工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ウナギの蒲焼きは「石橋」から

石橋のうなぎ
夏バテしていませんか、皆さん。ボクはバリバリッす。
その源は画像のうなぎ。と言いたいところだけれど、この夏としては先日ただ1回賞味させていただいただけ。
この地域の方々にはよく知られたうなぎ屋。「石橋うなぎ屋」
ご覧のように外見からも分かるように一本焼き。腹開き。そして尾頭付き。
腹開き、ということから連想したあなたは達人。そうです。関西風の焼き方で、蒸したりはしない。
来客と同時に大きなバケツから元気の良いウナギをむんずと掴み、大きなまな板の上から頭の部分に五寸釘をブスッと差し、固定する。
ウナギ包丁を取り出し見事な捌きでシュルッと割いていく。
臓物を肝だけ残し捨てる。この捌かれたうなぎを長いまま数本分長い串に刺し、いきなり大きなコンロの上で焼いていく。頃を見計らい、裏返し、ほどよく焼けてきたら、秘伝のたれに漬け込み、さらに焼いていく。返すこと数回、数回。
いやこのプロセスは想像ではなく、カウンターに座れば目の前で繰りひろげられる匠の技。
以前は店主が一人で大汗をかきながらやっていたが、最近は若い女性(娘さんか?)が、これまたいなせな格好で決めてくれている。


しかし昔の田舎のお父さんたちはこれらの芸当は皆やっていたはず。
餓鬼の頃を思い出せば‥‥‥、ボクはオヤジに連れられてまだ日も明けやらぬ早朝に近くの川まで出掛け、竹製の「ず」という仕掛けを置いてくるのが日課だった頃があった。
2回に1度は成果があり、オヤジの手捌きで家族は舌鼓を鳴らしたものだった。
(お前は身体が弱いから、ということでシマヘビも同じように喰わされたことがあったな  -.-#)
オッと脱線しちまったぜ。
この石橋の焼き方はまさに関西の手法なのだが、これによってうなぎの皮はカリッと歯ごたえがあり、中は蒸されることがないことで、とてもジューシーで、ふくよか。うなぎ本来の食感を堪能できる、ということになる。
ご覧のようにたれは確かに濃いのだが、蒸されていないので内部へのたれの浸透は少なく、濃厚であるけれど、決してくどいものではない、というバランスの良いものとなっている。
以前、ウナギは苦手という叔母を連れて行ったことがあったが、ウナギ嫌いというそれまでの信念をお返ししてしまったほどのもの。
しかしこの店、経営戦略が巧い。
店構えはいわゆる民藝風。食卓などは松本民藝のもの。天板は使い込まれ、トラフがヨリ鮮明に浮かび上がっている。
まずメニューなど無い。あるのはアルコール類、デザート、副菜ぐらい。
ただ黙って座って20分ほど待てば、「はい、お待ちどう !!」ってなもんで、織部の角皿に漏られた尾頭付きの1本焼きが脚を折られて、それでも納まらない大きさのため、皿からはみ出した状態で運ばれてくる。
このはみ出し加減も巧いやり方なのだろうね。
石橋そこで舌なめずりしているあなた、ぜひ近いうちに静岡まで足を運びここの暖簾をくぐってもらおう。ウナギの蒲焼きの1つの極地を堪能されること請け合いだ。
お昼の時間帯はめちゃくちゃ込んでいるので、ちょっとはずすのが良いだろう。
場所は下の通りだが、東名高速、静岡ICから5分ほどのところ。
【石橋うなぎ屋】
住所 静岡県静岡市駿河区西中原1丁目6-13
電話 054-281-5432
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