工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

静岡の家具産業はいま

今日はFestool社の日本における新たな販売網に関わる話を関係者から伺い、また商品のプレゼンテーションを受けるという貴重な機会が設けられたが、これについてはあらためて後日記事にしたいと思う。
午後は静岡の家具産業の見本市へと出掛けて見た。
「静岡家具メッセ」(静岡県家具工業組合主催)という展示会だ。
年間、秋にも同組合による展示会が開かれるが、この初夏のメッセの方が各メーカーとも力を入れた新作を出してくるので、観覧することも多い。
今年も受付でもらったリストには80社近いメーカー、木工所がエントリーされていたが、大きな会場なのでかなりの部分をパーテーションでクローズにしての開催だ。
このように最近はご多分に漏れずあまり元気が無いというのが偽らざる状況ではあるが、しかし産地で仕事をさせてもらっている様々な恩恵を考えるならば、その主体であるメーカーのがんばりに敬意を表する意味でも見ておくのが礼儀というところ。
こうした大きな展示会では残念ながらこの会場だけ見てもそのメーカーの意気込みというものを把握することはできない。やはりそれぞれのメーカーの個別のショールームへ脚を伸ばさねば判らない。
でも1つの会場で一覧展示されることでそれなりのイメージは掴めるというもの。
また普段はなかなか交流が出来ない各メーカーのデザイナー、製作者、あるいは経営者(社長)などと会うことで、市場の動向、材木市況などの情報を得るということにもなる。
今回も出品、展示している各ブースの一部ではあるが足を止めて立ち話しつつ、交流するということになったが、職人さんの誰それが怪我をしたとか、若い誰某の腕が上がったとか、結婚したとか、そんな話も交えて交流させていただいたが、何とこの会場で40年ぶりに高校の同級生がデザイナーとして目の前に立ち現れたのにはビックリ。
地域では大手の家具会社に所属するデザイナーをしているらしい。いずれまたじっくりと話を聞くことになるだろう。
各ブースの多くのところで多くの方々から声を掛けられ、挨拶をされたが、これは何故か過大に名前だけが一人歩きして知れ渡ってしまっていることを示すものだ。
ネットでの影響もあるのだろう。ひそかに歩いていてもネットで晒されていることからできあがるある種の仮想空間でのイメージが広がってしまっている。
気をつけねばイケナイ。ネット空間で捉えられる情報など、その真偽においても、肌感覚からの実像の世界からしても、どこまで信頼に足るものなのかは判ったものではない。
確かにボクのようにネットで作品世界を晒し、自分という人間性を晒していることで受益するものというものは少なくないものがある。
先日あるところで大勢が集まる会議があったが、こちらは知らなくても、相手のほとんどは知っているというおかしな現象に戸惑うことがあった。それらの方々から親しく話しかけてくれ、何故か普段は縁のない女性達もにこやかに近寄ってくるというオマケ付きだった。
しかし一方で恐らくは自覚できないところで失っているものもあるのかもしれない。
WebでもBlogでも文章が下手くそで、文体もへったくれもない、つまらない話ばっかりだし、視点が定まらないし etc.etc‥‥.
これは明らかに寡黙でそこそこの作品を作っているだけで絵になる職人、木工家に較べれば相当損をしていると思う。作品の品質を損ねるものだ。
職人はただだまって、静かにタバコでもふかし、人のBlogをフン、と言って一瞥しているのが良い。
話がまたまたおかしな具合になってしまったが、やはり会場で今年も目に付いたのは氷見さんのデザインのものだったかな。
会場でも見掛けたので話しをさせていただくつもりであったが、接客中であったため叶わなかった。またお会いしましょう。
そしてスウェーデンの家具業界の話、あるいは日本の家具産業の未来でもお話ししましょう。

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