工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

古材の活用

古材
建築解体材から家具を製作する、という話は決して珍しいことではないかもしれない。
伝統的日本家屋で豪邸となるとかなりの良材が使われているので、古材とは言え材種によってはは新たに求めることが困難なものなどもあるだろうから、むしろ“希種材”として尊いものになる場合さえあるだろう。
今回の古材は松であったので、必ずしも希種材というほどのものでもなかったが、しかし家主の代々の血を繋いできた家屋への格別な思い入れを推量すれば、やはりこれもまた希種材と言えるものだ。
昨今では在来工法による建築資材でさえもいわゆる新建材が用いられる時代だろうから、古材の活用など望むべくもないというのが現状だ。
画像のように、大黒柱、梁など数本の構造材、そして6分、7分の天井板がかなりの枚数預かってきたが、この後構造材の再製材、天然乾燥(シーズニング)などを経て、来春にはこの古材活用による家具制作へと移行していく。
座卓、小卓、水屋、ワードローブ、等々、いくつもの家具が出来るはずだ。
そのためには製材前の適切なスミ付け、つまり古材ならではのいくつかのリスクを回避するための洞察力が要求されるだろう。
松材は針葉樹の中では仕事のしやすい材種かもしれない。以前杉材でかなりの台数の座卓を製作したことがあった。杉の家具もなかなか良いものだが、これが意外と仕上げが難しい。春目、冬目の繊維の堅さの差異が顕著で、鉋の刃は常にシャープに研ぎ上げておかねばならなかった。
松材はどうだろうか。節には要注意だろうね。節へのアプローチでは応力が大きく反応する。それと、ヤニ対策か。既にかなり枯れて来ているので新材ほどではないが、やはり配慮してやらないとダメだ。

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