工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

昇降盤の更新

昇降盤1

今日はここ5年来の願望が叶えられた、とちょっと大げさに書き出したが、
機械の更新がなったというお話し。
テーブル傾斜丸鋸昇降盤が更新された(とはいっても中古機械だがね >苦笑)。
うちで設備している丸鋸盤関連では、軸傾斜丸鋸昇降盤、テーブル移動横切り丸鋸盤(あとホゾ取り盤も含めておこうか)などがある。
それにこのテーブル傾斜丸鋸昇降盤。
先にも記述したので繰り返しは避けるが、訓練校在校時に確保し、卒業後世話になる親方のところに搬入させたものだ。
20数年も酷使してきたためか、もともとあまり良品ではなかったということなのか、様々な点で不満なところが目に付くようになり、5,6年前から機械屋に良い出物があれば入れるようにと依頼していた。
ともかくも機械屋もやっとその気になって探してくれた。
さて画像の機械。ロゴに奥平とあるように、ま、2、3流のメーカーということになろうか。
機械屋の倉庫には永和も含め4台の候補があったが、1番程度の良いものを選ばせてもらった結果だ。


選択に当たってまず重視したのは定盤のヘタリがないかどうか。
次には使用履歴がどのようなものであるかだが、運転日誌があるわけでもないので、外観、ギアのヘタリ、などで観察。
次に操作性、定盤の広さ、(補助軸の定盤も同様)、など。
その上で問題がありそうなところは全て指摘させてもらい、新品同様の品質にまでオーバーホールしてもらった。
主軸の回転精度、各所の機械精度、横挽き定規の製作、ベアリング交換、集塵フード製作、etc。
昇降盤2ところでこれまでのものとの差異としては、縦定規(フェンス)に微調整機構のハンドルがあることかな。どの程度の作業性改善に繋がるかは不明だが、意味はあるだろう。(右画像)
あと機械屋に昇降ハンドルのギア比を尋ねたが、関心がないのか確認していないようであった。この辺りは我々作業者としては重要なポイントであるのに、機械屋には重視されていないようだ。
事実、ボクの軸傾斜丸鋸盤はまったくダメでハンドル1回転で1.3mmの昇降という訳の分からない回転比だったので、これを2mm/1回転、に改修させて納品してもらったことがある。
次にモーターだが、2馬力という一般的なパワーであるが、回転数は2,200ほどのものだったので、ベルトを付け替えして3,200rpmに上げてもらった。
明日は口板を作って、あらためて各部位の精度をチェックしていくことになる。
口板はフェンス同様、もちろん素性の良さそうな樺材の柾目から作る。
あるいは豆科、柿科などのめちゃ硬い奴でも良いだろう。
ところで先のTV番組にもなったボクの親方はこのテーブル丸鋸昇降盤が1台あるだけだが、かなり難易度の高い仕口も作る。
ボクもこれに倣い、3年間ほどはこれだけでめちゃくちゃ傾斜の多い仕口の椅子も作ったし、何でもやれたものだ。
確かに軸傾斜丸鋸盤と較べれば明らかにその作業性は良いとは言えないが、機械などと言うものは、結局は作業者がいかに使いこなすのか、ということに尽きるのかもしれない。
序でに書いておいた方が良いかも知れないが、親方のところには1300のテーブル移動横切り丸鋸盤(軸傾斜)もあった。
しかしこれはあくまでも加工材の長さをクロスカットするものなので、加工のほとんど全てはこのテーブル丸鋸昇降盤でやっている。
無論これには合理的理由があるからだが、過去関連することを記述してきたところなのでここでは繰り返さない。

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