工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

「縦軸」

縦軸
今日は数時間機械のトラブル対応に追われた。
一般にこの辺りでは「縦軸」と呼ぶ機械だが、これを壊してしまったのだ。
三相モーターからベルトを介し主軸に回転を伝える時には20,000回転ほどに高速化される、いわゆるルーターマシーンのようなものだが、定盤に対しチャックは下から垂直に顔を出すという機構のもの。
ネットなどでも話題になっているハンドルーターをひっくり返したルーターテーブルとほぼ同じ機構のものだね。
これを久々にグリスアップ、摺動部の清掃などをしていたのだが、定盤昇降のための1”軸のスクリュー(角ネジ)を破損させてしまった。
作業がしやすいようにと定盤を最上部まで上げたのが良くなかった。この1”軸のスクリューをベース部から起ちあがっている雌ねじ部から外してしまったようで、作業終了し定盤を元の位置に戻そうとスクリューハンドルを回転させようとしても、びくとも動かない。
やってしまった。ネジの噛み合わせをダメにしてしまったようなのだ。
結局機械屋に電話でアドバイスを求めながら修復を試みたが、なかなか元通りにはならない。機械屋は明日にでもレスキューに来てくれるとありがたい申し出ではあったが、固辞し、なんとか自力更生でとさらなるチャレンジ。
結局その後関係する部品を全て取り外し、スクリューのオスメスをそれぞれ再生させることにした。
見ればメネジは上部から深さ10mmほど、山4つほど完全に破損していた。
そのメス部の破損は元には戻らないので、とりあえず削れてしまって飛び散った鉄のダストなどを灯油とブラシで洗い流し、一方オスのネジ形状の破損個所はアングルグラインダー、鉄工ヤスリで丁寧に削り落とし嵌め合いを元通りにした。
こうして書けば数行のことなれど、なかなか大変な作業だった。
聞けばこのような修復は機械屋も専門の下請け業者に出すそうだ。
修復なったことを電話報告したら、良く直ったねとねぎらいの言葉を掛けられたが、そもそも壊した奴が悪いのであって、自力更生は当然であり、電話の前で恥じ入るばかりだった。
どっと疲れが出てしまった。やれやれ。


ところでしかしこのような機械の存在は意外と知られていないかも。
当地、静岡ではとてもありふれたもので、1工場に1台 ! といった感じで広範に設置されていいるのだけれど。
うちのものは地元の木工機械メーカーY社のものだが、ボクは創業間もない頃、取引のあった機械屋の倉庫に転がっていたのを確か無償で譲ってもらった。
うちにはルーターマシーンも面取盤も設置してあるのであまり出番の多い機械ではないが、椅子の脚部などのように厚み方向にテーパーになった部位の面取りにはこの機械がとても使い勝手がよい。
こうした部位の面取りは、被加工部が定盤の下側にくるようにレイアウトさせ加工しないと具合が悪いからだね。(したがって昇降盤でも同様なことが1部可能)
もちろん市場にあるようなルーターテーブルと較べてもはるかに作業性は良いだろう。厚い鋳物定盤と頑固な駆体。200V三相モーターの馬力。そして大きなハンドルによる容易な高さ設定、等々本格機械ならではの性能だ。
確かなことは言えないのだが、ここ静岡だけではなく全国の木工機械製造メーカーでも造っているところがあるのではないのだろうか。
機械屋と仲良しになってゲットし、ハンドルーター依存から脱皮しよう。
そして機械は自力更生で修復を !

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