工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木取りと勝手の迷い

含水率
画像は先のエントリ、CLAROの座卓の柱の部材。
在庫する中で最大の厚板が欲しくて倉庫に走り持ち込んだものから木取ったが、105mmの厚板ならではの気になる乾燥状態。
これも原木製材から乾燥まで独自に管理していたもので、ウォールナット本来の材色を損なわないために人工乾燥はしていない。
桟積みで長年じっくり天然乾燥させた。
結果7〜8年経過したものであるためか、水分計を当てるとその含水率の数値はちゃんと18%台を示していて安堵する(100mmを越える厚板で、自然乾燥ではこのあたりが限界)。
この伊太利亜製の高周波による水分計は50〜60mmの深さまで測定できるという仕様なので、まず信頼して良いだろう。
今日の問題はしたがってこれではなく、隣の長い畳みズリの部材の勝手の問題だ。
追い柾から板目に掛けての木取りになっているが、通常であれば柾目(辺材側)を上に、板目を下に、というところだが、今回はあえて逆にした。
これは経年変化での反張を配慮してのもの。
つまり板目を下にすれば、中央から外側に向けて上に反ろうとするだろうから、これは畳ズリの勝手としては具合が悪い。
逆でなければいけない。外側が下向きに反ってくれないと安定しないだろう。
そうはいうものの、やはり見た目の違和感は拭いがたく、少し悩んだ。
短いものであれば反りを無視できる範囲に地ズリ部分を削ぎ取れば良いが、1.5mともなればそうもいかない。
ここはしたがって機能優先での決断となった。
(こんなところにも“決断”というものは必要となるものだね)

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  • 水分計の必要性は感じながらもなかなか手が出ずにいます。
    artisanさんの物と同じと思われる物がネットで4万円余りで
    売られています。
    最近の円高でもう少し安くなったら良いのにと思いますが
    この手の機械は国産で安い物はないようですね。
    今まで使われて来て故障などはないですか?

  • acanthogobiusさん、ネットで4万円ですか。
    ボクは業者から入手したのですが、価格はほぼその程度でしたか。
    でも昔は10万円以上のものばっかりでしたからね。
    シンプルな計測器ですのでトラブル無しですね。
    SWが2個所、3つの発信部分という構成。
    恐らくは内部もLSIとコンデンサが数個ぐらいのシンプルなものなのでしょう。
    あなたもそうですが、原木を扱う者にとって水分計は必須でしょうね。

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