工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

Macのある生活の更新

10年ぶりのiMac更新

私のメインコンピューター、iMacは快適に運用してきているとは言え、数年前からほぼ1年ごとに更新されるMac OSにも対応することができず、いわば騙し騙しに使い続けてきたものの、いくつかの必須のソフトウェアが使えなくなり、いよいよ運用の限界を越えてきていた。

それまでのMacは[iMac 27″ 2009 late]というマシンで、Mac OS の動作システム条件としては Mac OS High Sierra(10.13)まで対応するとのことなのだが、一度このアップグレードを試みたものの、動作がとても緩慢で使用に耐えるものでは無かったため、あえて Mac OS OS X El Capitan(10.11)にダウングレードするという苦々しい経験を強いられたものだった。 一般的にはOSのダウングレードは推奨されず、イレギュラーな手法でのダウングレードだった。

数世代前のOSであるとはいえ駆動そのものはまずまず快適だし、モニターも27インチというサイズに助けられ、美しいMac環境にさほどのストレスも感じさせること無く使っていただけに、このいくつかの動作不良問題でマシンの更新を余儀なくされるのは悔しい。

しかしこの日進月歩のコンピューターの世界では旧型に愛着を持つのも限界というものがあり、かなりの出費を強いられるものとはいえ仕方がない。

ここはむしろ、10年という短くない時間軸で使い続けてこられたことにはあらためて静かな感動さえ覚えるものがあり、今はこの断念を越え新たな環境構築に励むべき時なのだ。

1年ほど前から同機種の更新を待ち、その時点での購入を決めていたのだったが、このiMacの場合、2017年6月の更新を最後に、その機会は訪れること無く無為に時間だけが過ぎ去るという状況に耐え忍ぶ日々だった。

そしてかすかな希望を抱いた先月末のApple社のイベントに先んずること4日前、突如、新たなiMacが発表された(Apple.inc サイト)。

その内容だが、CPUの更新のみで、新奇性の仕様を提示するものではなく、いささか落胆させられた事は確かだったが、さらにこの2年先の更新を狙うだけの悠長さは持ち合わせておらず、ためらわず購入手続きへと入った。

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園児ロッカー

園児ロッカー
園児ロッカー

先に記事に上げた教会の調度品・講壇と併せ、併設する幼稚園の園児たちが使うロッカーの依頼があり、72人分というボリュームでの制作でした。

若い頃、松本民芸家具の販売店からの依頼で幼稚園家具の制作を何度か経験していますが、現在はこの種のものは請けていません。

先般も近くのフラッシュ家具工場の専務が訪ねてこられ、幼稚園の調度品を作ってくれないかとのお話しがあったばかり。
これには丁重にお断りし、付き合いのある他の木工所を紹介させていただくといった具合です。

ただ今回は教会の調度品制作の機会をいただいた際、もし可能であればということでしたが、
教会の主要な調度品の制作機会を頂いた関係上、条件が折り合うのであれば期待にお応えしなければいけません。

詳細な設計見積したところ、既製品より工房 悠 仕様の高い品質でも一定のボリュームがあれば既製品と遜色の無い価格帯で対応できることが確認でき、制作することに。

予算内で納めるのは決して容易なものではありませんでした。
このような場合、既製品の方は無垢材とはいえ、パインや間伐材のヒノキ、あるいは集成材などといった二等品を用いたものであるのに対し、無垢の広葉樹種を主材とし、品質のクォリティを維持しつつ、いかに生産性を上げるのかが鍵になります。

課題として以下のようなことがリストされます。

  • 主材の材種に何を選ぶのか
  • 品質水準を高めるための意匠と構造
  • 生産性を上げるための仕口の検討
  • 長期の使用に耐える耐久性
  • 園児の使用にふさわしい仕上げ品質をどのように満たすのか

 

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抽手の仕口を〈寄せ蟻〉で

寄せ蟻 抽手(手前左だけが加工済み)

抽手やつまみを木製のカスタムメイドで作ることがあります。

私は抽手やつまみは基本的にはハードウェアとしての金属製が望ましいと考える立場ですが、思うようなものが入手できない場合などでは木製という選択肢に拡げることもあります。

刃物ストレージ(抽斗部分はルータービット収納)

これまで多くの抽手を作り使ってきましたが、あらたに木製のハンドルを作ることに。
これは刃物の収納キャビネットを制作した際に試みたもので、いわば試作段階ですが、結構いけてますので意匠的にはさらにブラッシュアップさせたうえで定番にしようかと考えているところ。

形状に特段の新奇性があるわけでは無いのですが、仕口はちょっとユニークかも知れません。
抽斗前板との接合部(脚にあたる部位)を寄せ蟻の仕口にしてみたのです。

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BOSCH 12Vコードレス電動カンナへの羨望の眼差し

前回ご案内したBOSCHのエルゴノミク ハンディトリマ・GKF10.8V-8H ですが、バッテリーのLi-Ion化による蓄電量の増大を背景に様々な工具をコードレス化させている時代の1つの表象でしたが、同じ10.8V(12V)シリーズで、BOSCHからはプレナー(電動鉋)がリリースされています。

残念ながら日本国内での販売は無く、海外から取り寄せるしか無いのかなと思ったところ、Amazon Japanでの取り扱いがあるのですね(こちら)。
これはBosch Japanによる正規販売ではなく、輸入業者による国内取り扱いなのでしょう。

国内でも同じBoschの18Vのコードレス鉋を含め、マキタなど、コードレスの電動鉋を製造販売しているところですが、なぜこのBOSCHの10.8Vという非力な機種に興味を持つかと言えば、前回のBOSCHハンディトリマと同じように、刃の短さと小型というユニークさへの関心なのです。

一般には、前述のBosch、マキタも含め、小型の電動鉋のブレードの短いものでも82mmというのが規格になっているようです[1]

これに対しBOSCHのこの機種は56mm、そこに魅力を覚えます。これは一般的な手鉋と変わらぬ程度の刃幅ですね。

鉋イラスト

一般には鉋は可能な限りに幅が広く、長い台を持つ方が平滑に削れ、かつ作業能力的に優れていることは言うまでも無いのですが、大は小を兼ねない場合もあるのです。

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❖ 脚注
  1. ところで、この52、82、110、136、という刃幅、この数値ステップですが、なぜこのような寸法規格になっているのでしょう?
    卑見では、建築資材の柱などの2.5寸、3寸、3.5寸、4寸、という一般的な規格材を削るに適切な刃幅、という見方もできないわけでは無いですよね? []

BOSCH 10.8V コードレストリマー GKF10.8V-8H(追記あり)

BOSCH GKF10.8V-8H

ボッシュからコードレストリマーが販売されている事を知ったのは、最新のFWW誌 No.273の紙面からでした(右下)
その記事のタイトルは「Handy ergonomic router」というもの。

FWW #273 より

うちには Porter Cable〈PCE6435〉をはじめ、数種のトリマーがあり事足りているところですが、コードレスという利便性と、米国仕様では〈Palm〉と銘記されてるところからもお分かりのように、Handyで、ergonomic な構造と意匠にそそられ、購入に踏み切ったところです。

因みに、この機種の販売時期ですがAmazonには昨年3月の登録になっています(日米共に)ので、既に9ヶ月の余が経過するようです。知らぬは私だけだったのかも。恥;

Bosch Japanの公式機種名は、本件記事タイトルの通りで素っ気ないものですが、このFWW誌の表記こそがその特徴を良く捉えていると思いました。
以下、そうしたところを重点的に紹介していきましょう。

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マホガニーの講壇(Pulpit)2

前回に引き続き、少しディテールなど。
ただ、制作途上は時間的余裕も無かったことから、写真撮影は限られたものしかありません。

講壇本体

まずは講壇本体の背部からのショット。
駆体内部は棚が1枚。
机面はA4サイズの書見台の他、左右にマイクロフォンを置くスペースほどの広さで設計。
下はフリーな空間。

マイクはワイヤレスを使うという仕様で、本体への穿孔はありません。

最上部の〈〉状の枠ですが、ここは1枚の板を成形し、正面、側面を留め結合。背部はDominoを用いた枘の仕口。

その下の枠は傾斜させての留め結合です。
この留め部分、最初はうっかり正45度でカットしちゃったのでしたが、これが大間違い。
傾斜での留めの勾配は、規矩術による計算が必要とされますね。

留めはZeta P2などで堅固に接着させています。

こうした傾斜での枠構成ですが、設計段階ではお気楽に楽しく描けますが、いざ加工する段階となると、頭を柔軟にさせ、それまでの経験を総動員しつつ、慎重に挑まねばいけません。
また挑まずに容易な手法を選択すれば、その後のデザインの拡張も、技法の練達も閉ざされてしまうだろうことも明かですね。

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講壇、あるいは説教壇(Pulpit)

講壇

教会で牧師が説教するための壇です。
牧師からの依頼で制作しました。

いくつもの意匠を提案させていただき、最終的に残ったのがこれです。
この意匠は必ずしも教会という特異な場における壇というものでもなく、一般的な講演台などにも用いられるデザインかもしれません。

構成と特徴

駆体は凸型の断面を持ち、上部のテーブルトップの部分は〈〉の形に傾斜させた枠が特徴的です。

この凸部分に合わせ、台輪も様式的と言えば良いのか、少しデコラティヴに構成しています。
駆体のボリュームと上部枠部位のボリュームの差があるため、これだけの台輪が必要とされたというところです。
そのため、これ自体、なかなかやっかいな作りではありました。

この講壇ですが、まずは何よりもマホガニーで制作して欲しいとの必須の条件が。
私がホンジョラス産の真正マホガニーを在庫してることを良く知る顧客でもある牧師からの依頼でした。

在庫する限りあるマホガニーの中から、最上品をふんだんに用いたものです。
いずれも矧ぎ無しの1枚板で構成しています。
教会の講壇を なんちゃってマホガニー(アフリカ産など、名称だけはマホガニーを僭称しているものの、その実 似て非なる材種)や、複数枚の矧ぎで構成するなどはもっての他ですから。

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systainer® と マックパック と システムケース と L-Boxx(続

昨年末の記事が途中になっていましたので、続けます。

承前)
電動工具メーカー・BOSCHは日本国内でも古くから市場展開していますので、ユーザーの方も多いのではと思います。
ここ数年、BOSCH製品を購入された方は systainer®、マックパック、システムケース とは異なる筐体に入ってきたよ、という人も多いことでしょう。
そうです。電動工具収納ケースの世界で第四の規格品が展開されています。
L-Boxx〉というシリーズですね。

詳細は不明ですが、独のSortimo という車載関連のメーカーが開発した可搬型の収納ケースです。
この〈L-Boxx〉、電動工具メーカーではBOSCHが先行して採用しているようで、他の工具メーカーがこれに追随採用している様子は今のところ不明です(最下段に収納ケースごとのメーカー対応図表を置きました)。

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迎春

2019. 1. 1

                                                                                                                                                                                   2019年も明けましたが、本Blogをこれまでにも増して、ご愛顧の程、どうぞよろしくお願いいたします。

工房 悠

systainer® と マックパック と システムケース と L-Boxx

sustainer

工房の年末整理を終えたところかもしれませんが、今回は電動工具などの収納整理に関わる四題噺でも…。

既にこのBlogではFestool社が先行的に採用してきたsystainer®という規格品の収納Boxについては何度か触れてきたところです。

さて、これと互換性があると思われる収納Boxが国内でも販売され始めていることにお気づきお方も多いかもしれませんね。

マキタや日立工機(おっと、現在はこの社名は無くなり、本年8月から「工機ホールディングス株式会社」[HiKOKI] という名称に変更されてますね)などの工具を購入したところ、この収納Boxに納められていることに気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、名称はsystainer®ではなく、〈マックパック〉(マキタ)あるいは〈システムケース〉(HiKOKI)という名称で・・・。
(HiKOKIの場合、海外においては〈STACKABLE CASE SYSTEM〉、あるいは〈HIT-System Case〉とも呼称されているようですが、いずれも製品としては同一のものと考えられます。国によって、あるいは時代の変遷により呼称も違っているのでしょうか)

余談ですが、Link先のWebサイトをご覧いただければお分かりのように、HITACHI という名称は欧米においても強いブランドイメージがありながら、本家本元の日本ではHITACHIの名称は消え去り、HiKOKI (ハイコーキ)などと良く分からない社名に変更されるというのは、いちユーザーとしても残念なことではあります。
この新しい〈工機ホールディングス株式会社〉という会社ですが、日立本体との資本関係も全く無いとのことですのでやむを得ない経緯なのでしょう。

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