Macのある生活の更新
10年ぶりのiMac更新
私のメインコンピューター、iMacは快適に運用してきているとは言え、数年前からほぼ1年ごとに更新されるMac OSにも対応することができず、いわば騙し騙しに使い続けてきたものの、いくつかの必須のソフトウェアが使えなくなり、いよいよ運用の限界を越えてきていた。
数世代前のOSであるとはいえ駆動そのものはまずまず快適だし、モニターも27インチというサイズに助けられ、美しいMac環境にさほどのストレスも感じさせること無く使っていただけに、このいくつかの動作不良問題でマシンの更新を余儀なくされるのは悔しい。
しかしこの日進月歩のコンピューターの世界では旧型に愛着を持つのも限界というものがあり、かなりの出費を強いられるものとはいえ仕方がない。
ここはむしろ、10年という短くない時間軸で使い続けてこられたことにはあらためて静かな感動さえ覚えるものがあり、今はこの断念を越え新たな環境構築に励むべき時なのだ。
1年ほど前から同機種の更新を待ち、その時点での購入を決めていたのだったが、このiMacの場合、2017年6月の更新を最後に、その機会は訪れること無く無為に時間だけが過ぎ去るという状況に耐え忍ぶ日々だった。
そしてかすかな希望を抱いた先月末のApple社のイベントに先んずること4日前、突如、新たなiMacが発表された(Apple.inc サイト)。
その内容だが、CPUの更新のみで、新奇性の仕様を提示するものではなく、いささか落胆させられた事は確かだったが、さらにこの2年先の更新を狙うだけの悠長さは持ち合わせておらず、ためらわず購入手続きへと入った。
購入したのは新シリーズ3つの選択肢のベースモデル
購入したのは新シリーズ3つの選択肢のベースモデル。
最下位モデルを選択した理由は明確。
第8世代のIntel 6コアのプロセッサを搭載するというところでは3つの選択肢に変わりはない(最上位のカスタマイズでは第9世代の8コアプロセッサが搭載可能)。
CPUの仕様が多少異なる程度で、私にとっては動画を編集するということもなく、さほど大きくもない画像編集でCPUスペックが問われる程度であり、最下位ベースモデルで十分と判断。
ただ、ストレージを標準がFusyon Drive 1TBのところ、これを2TBにカスタマイズすることに。
現在の運用ではストレージは700GBほどで、1TBあれば十分なのだが、このFusyon DriveというのはHDDとともに、SSDが補助的に付加されていて、この容量が欲しかった。
このフラッシュドライブのSSDは起動時などの読み書きの速度に大きな効果があり、標準の32GBでは物足りないと考えた結果。
標準の1TBでは、SSDが36GBのところ、2TBではSSDが128GB搭載されており、増額22,000円の価値は大きいと観た。
こうしたストレージのカスタマイズはAmazonなどオンライン商店を含む量販店などの販売店での対応はできず、Apple社による作業(CTOと呼ばれる)に依る。
なお、メモリーだが、標準では8GB搭載で、この容量でも問題無く稼働してくれるというのが製造元、Apple.incの設計プランだが画像処理などで喰うだろうメモリーは多いに越したことはない。
Appleは正式なアナウンスではこのiMacは Max 64GBまで対応とされているが、どうも128GBまでは認識されるというのが実際であるようだ。
しかし過剰なスペックで武装する必要はないので、今回は16GB+16GB を増強し標準搭載の8GBと合わせ、40GBで運用することに(iMacにはメモリーのスロットが4つあり、標準の4GB+4GBで2つ使われていて、残り2つにユーザーによる増設が可能)。
市場にはこのiMacの規格、スロット仕様に対応するメモリーはいくつもあり、これまでは秋葉館などから選ぶことが多かったが、今回はネット上を渉猟しまくり、この 16GB×2 のメモリー、一般には30,000〜50,000円ほどの市場価格の処、20,000円ほどのものを購入することに。
この購入したメモリー、市場価格相場の半額ほどの安値で懸念が無かったわけではないが、然るべくiMacのメモリースロットに装着し、起動 確認したところ問題無く認識してくれていた。
万が一、問題があったとしても「永久保障」商品なので返却すれば良いだけ。
(CFD Panram DDR4-2666 ノート用メモリ 260pin SO-DIMM 16GB 2枚組)
セットアップの儀
私のMac歴は1995年からなので、ほぼ四半世紀近くなるが、メインのマシンとしては、このiMacでわずかに5代目(サブを入れても9台)。
セットアップも時代とともにその方法は進化していて、今回はいとも簡単に済ませることができた。
Macには標準の機能として〈Time Machine〉というバックアップ機能があり、任意のインターバルでMacのデータを外部ストレージに常に継続的にコピー、保存してくれる。
したがって新たなマシンにはこの外部ストレージに置かれたデータを取り込めばOK!
アプリケーション、任意に作成したデータ(テキストファイル、画像、音楽データなど全て、他ネットワークやカスタマイズされた様々な処理システムなど全て)など。
前述のように700GBある私のデータ、USB2.0 環境でのコピーで、約4時間ほどでコピーさせることができた。
「いとも簡単に」ではあるけれど、それにはいくつかの準備も必要だ。普段運用してきた状態で引き継がない方が良いものもある。
まず、明らかに新たなiMacには動作しないものもあるだろうし、ゴミだらけになった不要な膨大なファイルが多いのも事実。
併せてフォルダーの構成など、全般的にフォルダー、ファイル構成の見直しを図り、より運用しやすいように整頓する作業を事前に行っておいた。
余裕のあるMac運用者に言わせれば、旧いMacをそのままコピーするのは止めときな。1つ1つ、必要なデータだけをコピーするのが正しい!、と。
確かに、そうした手法は健全と思えるものの、これには膨大な時間が掛かり私にはそうした悠長な事はできなかった。
なお、こうした評価にはセキュリティ問題が深く関わってくるわけだが、私は遅ればせながら、昨年、セキュリティソフトをMacに入れ、監視してもらっており、現在のところ安全に運用できていることを確認済みだ。
美しさと快適さ
新しいiMac、前述のように、外観的には、10年目のものとは大きな変更は無い。
ただモニター周囲の厚みが大きく縮小され、その厚み、わずか5mm。
触れば手が切れちゃうんじゃないかと思われるほど(ま、それはないけど)薄い。
以前はここに光学ドライバーとSDカードのスロットがあったのだが、それが無くなってしまった。Appleのなんと割り切りのすさまじさか。(SDカードのスロットは後背部に移動)
さてディスプレイだが、〈Retina 5Kディスプレイ〉は確かに美しい。
5,120 x 2,880ピクセル(16:9)
このアスペクト比(画面比率)の16:9,というのは、それ以前のアスペク比、4:3と較べるとワイドHD画質の映像を描写するのに都合が良いのだが、なぜこんなハンパな数値になったかと言えば、4:3のアスペクト比をそれぞれ単純に二乗した数値だ。
このアスペクト比だと、A4書類を縦一杯に配したとして、2.5枚分を置くことができる。
実際の運用を考えると、ブラウザでネット閲覧しつつ、その横で書類を作成するためのアプリを起ち上げ、その下書きを別のテキストアプリで行う、といったような作業でもストレス無く行える。
5Kというのは解像度のことで、水平解像度が5,000ピクセルのものを指す。(もちろん、市場には同等の商品もあるのは確かだが、Windows 27インチの一体型で、これほどのスペックのディスプレイを持つマシンは無く4K止まりのようだ)
私のそれまでのiMacと較べると4倍の解像度。高精細な描画で限界的なまでに細部の描写が美しい。
これ以上、人間の視力の方が勝るとも思えないほどの精細度だ。
またiMacの液晶は高品質で視野角が広いIPSパネルが搭載されており、数年前のTN液晶パネルと較べると格段に見やすい。
さらに、プラズマ蒸着と言われるガラスコーティングが施され、周囲のものが写り込んでしまう反射は極力抑制され、視認性は高く、Retinaグレード液晶は明るく、また輝度は高くなっていて、輝度調整のスライダックも40%程度に抑えねば眩しいほど。
コンピューターと一体型の液晶ディスプレイとしては、類種と比較しても群を抜き、最高の品質と言えるだろう。
因みにマシンの価格だが、CPU、ディスプレイなどの性能を同等のものと比較した場合、Windowsの日本の各メーカーとほぼ同じであるようだ。
MacがWindows機と較べ高いのではとの類推はほぼ無くなっていると考えられるが、価格的にもこのiMacは価値が高いと考えて良いだろう。
しかも限りなく美しい Retina 5Kのディスプレイを備え、一般的な業務に必要とされるソフトウェアの最新版が標準搭載されるというお値打ちなマシンである。
更新に伴うソフトウェアの動作不良問題
PCやMacのマシン更新、OS更新にはつきもののソフトウェアの動作保障の問題にはいつも悩まされる。
業務運営には必須のMS Office であるとか、Adobe系。
いずれも10年ほど前に購入したものを使い続けてきているが、対応するはずもなく新規購入の覚悟でいた。
MicroSoft 〈Office〉
私の〈Office〉はなんと2008年版。WordもExcelもさほどヘビーに使うわけでもなく、文書作成は専ら次に述べる〈iWork〉に依存しており、外部からきたファイルの閲覧ができればとりあえずは十分だろうし、Excelについても、帳票が作成できれば十分なので特段の問題も無く、10年にわたり使い続けてくることができた。
しかし、新たなiMacと新たなOSの下で動作するかははなはだ心許ない思いがあり、購入予定で予算計上していた。
だが、そうした懸念は杞憂であったようだ。
いずれも読み書き、問題無く動作してくれるでは無いか。
これはMac OSがMac OS X以降、様々な進化を遂げてきてはいるものの、基本的な構成では変化させること無く、更新されてきているためなのか、10年前のソフトでも動いているのだろう。
これでさしあたっては、新しいMS〈Office〉購入を強いられることも無くなった。
iWork
またApple独自のOfficeスイーツである〈iWork〉だが、それまでの〈iWork 09’〉の開発は10年ほど前で終了し、その後は同じ名称でクラウド型のソフトに改編され、今に至っている。
このクラウド型というのは、Mac本体はもとより、iPhoneやiPadにも同期でき、またそれぞれの環境下で編集できるというもので、ユニバーサルなものとして開発が進んでいるのだが、スタイリッシュな文書作成ではかなり使い込んできた以前の〈iWork〉と較べれば機能が制約的で、とても使い物になる代物ではなかったため、旧バージョン〈iWork ’09〉を使い続けてきた。
この問題に関してはAppleのカスタマーセンターの上位アプリ担当者と議論したことがある。
その担当者も〈iWork 09’〉の優れた編集機能への思いに共感し、クラウド型のダメさに恐縮していたものだ。
ところが、この旧型は、現行のOSでは動作しない。選択肢から外れる。
逆にそれまでのiMacではクラウド型の最新版は動作しないという、はなはだ困惑させられる事態になっていた。
そして、この度、新しいiMacで〈Pages〉、〈Numbers〉を起ち上げたところ、機能的制約はかなり改善され、あるいはそれまでは対応してこなかった日本語テキストの縦書きもサポートするなど、大きな進化を果たしてくれていた。
なお、この画期的な進化を遂げたiWork、つまりPagesとNumbersだが、Mac OSだけではなく、iOSのPagesとNumbersでも同様の進化を遂げている(縦書きも同様にサポートされているので確認されることをお奨めする。
しかしこれはいずれもクラウド型として開発してきているので当然ではある。
今後さらに進化していくことを期待しつつ、このクラウドベースの〈Pages〉、〈Numbers〉を使っていくことにしようと思う。
キーボード、マウス
これまではマウスのみBluetooth ワイヤレスを使っていたが、現在は標準仕様ででキーボードの方もBluetooth仕様となっていて、また電源も単三型の電池では無く、USB充電でのLi-Ionバッテリーに進化。
電池消耗の度に交換するというのではなく、USBでの充電という方式に変わっている。(Magic Keyboard、Magic Mouse 2)
キーボードとマウスは起動時、瞬時にMac本体の操作を可能にしなければマズイわけだが、まったくストレスなくBluetoothでのペアリングが成立し、繋がる。
デスク周りにケーブルが這いずり回るということが無いのは実に快適だ。
さて、ここまできたが問題が無いワケでは無い。
この更新なったiMacで、どれだけクリエイティヴな活用ができるかだ。
iMac 2019 27″ カスタマイズ 仕様
- CPU:3.0GHz 6コア Intel Core i5
- ディスプレイ:27インチ Retina 5K、5,120 x 2,880 pix、十億色対応(IPS)
- メモリ:40GB(標準として4GB×2 + 16GB×2 を増設)
- ストレージ:2TB Fusion Drive(SSD:128GB)Apple.incにてCTO作業
- ドライブ:無し
- GPU:Intel Iris Plus Graphics 640
- 接続端子:USB3.0×4 Thunderbolt3×2 SDXCカードスロット
- カメラ:720p FaceTime HDカメラ
- ネットワーク:11ac/a/b/g Bluetooth 4.2