工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

角面取り鉋、揃い踏み

角面取り鉋
面取りという加工は、ピン角のまま捨て置くことによる危なさを防ぐ目的もある(木部そのものの破損リスクもあれば、手を触れたときの危険性もある)が、それ以上に造形におけるディテールを決める比較的重要な要素でもある。
角面というのは坊主面と並んで、もっとも一般に広く用いられる面形状だね。
加工工程としてはカッター、あるいはルーターでの切削となるが、その後の仕上げはやはりきちんと一鉋(ひとかんな)掛けたいもの。
昔からこの角面の仕上げ用に特化した「角面取り鉋」というものがあるが、画像にあるように様々なタイプのものがある。
過日、平出さんの訪問の際に購入したのが、一番小さなダボ式のもの。
普段忙しいのでほったらかしだったが、やっと昨日台のチェック、刃の裏押しなどの仕込み作業をして使える状態に。
あえて新たに求める必要があったわけではないが、平出さんの営業への貢献?も考え、揃えたと言うところ。
ま、無駄にはしないようにしたいものだ。
他の標準サイズのものと並行に使って行こうと思う。
このダボ式はサイズ合わせが少しやっかいだが、しかしボクの手は木工屋としてはやや小さな方なので馴染みやすいサイズかもしれない。
訓練生当時に購入したのが金属製のネジ式のものだったが、その後木製のネジ式のものを入手し、これが専ら現役。
その後金属製のネジ式の方は任意なところから掛けられるように台を細工してある。
読者で、もしこれから入手されるのであれば木製ネジ式のものにすべきだろう。

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李朝家具の美しさとは

家具の美しさとは何だろう。
今日取り上げる画像は李朝の家具だが、いずれも松などのありふれた材を用い華美なものを極限的に排除した簡明な造形のものばかり。
李朝の家具はどれも好ましく感じ入ることが多いのだが、中でも今日紹介するような削ぎ取られた意匠を持つ重厚なものが良い。
華美とは対極のどこか無骨で鈍重。しかしそれだけに存在そのものが力強くそこにある。
無論、繊細で精緻な造形と華やかな意匠を持つ両班(やんばん)、文人が使ったと見られる高級なものも好きだが、どちらかと言えば画像のような素朴なものに強く惹かれてしまう。
陶器で例えれば伊万里のような端正で華やかなものから受ける美しさに対し、ただ呉須で唐草などを簡素に描いただけの、造形的にもよく見れば首先が少し歪んだような李朝の白磁に見られる不作為な美しさの方に魅入られることに通底する何ものか、だ。
自身が作るものはむしろ近代を経てきた時代に様々に規定されたような意匠であったり、市場、メディアを過度に意識した“いやらしい”作為的なものであったりするのかもしれなないことを振り返れば、これらの李朝のものには実に健康的な美意識を見ることが出来るし、品性において勝てないよな、と脱帽してしまう。
これがどこに起因するのかの分析は、美術史家、民藝研究家などに委ねる方が良いだろう。
浅学なところから解釈すれば李氏朝鮮が儒教精神に支配されていたということもあるだろうし、前近代の非合理的な価値概念からくる美質の特徴と言えるのかもしれない。
あるいは簡素な樹種しか産出されないという気候風土も影響しているだろう。
こうして好きな李朝様式もいざ自分で制作するとなると話しは違ってくる。
恐らくこうしたものをボクが写して作ったとしても、ただの似て非なる偽物にしかならないことぐらい分かり切っているのでそんな愚かなことはしない。
李朝家具1

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ドレメルの破損

Dremal
昨日、長年使ってきたドレメルが破損。
「DREMEL moto-tool Model 395-3」というありふれた機種。
モーターの回転が軸先へと伝わらなくなってしまった。
最近どうもこうしたトラブルな記事が多いね。
この際、某政党、党首の異名、「壊し屋」の別称でももらおうか。
この「ドレメル」使用頻度はとても低い。
もっぱら家具金物に関わる金工に使ってきただけ。
今回は先に入手した2枚刃の南京鉋を仕込む過程でのこと。
南京鉋は台に過度なストレスを受けるので、使用に供するにあたってはまず何よりもあらかじめ口埋めをするのが最初の仕事となる。
南京鉋に限らずボクたち職業木工家は一般に鉋の刃口を埋めておくことが多い。
通常は白樫、赤樫、あるいは黒檀、紫檀など堅木の木口を用いるが、南京鉋ではさらに形状安定を求め、真鍮板を使うことも屡々。
今回もこれに倣い、いそいそと真鍮板を取り出し加工に入った矢先のことだった。
口埋めは刃口部分だけをやるのが普通だが、南京鉋については上端側も含め2箇所に施すことが多い。
今回はこの2箇所を1枚の真鍮板で作るべくドレメルにご登場願い、中央部に一定の幅のスリットを入れようとした。
ドレメルの先端にダイヤ粒を融着させた円盤状のビットを装着し、加工に入る。
最初は2mmほどの厚さの真鍮板も快適にスリット状に開けることができたのだが、数分して先端のビットは回転が停まってしまった。
モ−ター部は異常なく回転しているようで、どうも伝達機構がやられてしまったような症状。

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木材資源の多様化と刃物メーカーの悩み

旧聞に属する話しで恐縮だが「名古屋国際木工機械展」には出掛けたいと考えていたものの残念ながら行くことが出来なかった。
木工機械としては日本最大規模のものだから、毎回とはいかなくとも見ておきたいイベントだ。
見てもいない話題を取り上げるのは、今朝出展していた刃物メーカーの担当者が工房に立ち寄り話題を提供していってくれたから。
現在刃物メーカーの目下の課題の1つが多様な素材にどのように切削刃物を対応させるか、ということなのだという。
無垢材であれば全く問題にならない切削性能も、現在の木工、建築の分野での素材の多様化は刃物メーカーを大いに悩ませているということだ。
驚いたのはパーチクルボードの素材にはコンクリートパネル(コンパネ)の再生品が含まれ(再生パーチクルボードというのかな)、当然にも石材、セメントなどが混入しているとのこと。
したがって超硬刃物も1回で切れが止む。
ダイヤモンド刃物で無ければ対応できはしない。
あるいは木型なども樹脂素材へと転換しているように樹脂加工分野への切削技術の応用が拡がってきている。
例えば木型などでは成型切削後、サンディング仕上げの過程でエッジ部分が“だれ”てしまう。これを回避するには良く切れる刃物でフィニッシュにまで持って行きたいとの要求もでてくる。
訪ねてくれたのは機械展の招待券を贈ってくれたドイツの刃物メーカーの担当者だったが、カネフサなど日本のメーカーと較べれば、こうした素材の多様化への対応はどうしても国境を越えてしまうという制約において競合できないのだと嘆く。
あるいは昨今の尋常ではないユーロ高はコスト面において営業戦略を大いに悩ます要因となっていることも確かなところだろう。
はてさて‥‥、
考えさせられたね。量産家具メーカー、あるいは建材メーカーの多くはコストカットのためにはチップボードにコンクリート混入があれども使わなくてはならないという時代の要請は、ちょっと尋常ではない。
しかし一方、何でもかんでも無垢材というのも大衆消費社会にあっては無理難題。
ボクたちの狭い世界であっても如何に無垢材を有用に活用するのかということは現実的問題として俎上にあることも確か。
いわゆるランバーコアなどの活用、あるいは自からランバーコアを作ることも含め、貴重な天然素材のサスティナブルな活用という問題は避けて通れない課題だ。
*参照
パーティクルボード:
JIS規格:JIS A 5908

ナラのワードローブ(その2)

杢楢
このワードローブ、過度な装飾もなければ新奇な造形を持つものでもない。また特段新たな技法を用いたものでもない。
何がポイントかと言えばナラという重厚なイメージの材料を選択し、簡素ではあるがこの材種の特性を活かした重厚なデザインとしたところにあると言えば良いだろうか。
厚めに木取った4本の柱は互平(ごひら)に配置され、帆立には無垢の3枚構成の羽目板がホンザネで継がれ柱と上下3枚の横框に落とし込まれている。
柱はややテリ脚の造形が施され、安定感と重厚さを視覚的に与えている。
上下の棚口は互平の柱からそれぞれやや張り出させ、支輪、台輪のイメージをも兼ねさせる。
扉は框組とせず、左右2枚づつの無垢板をホンザネで合わせただけのもの。
この扉板は、吸い付き桟の機能を持たせ、左右それぞれ3箇所に打ち込まれたナックルジョイント様の丁番へと接合される腕木によって支えられている。
中央のこの吸い付き桟を兼ねた腕木は、それぞれ端末で大きくしゃくり出されハンドルとして機能させている。
あえてデザイン様式を辿ればスパニッシュ風と言えるかも知れないが、お客様への説明では「鎧戸のような」というような言い方をしたりする。
デザインはいろいろと盛り込む必要はない。簡明で、シンプルに。
しかしボクたち木工家はデザイナーが描くデザインプロセスとは異なり、あくまでも木に始まるということにおいて優位性を持つだろうし、さらにはまた木工技法(仕口などの体系を含む)を自家薬籠中とすることで、デザイン領域においても自由が獲得できる。
楢、拡大このキャビネットにそうした木工家ならではの優位性を見ることができるならば木屑にまみれるのも悪くないものだとひとりほくそ笑む。

Top画像は昨日話題にした杢けのある楢だが、帆立の羽目板として木取るべく、厚板を再製材するための基準面出しの合間に撮ったもの(今日はお天気がすぐれず、コントラストが悪すぎた)。
下は拡大(部分)

ナラのワードローブ

工房ではワードローブの制作に掛かっている。
「木工家具の工房悠」サイトに紹介しているものと基本的には同じデザイン。(こちら
このスタイルのものは過去10台近く制作してきているかな。
多くはワードローブという用途を持ったものだが、いくつかはロッカー風のものだったり、整理棚のようなものだったりと、内部の構成を変えることで様々に対応させてきた。
今回は以前、卓をお買い上げ頂いた方からの注文によるもので、制作に当たってはいくつかの条件が付いた。
中でも絶対的な条件として、扉、および帆立には杢を持つミズナラをふんだんに使う、ということであった。
しかも2尺幅の帆立もこの杢のナラの1枚板でという、かなり厳しい条件が付帯する。
ほぼこの仕事で杢のナラは使い切ることになる。オサラバだ。
このナラと出会って、そしていくつもの家具に使われ、そして残る数枚の用途も決まった。いささかの感慨もあろうというもの。
しかし作品となってお客様のところで楽しんでもらうことが最高の栄誉だからね。
この杢がかったナラ。今はない地元の原木市で競り落としたものだった。
末口70cm,、5m近い長さのものだったが、長さのその半分ほどはひどい虫害で家具材としては使用に耐えられそうにはなかった。
しかし丸太の木口を見ると実に年輪が詰まっており、ざっと見ただけでも200年は越えそうな年輪を数え、その魅力に惚れ込んでしまった。
要するにヌカ目であったわけだが、本来ナラのような広葉樹では過度なヌカ目は避ける。つまりナラの特性である重厚さに欠けることを嫌うからだ。
事実、投票ではあまり対抗する票がなかったのだろう、決して高い単価で入札したワケではなかったが、見事に競り落とすことが出来た。
製材では、まず5mという長さを半分に切り落としたが、片方には虫害にはほとんど侵されることなく、とても良い材が取れた。
一方の虫害を受けた方も、いわゆるアンティーク調の仕上げを持たせることで有効に使ってきた。
何故ならば、このヌカ目のナラは実に素晴らしい木目を有していたからだ。(欧州の木工品にはこの虫害を受けた材が良く用いられている)
皮に近いところ(辺材)には玉杢のような、あるいは葡萄杢のような、多様な細かな杢がびっしりと付いており、とても気品のある材で、それまでも、あるいはそれからもこのようなナラには一度もお目に掛かることのない実に稀少なものだった。
恐らくは同業の士でも、色を隠し、臭いを隠した状態でこの杢を見せても、その材種を峻別できる人は少ないだろうと思われるようなものだった。
天然乾燥を3年ほど。その後人工乾燥に入れ、工場に入ってからは、専ら拭漆の飾り棚などの羽目板などに用いてきたのだが、上述の顧客にこのナラ杢を用いたキャビネット()をお見せしたところとても気に入り、今回のワードローブにふんだんに使うこととなった次第。(本稿、続く、かもしれません)

ソファの快楽

ソファ
木工屋にとってソファという座具の位置づけは、いささか微妙なところにあると考えるが、同業の諸兄にとってはどうなのだろうか。
つまり座具としての基本的機能がソファという性格からして、クッションの部位に大きく規定されてしまうということから、専ら木工が主たる責任領域の場に位置するものとしてはやはり“ビミョウ”な領域なのである。
これは何も製品(作品でも良いが)の最終的品質の責任を回避しようということではないのだが、自分では関与しきれない外的要因というものを排除できないことから、したがってどこかやはり全的に責任が取れないものだなという隔靴掻痒の思いが拭いきれないことによる。
そうした不確実性から免れたいのであれば、自身で張りまでを責任取れば良いのだが、木工屋がそこまで介入できると思うほど、張り加工が安易だと考えるのは間違いだろう。
結局は、張りについての技術、素材など自身で良く学習し、そして良い張り屋さんとの出会いを求め、良いパートナーシップを作り上げ、共に高品質なソファを作り上げる強い意志を固めることでしか実践的な道は無いのだろうと思うね。
近くに良いチェアメーカーで名を馳せる森下さんという知人木工家がいるので、的確なアドバイスと刺激を受けつつ、一歩前に進むということになる。
画像は以前紹介したソファの2P版。
デザイン的にはご覧のように Arts & crafts の残滓を持ちながらも、モダンで高品質なものとなったと思う。
木部はブラックウォールナットの良材をふんだんに用い(市場で流通している“オカシナ”ウォールナットではなく、本来の色味を持った真性な方)、重厚かつ軽快(形容矛盾ではなく、材の取り方、デザインなど総合的な視点からの物言い)なものとなった。
張りも、張り屋さんとの徹底した技術的、造形的議論を重ね、また苦労させつつ、やっと仕上がったもの。
2Pとはいえ、ややたっぷりとした間口を持つので、住宅の居間におけばその存在感は絶大。
在庫あります。買ってください。
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わが JBLコンパクトSPがご臨終

Macに繋いでいるスピーカーが壊れた。
JBLのCM52という壁掛け型の小型のもの。
13cmバスレフウーファーとドーム型のトゥイーターの2Way。
なかなか抜けが良くそのボデーサイズに似合わぬ音を響かせてくれていた。
以前、サウンドコンソールというキャビネット(こちら)を制作していた頃に、モニターとして展示会場に持ち歩いていたもの。
その後はMacの音源を鳴らすには手頃なサイズと性能であったので、大いに活用してきたところ。
購入は10年ほど昔のことになるだろうか。
安価なものでもあったので、10年での償却は仕方ないかなとも思うが、一方破損箇所からすれば製造上の問題もあるのではとの疑いもある。
トラブルは突然起こった。
左チャンネルが音割れしてきたのだ。
前部の金属ネットを外せば、想定通りウーファーのコーンと駆体外周を繋いでいるウレタンゴム様の部分に亀裂があった。
要するに経年劣化という症状と思われるが、大音響などを出したこともなければ、置かれている環境が影響したと考えられる要素もない。つまり過酷に使用してきたとは考えられないのだ。然るに10年で破損か。
この破損したウレタンゴム様の部分をよく見れば、もはや音源の振動に耐えられる物理的強度は微塵も感じさせないもので、ボロボロ。
これは素材選択の誤りではないか?
あのJBLにしてこの仕様は理解できない。
いや、理解せねばイケナイか。わずかに数万円の価格帯で性能を要求すること自体間違っていると言われてしまうのか。
さてさて、噂のMacのノートブック更新も昨夜のスペックアップ発表で今年も終えるようだし、このための購入資金は壊れたスピーカー更新に回すしかない。
そしてここは10年間楽しめただけでもありがたいと感謝し、丁重に廃棄してあげよう。
参考までに“Macに繋いでいる”ということについて一言。
USBからデジタル音源を取り出し、これをデジタルアンプで増幅して、スピーカーへ、というシステムだが、アナログと較べればコンピュータ内部のノイズからは自由だし、劣化も無い。音源にかなり忠実に再生が可能。
低音部が脆弱であれば、サブウーハーで増強すれば少しは改善する。(小型のデジタルアンプでも、このサブウーハー用の出力端子があるはず)
iTunesを含め、コンピューターでAVを楽しむ環境が普通になってきた中、ぜひデジタルアンプを介した再生システムを整備したいもの。
したがって、スピーカー選択においてはある程度の性能が望ましい。
やはりJBLで探すか、BOSEでいくのか、暫し、悩ましい日々が続きそう。
時間があればオーディオ専門店などで聴き較べするのが一番だね。
(BOSEであればBlog右メニューのRecommendのバナーをクリックして行ってみよう)
*関連する過去の記事

「北欧モダン  ─ デザイン&クラフト ─」展

北欧モダン
東京オペラシティー・アートギャラリーにおいてこの週末11月3日から「北欧モダン  ─ デザイン&クラフト ─」展という催しがはじまる。
かつて日本橋の「東光堂」という洋書屋に足繁く通っていた時のこと、店員のTさんから薦められて購読し始めた雑誌があった。
Design from Scandinavia』というもの。
不定期刊行のものだったが、スカンディナヴィア半島のスウェーデン、ノルウェー、フィンランドにおける近代建築、工芸、テキスタイル、家具などをグラフィカルに美しく紹介するもの。
この雑誌の編集、割り付け、写真それら自体が北欧モダンを印象づけるものであったし、アルヴァ・アアルト、ハンス・J.ウェグナー、フィン・ユール、アルネ・ヤコブセンなどの著名な建築家、デザイナーだけに留まらない洗練されたデザイン、工芸、家具などインテリア全般にわたる紹介には底知れぬ北欧デザインの力と未来性を感じ取ったものだった。
今回の企画は〈伝統、機能、表現 ─ 三つの視点から黄金期の「北欧モダン」を回顧する〉という。
北欧に共通する豊かなライフ・スタイルを日用品、家具などに込められたデザインとクラフトマンシップを網羅的に展示することで紹介するものとなるだろう。
会場の様子は既に巡回してきた京都市美術館のサイトに11枚の画像で提供されていてこれが参考になる。(下にLink参照)
スカンディナヴィアのデザインというものも日本においては過去何度かブームになってきて、今やその評価も定着していると考えても良いだろうが、あらためてこうした企画でその全貌に近い展示に触れることが出来るのは良いことだ。
東京オペラシティー・アートギャラリーは過去3度ほど訪れているが、とても整備の行き届いた展示空間であるので、ゆったりと観覧できるだろう。
期間も08/01/14までと10週間あるので、ぜひ機会を作り観覧したい。
また本展示会では「スウェーデン若手クリエイティブ・ユニット」というデザイナーたちによる「トーク・イベント」なども企画されているようだ。
巨匠たちの業績を越えて、彼らがどのようなスタイルを標榜しようとしているのかは興味深い。
■ 「北欧モダン  ─ デザイン&クラフト ─」展 公式サイト
■ 京都市美術館 関連ページ
   *TOP画像はパンフレットからいただきました。

〈現代の名工〉に32歳の建具職人

〈現代の名工〉とは

卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰するものであり、昭和42年の創設以来、技能者の地位及び技能水準の向上を図るとともに、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を志す若者に目標を示し夢と希望を与えてきた。
                (所管の厚生労働省サイトより)

この〈現代の名工〉の第13部門(木・竹・つる製品製造の職業等)に32歳の若さの建具職人が選定されたというので話題になっているようだ。(毎日jp
新潟の渡邊文彦さんという人。 
ネット上ではいくつか関連する情報があるが、ここでは再び担当官庁のサイトから
渡邊文彦さんの作品写真等を(こちら
この〈現代の名工〉、以前地元でも家具職人が選定されたことがあったが各地域でも同じように話題に登ったこともあるはず。
今回の渡邊さんの場合はその32歳という年齢が意外性を呼んでいるのだろう。
しかし詳細を垣間見ただけでもその技の冴え、アイディア、デザイン性に優れたものがあることは間違いないように伺えた。
参照(「渡辺文彦さんの妙技」
昨今、建具職と言えばもっぱら大手メーカー製の既製の建具を入手し、これを建築現場で寸法合わせするだけといったイメージがあるかもしれないが、どっこい、まだまだ伝統的手法を駆使し、より高精度で美しい日本建築に欠かせない建具を制作している職人は多いだろうと思う。
昔から家具職人に較べれば建具職人の方が高度の技を必要とされる、といった言われかたも事の全てでは無いにしても、あえて異論を挟むものではないようにも思う。
建具におけるデザインの妙である組子の加工というものは、我々の家具制作における加工とはかなりその様相は異なる。
あまり詳しく知るものではないのだが、その多くは〈ラジアルアームソー〉という機械を駆使しているのだろう。
上記参照サイトの組子を見ただけでも、その要諦は1枚の建具の全体的なデザインと、組子細工におけるディテールのデザインアイディアか。
そして多様な幾何学的構成を産み出す頭脳の柔軟さというものが決め手なのかもしれない。
そうした意味合いでは、年齢が32歳というのもおおいに首肯できるところだろう。
家具の世界では有名なJ・ナカシマだが、彼の一連の照明シリーズ、キャビネットの一部にも用いられている麻の葉文様の障子をイメージした扉なども、まさに日本の建具そのものであり、彼のアシスタントの建具職人の尽力なくしては産み出し得ないものであったことを想起することもできるだろう。
また建具の世界は2次元での表現であり、家具のそれは3次元という違いがあるのだが、その精緻なデザインと加工においては学ぶべきところは大きいと思う。
この渡邊さんという若い職人も海外での紹介活動も活発なようで、今後の活動を期待したいと思う。
なお木材工芸の世界では林久雄さんという建具技法を縦横に駆使した照明を制作している工芸家がいて良く百貨店の展示会などでご一緒するのだが、次にお会いすることがあれば、今回の選定などについてもお聞きしたいと思っている。