工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

冬季の低温対策

日本列島、底冷えの日々が続いている。
本州ではもっとも温暖な地で知られるここ静岡でもブルブルッ、このところ霜柱も立ち、朝夕はとっても凍える日々。
ならばせめて雪ぐらい見せて欲しいとの願いには、つれなく届いてくれない。
ところで木工をしていて、この寒さというのはどうだろう。
ボクは修業時代を信州で過ごし、零下14度ほどを経験しているので、ある程度の認識はあるつもり。
西高東低の気圧配置は太平洋側に好天をもたらすので、木工を生業にする者にとっては確かにありがたくはある。
ただはやり当地のような温暖な地域ではあまり過度な低温対策は考えられていないので、年に何度も無いと思われるこのような低温では困惑することも少なくない。
低温で困る筆頭に挙げねばならないのは接着剤を使う工程、次いで塗装だろうか。

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MacBook Airとご対面

MacBook Air
いゃぁ、すごいマシーンだ。ため息が出るほどに‥‥。
スペックこそ既ラインナップのMacBookに見劣りがする(後述)ものの、Apple 社のラップトップコンピューターはかくあるべきという意気込みが見事にここに体現されていると感じたね。
静岡市内の唯一のApple社公認のAppleショップ「コジマ・New静岡店」。
Macコーナーは入り口正面のエレベーターを上がった突き当たり、大きな床面積を取った特別なコーナーだ。
あれ、どこかな?と大きな4つの展示台を探すと、テーブルから15cmほど浮かせたプラスチックの台に載せられた小さなノートブックがあった。  オウッ、やっと逢えたね !
Apple社によるラップトップコンピューター(ノートブック、コンピューター)の再定義?
Appleでは「モバイルコンピューティングのまったく新しいスタンダード」としているが。
何がすごいか?
まず上げるべきはそのSexyでクールなデザイン。
既知のように、このMacBook Airは、13.3″ワイドスクリーンLEDディスプレイ、フルサイズのキーボードを搭載しながらも、その薄さ(世界で一番薄い)、重さ(1.36Kg)において革新的なマシーンであることは言うまでもないが、こうして初めて目にし、手に持って感じたことはその斬新で美しいデザインだった。
質感がすばらしく良い。

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あれまぁ、NHKラジオから‥‥

このところ物価は急峻な勢い↑↑で高くなりつつあるようだ。
まず家計を直撃しているのが小麦、原油などの自給率が限りなくゼロに近いものからだが、この物価高もまだ始まりにしか過ぎないのかも知れない。
グローバリズム経済による競争激化の中でまだまだ小売価格に転嫁できずに、労働者賃金の低減などでかろうじて押さえられているだけだからね。
と、今日のNHKラジオ「いきいきホットライン」は「物価高 あなたの買い方は?」とタイトルした放送だった。
機械を回しているとラジオなど聞けないが、今日は午後から手鉋での仕上げ削り作業で、ちょっと耳を傾けていた。
そしたら「静岡のアルチザンさんからのメールでこんなのが来ています‥」といってボクの原稿が読まれちゃった。

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“手作り家具”と機械設備(その14)

機械設備と電動工具の差異および選択基準(その3)

ほぞ

〈加工プロセス〉

〔ホゾ加工〕
無垢材における木工加工において、もっとも重要で基本となるものがホゾ加工であることに異論はないだろうと思う。
この最も重要な加工だけに要求される精度は高いものがある。
したがって必然的にこのプロセスは丸鋸昇降盤、および角鑿盤という機械での加工が基本となる。

対し、電動工具でこれを代替させるものとはどのようなものがあるだろう。
まず丸鋸昇降盤に代替できる電動工具では、電動丸鋸を取り付けることの出来るスタンドがあるようだが、これがどの程度精度も含めた実用性があるのかは知らない。ただ職業木工家がこれを使うと選択はあり得ないだろう。

角鑿盤という機械に対応するものでは、海外の電動工具メーカーから様々なタイプのものが販売されているようだ。
一般の角鑿盤と較べればその使い勝手に大きな差異があるのは仕方ないだろうと考えられる。
機械の角鑿盤と大きく異なるのはパワーもさることながら、やはり移動定盤の機能がない、あるいは加工材の固定システムの使い勝手が悪い、といったところであろうか(これも使用したことがない)。

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休日には‥‥

紅梅
世の中は今日は祭日のようだが、うちでは終日工房に入り浸り。
休まない理由はいくつかあるが、納期に迫られているものがあるのもその1つ。
工房の湿度計の針は40%を指している。
板差しのキャビネットの仕事をしていると框モノに較べ大気の状況にかなりナーバスになってしまうが、ここ数日乾燥した大気に包まれているので加工も快適に進捗している。これはとてもありがたい。

以前、こうした木工作業にとって環境の良い秋から冬にかけて板差しのキャビネットをやってしまおうという考えのもと、集中的に実践したことがあったが、なかなかそうした戦略も継続できるには至らなかった。

ボクたちのように幾分創作的な仕事をしていると、工房に閉じこもっていただけでは良い仕事はできない。
ボクぐらいのキャリアを積めば加工工程などある種ルーティンワーク的に進めることが出来ないわけではない。
精度においても、品質においても高いレベルを維持し、しかし決してストレスを感じることなく淡々と進めることはできるものだ。
しかし、それはただそれだけで、それ以上ではない。
求められるのは、それ以上のクォリティー、かなりの部分で創作的な領域のところに踏み込んでいくことであろう。
そうした自覚に殉ずるのであれば、知見を豊かにする、美意識を鍛える、といったことを日常的な活動の中で課さねばいけない。
工房だけに閉じこもっているだけではそうした世界への扉は開かれない。
あるいは外から誰かが持ち込んで来てくれるというほど甘いものではないだろう。
時には工房を閉め、業務とは直接関係しないジャンルの美術展、あるいは音楽会でも良いだろうから足を運び、何らかの直接的な示唆を受けたり、そうでなくとも美意識を涵養できる場へと向かっていくのは必要なことだ。
いやむしろ木工という専業に活用できないか、というような目的意識を離れたところで、素直に耳目を喜ばせてやることの方が良いだろう。 
今は様々な情報がネット上にあふれかえっている。検索ツールを適切に使いこなすことで、かなりの程度での有用な情報も取得できるかもしれない。
しかしそれはただそれだけ。
時にはネット接続を切り、沈思黙考(木考?)するのも良いだろうし、買い求めただけで全く手の着いていない本を開くことも重要だろう、あるいは気が置けない友人とのたわいない会話も良いものだ。
せめて休日は工房を閉め、ネットを切断し、違う世界へと向かわねば……。

薪ストーブ

薪ストーブ

今年のサミット(G8)は洞爺湖で開催されることになっている。
主要なテーマの1つが気候変動と持続可能なエネルギーに関することになるだろう。
一方で原油価格の高騰は私たちの生活基盤をも揺るがしつつある。
ガソリン車を乗り回し、生活の隅々まで電気エネルギーの恩恵を受ける近代文明にも少し影が差してきているようだ。
というワケで木工房では薪ストーブが大活躍。
ちょっと飛躍に過ぎる話しの展開だし、大体薪ストーブはCO2の排出源だろ。
木を伐採し、これを熱エネルギーに変え、CO2を排出させるのは二重の罪?
しかしうちらの薪ストーブの燃料は家具制作で不可避的に排出される木っ端からのものだし、ただ焼却炉で燃やされるのとは違い、石油に代替させるものだから悪役ということにはならないかな?
でもこうした話しは冗談で済まされた時代は終わり、個々人がどのような生活スタイルを取るのか、ということが真に問われるような時代に入ってきていることはひしひしと感じている。
欧州では、日常生活においてどのようにして環境負荷の少ない生活を送るのかという話題が当たり前のように交わされている。
そうしたことへの危機意識が希薄なのは、先進国では日本と恐らく米国の2国だけ。
問題はプリウスを選択するのが格好良いということではなく、生活の在り様を根本から問い直す、ということにあるのかも知れない。
中毒餃子問題が示した食の国境を越えたアウトソーシングの危うさが教えているのが、地産地消、スローフードへの移行の大切さであるということと、ほぼ同じベクトルの問題なんだろうな。
工房では薪ストーブを2台設置してあるが、1年間に貯蔵される木っ端の分量と、消費量がほぼバランスする。
その年、仕事が薄いと燃料が足りなくなってあわてふためくことになるが、幸いにして温暖化傾向が続いているせいもあるためか、十分足りている。
ここ静岡は温暖だしね。
今日は名古屋では大雪だそうで、ここちらでも初雪か、と期待したのだったが、冷たい雨も結局雪に変わることもなく、夜半には晴れ上がってしまった。  (__;)

“手作り家具”と機械設備(番外編)

天秤差し

今日はちょっと番外編

この画像「Secretary」、いわゆるライティングビューローと言われるキャビネットの帆立+天板の接合部分の加工途上のもの。

これまでもかなりの数の「Secretary」を制作してきたが、この部分の接合仕口も様々。
様々というのはちょっと違うな、2種かな。

1つは「襟輪付き鬢太留」(=核相欠留め接ぎ)という手法も良く用いる。
これは外側見え掛かりが完全な留めに納まるのでシンプルで美しい。
接合度も比較的堅牢だ。
加工難易度はやや高度というところだろうか。

ただーターマシーンルが無いと難しいだろうね。留め部分の切削加工がキモだからね。
また見付側に仕口がそのまま出てしまうので、共材(1枚の板を必要分割いて)を用意し、これを留め加工し、組み立ててから貼り付けねばいけない。
この手法が少しやっかいではあるね(帆立のこの部分は傾斜しているしね)
しかし守備万端上手くいけば綺麗なものだ。

もう1つがこの画像のような「天秤差し」の仕口。
難易度もやや高度といった程度か。
江戸指物などの伝統工法から考えれば、木口を見え掛かりに出すのは潔しとしない、ということになるので、この仕口はこれに反することにもなるが、いわばクラフト的なアプローチであえてデザインとしての美しさを見せるということでは意味のある手法だろう。
接合度はとても高いものがある。

天秤の最も薄い頂点の部位はわずかに2〜3mm。
様々な考え方があるだろうが、ボクはこの位が美しいと思っている。

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“手作り家具”と機械設備(その13)

機械設備と電動工具の差異および選択基準(その2)

前回に続いて〈木取り〉の続き

帯ノコ(バンドソー)は丸鋸昇降盤では過負荷な厚板、あるいは曲面成形を目的とした木取りにその能力を発揮するので、そうした家具を制作する工房では整備されているものと思われる。
ここでは帯ノコの解説はしないが、基本は適切な刃の選択と、セリーの調整に全てが凝縮されるということだけ触れておこう。

一方これに対し、電動工具ではジグソーというものがある。
これも手軽に荒木取りに使える工具だ。
切削能力は厚みで50mmほどが限界か。
BOSCHの専用刃はなかなか切れ味も良いのでそれなりに木取りにも使えると思われるが、ただやはり機構上の制約から切削スピードはとても遅く、また直線性においてこのジグソーに求めるのは精度の点において無理があるだろう。
やはり曲面切削に特化させた使い方になる。
なお、この種の切削ではバリが大きく出てしまうので、機種によってはバリ押さえのアタッチメントがあると思うので、これを取り付けての作業を心掛けるべきだろう。

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人間ドック

白梅
今日は予約を入れておいた市民総合病院での検査日。
人生はじめて「人間ドック」なるものを受診。
既往症として「呼吸器疾患」(喘息だね)があり、定期的に受診しているので、いわゆる一病息災という奴で、他の疾患の早期発見へのアンテナは張っているつもりだったが、父の若くしての死去、昨年の兄の病死などを目の当たりにしてやや警戒心がもたげたという訳だ。
しかし何だね、この「人間ドック」受診経験のある方も多いと思うけれど、できればもう2度としたくないと思わされたね。
過酷なのは胃カメラ。ボクは初めてだったがあんな異物を天からの預かり物、この神聖なる身体の中に入れるだなんて、神をも冒涜するような所業ではないのか。
もう2度と嫌だね。 うっ‥ (/_;)
オヤジが死んだときにしか落涙しなかった男が、不覚にも泣けてきたね。
ところが休憩室で次の検査の順番待ちをしている10人ほどの受診者に尋ねてみれば、毎年受けていると言う人も少なくないと言うからこれには本当に驚く。

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“手作り家具”と機械設備(その12)

機械設備と電動工具の差異および選択基準

木材加工では一般に機械と電動工具、それぞれその特性において使い分けられているだろう。
また丸鋸昇降盤、あるいは横切りなどと、丸鋸という電動工具は材木のリッピング(幅割き)クロスカット(切断)において一部同じような能力を持つということで、その選択を迫られるということもある。

ヘビーデューティーのルーターマシーンとハンドルーターも同様のことが言える。
ここではそうした機械と電動工具の使い分け、選択基準について考えてみたい。
まずあらかじめ確認しておきたいことがある。
ここでは職業木工家を対象とし、工房スタイルの家具制作を行うことを前提としたものであり、やや限定的なものとならざるを得ないが、他の環境での木工にも援用することで同様に考えていただけるものと考える。

さて、木工加工のプロセスに準じて取り上げていこうか。

〈木取り〉から。
木取りという工程にはどのような機械が用いられるだろうか。
木取りでの鋸での切断にもクロスカット(繊維を直交する切断)、リッピング(繊維方向での切断)の2つがある。

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