工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

違い胴付き(ある仕口の場合)

違い胴付き1
「違い胴付き」という仕口はどれほど一般的であるかは知らないが、ある種の納まりにおいてスマートであり、活用する場は少なくない。
今回はソファの座部分の枠に用いる。
ここは座のクッション部が載せられるところであり、クッション性を高めるためのテンションベルトが張られる。
したがって、このテンションベルトの厚み×幅分だけ欠き取らねばならない。
今回は3×25mm.
この「違い胴付き」という仕口を使わねば、枠を組んだ後に、ルーターなどで欠き取ることも可能ではあるが、「納まり」という考え方からすると、あまりそれはスマートではない。
部材の段階でこの欠き取り仕口を施すことで、組めば完成、ということになり隅までピシッと段欠きが施される。
画像のように、今回は本来の「違い胴付き」ではなく、ややイレギュラー。
欠き取りがわずかに3mmということで、本来の「違い胴付き」は無理であるためだ。
本来は下の画像のようなものになる。


違い胴付き2
欠き取り深さに接したところにホゾ穴を穿つのだが、したがって上下において胴付きが異なるということになる。「違い胴付き」とは、まさにそのまんま。判りやすい呼称だ。
要諦は1つ。
胴付き位置が上下で違ってくるので、ここをシビアに設定することぐらいかな。
きっちりと決めることで、納まりは美しい。
無論ここには別の地板あたりが落とし込まれることで、仕口は見えなくなる個所であるが、例え見えなくなるところでも粋にいきたいもの。
いや、そうした問題ではなく、適切な家具の構造、それを叶えるための必須の仕口というものを適用させることで、高精度で、かつ生産性の高いものが獲得できる。
……またこの地域では明日から数日間雨模様だとか。
身体までもが腐ってきそうな陽気が続くが、家具制作はあくまでもクリーンに、端正に、美しくいきたいもの。
*画像:Topのみクリック拡大

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