工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

鎌倉散策

竹林
昨日は所用で湘南方面に出掛けたのだが、帰路鎌倉を少し散策してきた。
この地域、既に梅雨明けのはずであったが、時折しょぼ降る雨に打たれながらの散策などとしゃれ込んだのにはワケがある。
「神奈川県立近代美術館 鎌倉」で企画開催中の《建築家 坂倉準三展 ── モダニズムを生きる:人間、都市、空間》を観覧するという目的があった。
ご存じの通り20世紀を代表する建築界の巨匠ル・コルビュジエの弟子としてフランス国内、そして帰国後、さらには戦後復興において活躍した日本のモダニズム建築の第一人者だった人。
実はこの企画と並行し第2部が新橋のパナソニック電工汐留ミュージアムで開催中であり、鎌倉が都市計画、公共空間を企画対象とするのに対し、こちらはデザイン・家具を展示対象としている。
汐留の方はまだ訪れる機会がないが、ぜひ観覧したいと考えている。
したがってそれを拝観してからでも、併せて感想など記してみたい。
ご案内のように、この鎌倉館は鶴岡八幡宮境内に立地していて、時節柄、館内の開放的なテラスからは大きな池を埋め尽くすように咲き誇っている蓮の花を愛でることができた。
さて、散策とは言っても時間の制約もあり、ぶらりといくつかの古刹巡りをしたぐらいだった。ここでは画像と共に「英勝寺」を取り上げてみる。

英勝寺


ここは多くの寺がある鎌倉にあって、唯一の尼寺である(拝観は男人禁制ではないのでご安心を)。
徳川家康の側室となったお勝局が開基。代々水戸家の娘が住持に入り、水戸家の尼寺とも呼ばれているらしい。
蝉錠仏殿、祠堂、鐘楼などと並んで山門などは建立時(1636)のままだそうで、丁度この山門が改築の状況下にあった。
全国から駆けつけた宮大工が再建に当たっているようで、足場が組まれた山門敷地には太い欅の柱数本が並べられ、この柱をまたいでホゾを調整している最中のようであった。
折から1学期の終了式を終えて駆けつけたという小学5年生の7、8名のグループとともに仏殿の観音扉の「落とし」に付けられた、興味深い飾り金具を撮影。蝉を模した銅製の金具だ。
この蝉を錠に飾ったという理由は詳しくは分からないが、大陸、中国から伝わる縁起物、魔除けであるようだ。
7年間地中に埋もれ、一時の夏を子孫を伝えるために必死に泣き叫ぶ(いや、喜びの雄叫び?)その生き様に何を重ねたのか。
またこの仏殿軒下の蟇股(かえるまた)には十二支の動物が彫刻され、楽しませてくれる。
境内は決して広いものではないものの、草花がよく手入れされ、季節ごとに楽しめるようになっているようだ。
敷地西側に広がる竹林もまた見事に手入れされたもので、周囲から隔絶された静謐なその空間は俗物のボクのような者でさえも心安らかにしてくれる異次元へと誘うもののようだった。
雨に濡れた笹の緑がとても美しい。
あ、最後にもう1つ触れておこう。
「Patagonia」日本の直営店が鶴岡八幡宮の参道に面して立地していた。
鎌倉にあるのは知ってはいたのだが、入ったのは初めて。
ボクは「米国 REI」経由で少し個人輸入したぐらいで、さほどのファンということではないが、でもやはり品質、デザイン、カラーなどはさすがに別格という感じだね。
シャツ1枚だけを買い求めた。
ここは「Patagonia」日本支社がおかれているところなんだね。
湘南に「Patagonia」日本支社がおかれているということは、代表者はもしかしてサーファーなのかな?
店主と思しき大柄の日焼けした女性の笑顔がステキだった。
土地柄なのか、数名の高齢の女性の客が品定めしていたのは意外だった。
(あ、そうか、ボクも“高齢の男性”と言われるのか‥‥、自覚がまだ足りないようで‥‥)
汐留に向かうのはいつになるだろうか。是非に。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • おそらく、もう20年以上前、Patagoniaの直営店が目白にできた時
    何度か行きました。
    カタログをながめるのが楽しみでした。
    当時は私に会うような小さなサイズは無く、ウエアは買えずに
    グッズをいくつか買った覚えがあります。

  • acanthogobius さん、あなたもファンでしたか。
    確かに米国メーカーの場合、サイズ問題はいつもネックになりますが、最近ではXSからXXLまで豊富に品揃えされているようです(店舗によっては在庫問題がありますが)。
    ボクがあえてPatagoniaを取り上げましたのは、その品質もさることながら、素材の開発力(フリースの市場化は確かこのPatagoniaが最初)、そしてその企業理念に思うところがあるからですね。
    国内メーカーですが、mont-bellも同様の意味で好んで選びますね(登山、キャンピング用品のほとんどがここでした)。
    確か、両社ともに、オーナーは優れたアルピニストでしたね。

  • 鎌倉散策は如何でしたでしょうか。緑がきれいですね。

  • 鎌倉ではkokoniさんのお気に入りの処はどこでしょうね。
    探訪していらっしゃることでしょうから。
    事前にお尋ねしておけば良かったかも知れません。
    美味しいところとか‥‥、

  • 小動神社、明月院は紫陽花が、
    竹寺、瑞泉寺、あたりもきれいでした。
    もう20年ぐらいまえになるでしょうか・・・
    今は変わっているかもしれません。

  • 小動神社、行きましたよ。江ノ島が指呼の間に見えるところですね。 → こゆるぎ、と呼ぶのはおもしろい。
    明月院は紫陽花の名所として有名ですね。多種多様なアジサイがあるようですので、まだ楽しめるかも知れません。

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