工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

アームチェアへの第二歩(続)

内丸反鉋の数々

内丸反台鉋

前回、鉋での曲面削りの優位性について少し触れさせていただいたが、画像の指呼の先の3次曲面の場合、どのような鉋を選べば良いか。

もちろん、南京鉋を使いこなせれば目的とする曲率で削り出すことは可能だろう。
しかし日本の鉋文化にはもっと優れた鉋があることは知っておきたい。

〈内丸反台鉋〉だね。
画像の鉋だが、見ての通り。
内丸で、かつ反り台となっている鉋だ。

これを数丁用意することで、家具のほとんどの三次曲面を削り出すことが可能だ。
南京鉋との違いはお分かりのことと思うが、台が一定の曲率で成形されているために、この台の規制が掛かり、その曲率に応じた曲面が生成されるということだね。

一般には裏金の無いものも多いが、ある程度のサイズになると、裏金が付いた構造となるので、具合が良い。

指呼のような三次曲面というのは、木という固有の有機素材であってみれば、その繊維方向を見定めるのは決して容易なものでは無い。

1つの固有の場所においても、順目で削っていたところ、少し外側を削ろうとすれば、突然逆目になって慌てると言うことは屡々。

こうしたケースでも、研ぎ上げられた刃と、裏金のある〈内丸四方反鉋〉があれば快適に作業が進むだろうし、また南京鉋であっても、適切な三次曲面をイメージできる造形センスがあれば、美しい三次曲面を産み出すことができるものだね。

hr

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