボクの非科学的な知見などでは判断できる領域を越える。
ただ明らかなことはある。
「京都議定書」での主要なテーマである温室効果ガスの削減のメカニズムが「排出量取引」で行なわれるということのユニークさについてである。
確か経済原論では水と空気は交換価値はない、という前提であったはずだが、この空気までもが国境を越えて取引されることの意味するそのすさまじさにまず驚く。
時代は明らかに変わりつつある。
もう1つは、この環境問題というのは「生まれざる他者への倫理的義務」(柄谷行人)という視座の合意形成無くしては解決への道はあり得ないだろうな、ということ。
人なんて所詮刹那的に生きているもので、自分が生きている時間的スパンでしか物事の想像力は及ばないというのが今を生きている人々の多くの立場だろう。
そうした処世を旨とするボクたちが、果たして本当に自らの問題としてこの環境問題を捉えることなどできるのだろうか?
ましてや日本人には「世界市民」などというカント的視座の獲得など遠い世界のことでしかない。
G8がボクたちに何かもたらしてくれるだろう、などという期待などする前に、招かれることなく、このクラブから排除されている多くの国々の現状を知ることから始めてみようと思う。

まずはMNP手続きへ

MNP
今日は恒例の週末買い出しへ。
序でにauショップに立ち寄り、携帯電話キャリア移行への手続きを済ます。
ケータイショップでは2008年夏バージョン新発売とかで混雑しているかと想像していたが、意外にさほどの待ち時間もなく受付カウンターへと通される。
契約時の書類を拡げ、キャリア移行のために「番号ポータビリティー手続き」をしたい旨、伝える。
本人確認などの手続きも含め、いわば事務的に手続きは進んだ。
「月々の料金が高いようでしたら、●▼といった割引サービスもありますので、再考願えませんか」などといった引き留めの説得でもあるのかと想像したが、さにあらず全く事務的なもの。
確かに「どちらの会社へですか」「因みにどのような理由からですか」という2つの問いがあったが、これもマニュアル通りのような声のトーン。
これはボクの使用環境がライトユーザーだからなのかもしれないね。
全くボクのような客などまともに相手になどしていられないと言うことであれば、それも大いに納得できちゃう。
尋ねられた理由に対しては、「ある固有の機種を使いたいから‥‥‥」、と返し、ちょっと間をおき、「iPhoneですね」、と今度は小声で続ける。
受付嬢の表情を読み込もうとしたが、全く変化がないじゃん。(言うべきじゃなかったかと一瞬後悔)
というわけで発行されたのが「携帯番号ポータビリティ(MNP)予約票」というもの。
これを新たに契約するキャリアの窓口に提示すれば、番号をそのまま引き継がれる。
この時点でそれまでのキャリアとの契約は自動解除される。
この「携帯番号ポータビリティ(MNP)」の手続きに伴う(直接)経費は2,100円。
他に契約内容によっては年契約の割引に対する負担金が発生する。
ボクの場合3,150円。
この予約票の効力は発行日から15日間。
果たしてこの間に本当にiPhoneは手元にやって来るのだろうか?
*参照
■ Apple社、iPhone3Gビデオガイド
■ SoftBank社、iPhone3G Topページ