工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

掛川アート散策

森下真
昨日の土曜日、知人のチェアメーカー「森下 真」さんのJR掛川駅構内での個展を訪問させていただいた。
静岡市内から袋井郊外に工房を移転してからの初めての個展。
これまでデザインされてきた椅子、ベンチと新作の椅子、および数点の卓という構成。
袋井移転後、工房運営も軌道に乗りつつあることを伺わせるものだ。
現在の日本にあって、椅子を主たる制作対象とする木工家は決して多くはないだろうが、キャビネット、テーブルなどの制作販売と較べると、その販売戦略は難しいことは明らかだ。
日本における家具文化のなかでその伝統的な生活様式ゆえに最も遅れてきた分野であり、今や世界市場からそれなりの品質の椅子がびっくりするほど廉価で輸入されている現状は、我々木工家にとって脅威であることは自明。
しかしそうした困難をうち破って高品質な椅子を創り出し、世に問う姿は見事なものだと思う。


先にご案内させていただいた横浜「山の上ギャラリー」での椅子展もそうだが、ここ数年来、インテリアマーケットでの椅子の人気度は高まる一方という嬉しい状況もあるので、需要層での椅子への関心の定着、鑑識眼の高まりはこうしたチェアメーカーの存在を確かなものにしてくれるはずである。
資生堂アプローチサルスベリ赤サルスベリ白


資生堂ファサード
ついでに、近隣にある「資生堂アートハウス」に足を運んだ。
以前1度立ち寄ったときは休館日であったため、今回初めての入館。
企画展は「今日の茶道具 〜現代工藝展出品作を中心に〜」。
各工芸界の人間国宝を初めとする15名の作家による茶道具とそれにまつわる道具を見せてくれていた。
いずれも各界の名人の手によるもので名品揃いであった。
個人的には漆芸、陶芸、竹芸などの分野の作家は見知っていたので清新なオドロキはなかったが、岩田久利氏のガラスは初見だったがすばらしかった。
写真は「資生堂アートハウス」へのアプローチ、途上咲き誇っていた百日紅(サルスベリ)の紅白の花、そして本館ファサード。

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  • 杉山様
    昨日はお忙しいなかご来場ありがとうごさいました。
    工房移転にかこつけて至らなさの言い訳に終始してしまいがちな日々でしたが、環境の整備もようやく整いつつあります。杉山さんを見習い、これから2.3年は精力的な活動をしなければと考えています。

  • 駅構内という恵まれた立地ですので、大いに奮闘してください。
    長期的視点では地域での広報という目的も叶えられると思います。
    いっそ、常設にしちゃえば !
    ハイクオリティー ウッドワークスの普及、啓蒙のためにもガンバッテいただきましょう。

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