工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

systainer® と マックパック と システムケース と L-Boxx(続

昨年末の記事が途中になっていましたので、続けます。

承前)
電動工具メーカー・BOSCHは日本国内でも古くから市場展開していますので、ユーザーの方も多いのではと思います。
ここ数年、BOSCH製品を購入された方は systainer®、マックパック、システムケース とは異なる筐体に入ってきたよ、という人も多いことでしょう。
そうです。電動工具収納ケースの世界で第四の規格品が展開されています。
L-Boxx〉というシリーズですね。

詳細は不明ですが、独のSortimo という車載関連のメーカーが開発した可搬型の収納ケースです。
この〈L-Boxx〉、電動工具メーカーではBOSCHが先行して採用しているようで、他の工具メーカーがこれに追随採用している様子は今のところ不明です(最下段に収納ケースごとのメーカー対応図表を置きました)。

L-Boxx〉の特徴ですが、systainer®同様に連結・ビルトアップ可能な仕様になっていますが、systainer®が左右4つのラッチで結合させる方式から少し進化させ、機能性の高い、より大きな左右2個のラッチでこれを叶えるものです。

さらに、大きな特徴として、サイズが増大しています。
基本仕様のSizeは、442w 362d となっており、systainer®の400w 300d に対し、面積で34%増大。

BOSCHも最初の一時期、実はsystainer®を採用していたのですが乗り換えたのです。

なぜそうした選択をしたのか、確たるところは不明ですが、このSortimoというメーカーは車載周辺の道具製造を専らとしている会社というところにヒントがあるようです。

ご存じの通り、BOSCHは昔から自動車関連の周辺機器、道具などを開発製造してきたメーカーですが、今現在、自動車産業は大きくシステム変換をしている真っ最中です。内燃機関エンジンからEV車へと大きく変換しつつあり、これ幸いとばかり電動機メーカーであるBOSCHは経営戦略として自前のエレクトロニクス技術をそこに全面投下しつつあるという状況です。

そうした自社の置かれた状況から、自動車関連企業であるSortie社の〈L-Boxx〉にシフトしたことは経営上、優れて合理性のある判断ですので何ら不思議では無いでしょう。

あるいはまた、このサイズの増大から考えた時、BOSCH製品のラインナップはFestool社などのそれと較べ、かなり大型の電動工具が多いからと言うことも考えられます。

さらには、元々systainer®が決して安くないところから、コスト重視からSortimo社開発による〈L-Boxx〉採用であるのかもしれません。

このsystainer®や、L-Boxxはそのシステム構成からして、とても近似しています。

後塵を拝したL-Boxxは、当然にもsystainer®製品を強く意識し、これと同等のあるいはそれ以上の利便性を追求し、開発したものと思われます。

サイズ展開も4種の深さがありますし、〈TROLLEY〉、〈ROLLER〉と呼ぶキャリアーもあります。

また使い勝手の違いですが、L-Boxxは左右1個づつのラッチで結合させるのですが、最下段の動画をご覧いただければお分かりのように、2つを重ねるだけでパチッとロックされるという快適な結合方式が開発されています。

開放する時にはラッチを操作することになりますが、この簡便さは良いです。

下の動画を視る限り、この簡便さの代償として、その結合度はsystainer®と較べても弱いのではとの懸念は拭えません。面としての密着度に問題ありそうです。
また店舗で触れてみる機会があったのですが、ラッチが簡単に本体から外れてしまうこともあり、固定の問題に懸念が残りました。

なお、systainer®のT-Rockの方は、後ろの溝に駆体を滑り込ませ、正面のT型クリップを1/4回転させるだけという結合機構になっています。
L-Boxx〉の連結方式と較べた場合、前述したようにsystainer®の結合度の方が高いと思います。

このように、この2種類、それぞれに特徴があり、利便性からの評価は難しいですね。

可搬性ということで評価すれば、systainer®のハンドルが上部に設けられているのに対し、L-Boxxは上部の他、正面の側面にも付き、アタッシュケースの如くにコンパクトに持ち運べます。

一長一短というわけです。

なお、今回は4つの収納ケースに付いて視てきましたが、この他、Dewaltが〈ToughSystem〉というシリーズを展開しています。
名前の通り、かなり駆体構造が強化されてるようです。

もしこのBlog読者で利用されていらっしゃれば、ぜひコメントください。

前回から電動工具の収納ケースに関する最近までの市場展開を視てきました。
次の図版は、これらの収納ケースのメーカーごとの対応チャートです。

独、LTM社からお借りしました。感謝!

なお、このコーナー最後に、独の木工専門学校の生徒らが木製でsystainer®を作っており、たいへん興味深いので紹介しておきましょう。

もう1つ、おまけ。
L-Boxxに関心がおありの方は「ミニ」から始めるのも一興かも知れませんね。
Size:266w 155d、53h、これも連結が可能となっています。
金具などの可搬型収納ケースとして重宝するかも知れません。

さらに、さらに、BOSCH電動工具(コードレス振動ドライバードリル、コードレスジグソー、コードレスマルチツールなど)のおもちゃのミニチュア版が50mmほどのサイズ展開で(ガチャとして)、販売されているようなのですが、それらのBoxとしてもこのL-Boxxがラインアップされてるとのこと。

このおもちゃのミニチュア版BOSCH電動工具は、〈ガチャガチャぽん!〉を製造販売している「ケンエレファント」がBOSCHとコラボレーションしての企画販売です。
お後が宜しいようで・・・。

※ 画像はそれぞれのメーカーの公式サイト、および販売店からお借りしました。感謝!

BOSCH L-Boxx

Tanos systainer®

hr

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