工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ロッキングチェアと購買客の真意の見極めの難しさ


百貨店の催事にはさまざまな客層が来訪する。
むしろ目的的に来訪する客はむしろ少ないものです。
他の物品の買い物に来た客、あるいはブラリと店内を何気なく物色しに来た客、などといった人の方が圧倒的に多いのでしょう。
「これステキね〜、うちに置きたいわね〜」、「こっちも好きだわ〜、どこで作っていらっしゃるの〜・・・」といったうれしい言葉を発してくれるものの、これは消費衝動への第一ステップではあっても、簡単に次の段階へと進むものではありません。
感嘆の言葉は決して歯の浮いたものでもなく、正直な吐露であったとしても、このことと購入への決断は全く別物。
饅頭や、ジュースを買うこととは違い、家具となりますと価格帯も異なりますし、またボリュームの大きな家具になりますと部屋の置き場所の確保も考慮されねばなりませんし、現有の家具との交換が伴ってくるかもしれません。
なかなかハードルの高い買い物になってきます。
今日は50年輩の女性とそのお嬢さん、そしてフィアンセの3人が少なくない時間を当展示ブースで家具を鑑賞してくれたのでしたが、なかなか興味深い印象を残していってくれました(印象を残してくれただけで、購入してはくれなかったのですが)。


まずお母様がロッキングチェアに座って、気持ちよさそうな顔つきで長い時間揺らしていました。その後「あなたが妊娠したら、これに揺られていると身体が休まるわよ」と娘にも勧め、このお嬢さんも気分良く揺らしながら同意していたのでした。
その後ダイニングチェア、ラウンジチェア、他もそれぞれ褒めそやしてくれたのでした。
見るからに良い暮らしぶりを思わせる着衣と、身のこなし、話し方。「全部買っていこうかしら・・・」とも言い出しかねないほどの雰囲気ではありました。
しかし、「今度あなたの工房にお邪魔するわ」という言葉だけ遺し席を立ってしまわれたのでした。
近くで一部始終を見聞きしていたと思われる百貨店担当者も「間違いなく契約してくれる人と思っていたのにね〜」と、悔しがっていました。
こうした当てはずれも、世の常であります。何もめげたわけではないのですが、客の見極めというのも、なかなか難しい。
このロッキングチェアですが、今年になってから数台が続いて売れています。ほとんどがWebサイトからの受注です。恐らくは検索サイトからのアクセスでしょうが、Webサイト上では一定の品質を有したロッキングチェアは少ないのだろうと思われます。作者本人のコメントはあまり客観的評価にはならないかもしれませんが、デザイン、座り心地、揺れ具合、総合的品質はかなりのものと自負しています。
上述のお客からはいずれ改めて何らかの連絡をくれることを期待したいと思いますが、今からなら在庫間に合います。どなたか買ってください(笑)。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • おはようございます。
    おひさしぶりでございます。
    ますますの活躍の様子、展示会の画像などを
    このブログで拝見してます(^^)v
    私のほうはひたすらミニログハウスの作業と
    ターニング、それと本業(^^;に多忙な毎日を
    過ごしていますよ。季節も良いので友人を誘い
    また工房に寄らせてもらいますね。
    ロッキングチェアでゆらゆらと、などと夢の
    また夢でして>苦笑
    のんびりと道楽?はいつになるやら。
    ではでは。
    (ちなみに私のブログも「日々是好日」でしたー)

  • kentさん ドモ、ご無沙汰です。
    ただ今、展示会場から撤収帰還ということで、comment のお礼遅れました。ありがとうございます。
    1Week 12" の iBook 環境でしたが、自宅の15.2" の何と大きなことか(
    笑)
    kentさんはまだまだお若いのですから、ロッキングなど先の先。
    会社業務、組合業務、かてて加えて多趣味、工芸三昧なのですから、休んでいる暇などないはず。
    にもかかわらず、それが「日々是好日」なのですから、言うこと無し、です。
    またお会いしましょう。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.