工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

魅惑の「Domino」FWW誌に掲載

Domino
昨日定期購読の『Fine Wood Working』誌が届いた。
昔は届くのが楽しみで仕事はさしおいてページを繰ったものだったが、最近ではそうしたこともなくなり、あまり良い読者とは言えない状態が続いていた。
しかし今号はFestool社の「DF500Q DOMINO JOINTER 」の紹介があることが分かっていたので、昔のように仕事ほっぽらかしてページを繰った。
ま、既に発行元Taunton Press社のWebサイトで見ていたので、さほどの違いがあるわけでもないだろうとは思ってはいたのだが、その通りで記事内容は同じようなものだった。若干、編集、およびレイアウトに違いがある程度だ。
しかしあらためて見れば、この新しい道具がとてもユニークで革新的なものであることを一層イメージづける内容となっていることに気づかされた。
貼り付けたページの画像からは読み取れるものではないが(著作権問題もあろうから、この程度の画像に止めた)、Topのサブタイトルからして「INNOVATIONS」と記されていたりするし、

Festool, a German company, stands out for re-inventing a number of old-faithful tools in recent years.
Available in April 2007, this tool is big news.
Overall, the Domino is an impressive tool that could change your woodworking.

Festool社の近年における電動工具の開発(改革)を評価しつつ、
このDominoの発売をビックニュースとして紹介している。
その後詳細な紹介の後、最後は「Dominoはあなたの木工を変えることのできる印象的なツールである」と締めている。


こうしてかなり高い評価が与えられたDominoであるが、あらためて少し検討してみよう。
この道具の市場への参入で最も影響を受けるのはLamello社だろうな。
恐らくはビスケットジョイナーとしての世界的普及度は、圧倒的にLamello社のものだろうと推測するが、機能性、価格などでLamelloと競合するか、あるいは大きくその機能を拡張しているところから、Lamello 愛好者も大きくFestool・Dominoにシフトしていくことは大いに考えられるだろう。
無論その目的とするところは異なるが、より高機能を持たせたものとして、これまでのLamelloユーザーを喰うか、あるいは一部仕事内容によってはDominoに依拠させる、という棲み分けが出てくるだろう。
なおこうした業界では秀逸で市場での人気が高い製品は、他社の瞬く間もないうちのキャッチアップ攻勢に見舞われることが常であろうが、しかしこの革新的なツールは簡単にはコピーできないのではないだろうか。
機構そのものの革新性があり、しかもFestool社の企業理念でもあるユーザビリティーとしての評価を高らしめている使い勝手が良く、作り込まれた品質の高さを規定づける設計思想、そして機械的信頼度の高さというものは、その開発コストを含め考え合わせれば、簡単にはキャッチアップできるものでは無いだろうと思われる。
さらに確認はしていないが、当然にもいくつもの国際的パテントで守られているだろうから、そうした状況下であえて開発へのインセンティヴは生まれてこないだろう。
ところで入手のルートだが、Woodcraft社であれば日本向け発送も可能ではないか(Festool社ルーターでは海外向けは規制が掛かっていたが)と思い、アクセスしてみたら、何とTopページに大きなバナー付きで紹介されていた。(Woodcraft Wabサイト、Topページ
ここでもかなり詳細な解説、ビデオでの動作紹介など盛りだくさんな記事が来ている。
昨日の確定申告内容からしてもあまり多額な予算計上ができる身分ではないが、何とかして捻出して入手したいものだね。
未だこの機種については残念ながら日本語ネット上では他に記事は見あたらない。
興味を示す人はいないということか。
しかし何だね、こんな記事書いていると、ボクの家具制作はビスケットで OK ! などと考えていると思われかねないな。
そんなことありません。誰よりもほぞを駆使して、堅牢な家具制作に勤しんでいるということはあらためて宣明しておこう。
しかし何故にこのDominoに関心を持つかと言えば、椅子など、傾斜を持った接合部位への活用に大いに寄与すると考えるからだ。
傾斜を有するために無理なほぞを設けるより(目切れ、などのリスクを回避)、こうした異形のビスケット+ダボを使うことで、より強度を出し、かつ生産性に寄与すると考えるからだ。
道具というものは使いかたが肝要ということは定理であるが、とりわけこのような革新的なツールにおいては、その活用法の研究、使いこなしということでは大きく可能性が開かれているように思えるのだ。
発売は4月からだというが、どなたか入手されたらご一報いただければ大変うれしい。
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  • 考える事は同じようですね。
    先日、WOODCRAFTに対してDOMINOは日本へ送れるとか?
    と問い合わせてみました。
    結果はNOでした。
    発売されたら他も当たってみようかと思いますがFestoolを
    扱っている所自体あまり多くありません。
    パテントで守られていると一時期までのLamelloと同じような
    状況が続くかもしれません。
    ちょっと毛色は違いますが以前から気になっているのですが
    こんな機械も発売されています。
    http://www.hoffmann-usa.com/htm/pds32/pds32.htm

  • acanthogobius さん さっそく問い合わせしたのでしたか。
    やはりダメでしたか。ルーターの時には対象ページにその旨記載されていたのでしたが、今回はそのような記載が無いようでしたので、可能性はあるかと考えていたのですが‥‥。
    ご紹介の道具。これもなかなかおもしろいと感じました。
    いわゆるダボ穴を穿つ道具ですね。一度に2箇所開けられる。
    J・クレノフはダボを多用していましたが、ハンドドリルを固定したような簡易なものでやっていました。
    そうしたもに較べればはるかにイージーに高精度に開けられそうですね。
    クレノビアンにはもてはやされるかも。
    (量産工場ではもっとはるかに使い勝手の良い機械がありますがね)
    ところで、ケースはFestoolのものに瓜二つですね。

  • acanthogobiusさん、あらためて再コメントを。
    昨夜は日付も変わる時間帯でのコメントで、半分寝てましたので十分な ものではありませんでした。
    このHoffmannという会社の機械のラインナップはなかなかユニークで興味深いです。
    例えばBeaded Face Frame System、あるいはhalf-lap mullion cross
    ドアメーカーではこのような機械を使っているのでしょうね。
    ボクなどは昇降盤を駆使して、ノコ、カッターといった汎用品で加工していますが、これらの機械であれば一発でOKです。
    しかしacanthogobiusさんも、かなりの機械通ですね。

  • 機械通という訳ではありませんが、やはりビスケット
    ジョイントより強度のある簡単にできるジョイントは
    ないかと思っていたところ、だいぶ前のFWWの後の方の
    woodworkers martという小さく各メーカーの宣伝が載っているページでこの機械を見つけた次第です。
    DOMINOの評価も少し調べてみましたがアメリカではやはり
    価格が高すぎるという意見が多いですね。さらにLOOSE TENON
    であればプランジルーターと自作治具の組み合わせで十分だという意見もあります。
    artisanさんが言われるような傾斜部位での特殊用途としての
    扱われ方はアメリカでは少ないようです。
    個人輸入代行業者に依頼すれば入手可能でしょうが
    付属品や手数料、送料を含めると15万円近くなるのでは
    ないでしょうか。
    LAMELLOも昔はそれくらいしていましたけど。

  • acanthogobiusさん、さっそくどうも。
    >傾斜部位での特殊用途としての扱われ方はアメリカでは少ないようです
    これは理解できます。
    彼らの機械設備では、いわゆる角ノミというものが普及していないので、
    Mortise & Tenon Joints は苦手とするところがあり、このDominoの活用範囲は大きなものがあるのでしょう。
    ボクらの環境はかなり違いますので、仰るような“特殊な”ものになってしまますね。
    Lamelloは20年ほど昔の購入ですが、当時13万円ほどだったかな。
    しかしこの価格の評価というものは、難しい。
    我々プロにとって代替の効かない必要なものということであれば、単純に高い、安いなどという尺度に還元できるものではありませんのでね。
    奢侈品を買うわけではありませんから。
    でも少しでも安く入手したいですね。

  • こんにちは、以前OF 1400EQのエントリにお邪魔した者です。
    話題のDOMINOですが日本国内でも「正規」発売開始されたようですね。
    (テクノトゥールズ2007年4月24日付のトピックより)
    私はあまり必要性を感じないため詳細は訊いていませんが御参考までに。
    ざっと探しただけですがDOMINO国内販売に関して
    これ以外の情報は見つかりませんでした。
    EFTOOLのサイト更新は昨年秋から無いようですし
    替わって輸入総代理となったハーフェレ社のサイトから得られるFESTOOLの情報は皆無。
    とても気になっていたCircularSaw TS75EQも情報不足&入手困難なため
    「もういらない。どーでもいい」に完全シフトしましたw
    余談ですがハーフェレ社のロゴは「(・A・)」を連想させます。
    坊主憎けりゃ・・・というやつでしょうか。
    うーんドイツ製各種木工旋盤とチャックツール、穴グリ用刃物・研ぎ方等を検索していたはずなのに・・・
    またもやお邪魔してしまい、しかもまたズレたコメントで申し訳ありません。
    万事この調子ですのでなかなか必要な情報に辿り着けません。

  • AUDINさん、ビックリ。あなたはどういった方なのでしょうか?情報通ですね。
    新しい有益情報を感謝です。
    日本の代理店展開が大きく変わったようですね。
    HAFELE社が総代理店になったという情報はその通りだそうです。
    (これまでのFE TOOL社 http://www.eftool.jp/社との正式契約は切れたみたい)
    この日本法人と情報やりとりしているところです。
    近く新しい記事で詳細を報告出来るかも知れません。
    >テクノトゥールズ2007年4月24日付のトピック
    には、商品の詳細情報がありませんが、これも確かめてみたいところですね。

  • 多少ともお役に立てれば幸いです。
    商品の詳細情報についてですがテクノネットSHOPさん
    (=テクノトゥールズ関西)さんのサイトをご覧になれれば商品価格のほか
    アクセサリ、ドミノチップ等消耗品の価格もわかります。
    余りに高くて驚かれるかもしれませんが・・・
    テクノトゥールズの本社?は営業マンが得意先や問い合わせ客に応対する
    旧来のスタイルだからなのかホームページから得られる情報は少ないですね。
    情報通でもないのですが何故かドのつくマイナー機械を多く保有しているので
    部品を探したりあちこちに問い合わせたりしているうち色々聞きかじるという感じです。
    さて今日も検索続行中・・・ヘグナーとかキリンガー製品の情報は無いもんですねぇ。

  • AUDINさん、再三にわたりユニーク情報ありがとうございます。
    こうした工具世界は我々家具屋よりも、もっと異なるジャンルの趣味性の強い工芸などの分野の人の方が強いんじゃないでしょうか(もしかしてあなたもその部類でしょう 笑)
    HAFELE社、担当者とまだ連絡が取れません。
    (このBlogのFESTOOLインプレッションurlを知らせたら、甚く感謝されました)

  • HAFELEが代理店ですか?
    あまり期待しないでおきましょう。
    FESTOOLとしても日本での販売のてこ入れのために
    代理店を変えたのかもしれませんが
    HAFELEとしても片手間の仕事になると思うので
    流通経路が変わるというだけで一般消費者にはあまり
    メリットはないかもしれません。
    AUDINさん
    CircularSaw TS75EQは私がDOMINOを入手した所から
    入手可能だと思います。
    ただ、HAFELEの担当者が見ているとなるとここでは
    これ以上書けません。

  • acanthogobiusさん、コメント感謝。
    >HAFELEが代理店ですか?
    >あまり期待しないでおきましょう
    なかなか手厳しい見方ですね。
    AUDINさんご紹介の「テクノネットSHOP」でも腰抜かすほどべらぼう価格。
    HAFELEも同じ路線なのでは、ということですか。
    暫くは様子見ですな。
    いずれにしてもacanthogobiusさんの入手経路がBESTでしょ。

  • 手厳しくなってしまうのは
    昔の仕事の経験から感じることもありますが
    ある意味期待の裏返しでもあるかもしれません。
    現地と同じ値段は期待しませんが合理的な値段で
    国内の正規代理店から買えればそれに越したことは
    ありませんから。
    HAFELE担当者から何か情報が得られましたら
    教えてください。

  • こんばんは、失礼します。私は、ある設備メーカーに勤めているのですが、ここ最近、ほとんどのユーザのフロアのコンクリが、浅い層で鉄筋にぶちあたり、アンカーや、ケミカルが打てません。ネットで検索すると、ヒルティが良さげですが、ちと高い。30万円以上します。どなたか、良い工具をご存知ありませんか。よろしくお願いします。

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