トリマー機種比較
前回は「PRM500」に関する仕様、使い勝手などを見てきたが、引き続いてあらためて他機種との比較をその仕様(スペック)から見ていこう。
2つの表に整理した。上は米国市場で展開されている代表的メーカーのそれぞれ代表的機種4種。
下は国内メーカーの代表的機種3種とBOSCH-J「PRM500」との対照。
海外メーカー機種
機種名 | PR10E PR20EV |
DW670 | 7310 | 309 |
メーカー | BOSCH | DEWALT | POTER CABLE | POTER CABLE |
画像 | ![]() |
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消費電力,馬力 | 1 Hp | 7/8 Hp | Hp | |
Amps | 5.7 | 5.6 | 5.6 | 3.8 |
回転数(rpm) | 35.000 16.000?35.000 |
30.000 | 30.000 | 30.000 |
コレット径 | 1/4" | 1/4" | 1/4" | |
質量(Kg) | 3.2 lbs | 3.6 lbs | 3 3/4 lbs | 5 lbs |
特徴 | 20Eは可変スピード | スピンドルロック、1レンチ | ||
参考 URL | BOSCH | DEWALT | POTERCABLE | POTERCABLE |
価格 | $176 | $174 | $191 | $210 |
国内メーカー機種
機種名 | PRM500 | 3709 | M6SB | TRE-40 |
メーカー | BOSCH(Japan) | マキタ | 日立工機 | リョウビ |
画像 | ![]() |
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消費電力,馬力 | 500W | 500W | 440W | 370W |
Amps | 5.3A | 5.3A | 4.6A | 3.9A |
回転数(rpm) | 30.000 | 30.000 | 30.000 | 30.000 |
コレット径 | 6mm | 6mm | 6mm | 6mm |
質量(Kg) | 1.5 | 1.5 | 1.4 | 1.3 |
特徴 | ラック&ピニオン | スピンドルロック 1レンチ |
||
参考 URL | BOSCH | マキタ | 日立工機 | リョウビ |
価格 | 15,000円 | 23,600円 | 25,800円 | オープン価格 |
さて前回も記したようにモーターユニット部の評価は、個々の特性はあるだろうが、使用者にとって大きな差異はあまり無いように考えても良いのではないだろうか。言ってしまえばその能力、パワー(馬力、消費電力)の数値でほぼ表されるであろう。
ただ機種ごとにその回転音も微妙に異なるし、モーターユニット部の機械精度の良否については検討されても良いだろうが、ボクの能力を超えるのでここではしない。
また多くの機種がスロースタートの電子制御機能が付加されてきていることにも微妙に進化していることが表されている。
今回はやはりそのシステム構成、使い勝手という側面での評価を試みたい。
表中に小さな画像を添付したが、これで概略そのシステム構成が判るかも知れない。
実は白状すると残念ながら実際所有しているものはBOSCHを除けばこの中ではリョウビと日立工機のものでしかない。
しかし日本のメーカーのものは販売店で手にとって確認はさせていただいている。そうした制約のなかでのものと理解いただきたい。
まず海外のメーカー品から。
最初に BOSCH PR10E、および PR20EV だが、ご覧のようにほぼ前回紹介したBOSCH Japan の「PRM500」と同等品だ。違うところはパワー(500W → 1HP)、回転数(30.000 → 35.000 or 16.000〜35.000)そして回転数の無段階可変機構だ。パワーは単位が異なるが500W≒0.68HPになる。両者にはかなりの違いがあるね。
一方この無段階スピードコントロールということはどう評価すればよいのか。
説明書には恐らくは、プラスティックなどの軟材を加工対象とするときは低回転数で、硬い材質は高回転数で、ということになっていることだろう。
木工においては確かに針葉樹などの柔らかい材質から黒檀などの比重が1を越えるものまで様々だ。したがって回転数可変という機能も有用だろうと考えられる(個人的にはほとんど軟材は扱わないので回転数の固定というのは特段問題ないと思われるが)。
ただやはりメーカー商品開発担当に願いたいことは、このように海外での事業戦略と、日本のそれとの差異の基準をどこにおいているのか知りたいところではある。これはドイツBOSCHの最終的戦略でもあるだろうが、BOSCH Japanも単なる販売代理店というわけでもないだろうから、しっかり伝えておきたいところだ。つまりはっきり申せば、同じものを提供して欲しい、ということになろう。
DEWALTの黄色いボデーは最近よく見かけるようになった。首都圏で展開しているDIY業界の老舗、ドイトには幅広く置かれていたと思う。
日本においてはMAX(エアタッカーノメーカー)が代理店展開しているようだ。ただバッテリー工具を重点的に展開しているということのようだ。
画像を見たところモーターユニットと、ベースの関係は、BOSCHのそれと比し、やや有り体というか、貧弱さを隠せない。
次に POTER CABLE #309 だが、この黒い物体はどうだろうか。アルミベースがモーターユニットを完全に包み込む構造になっている。これは同メーカーのルーターと同じ構造になる。
このメーカーのルーターを1機種愛用しているがすこぶる快適に使っている。
何が良いかと言えば、モーターユニットが良い。静かに安定した回転を与えてくれている。構造がシンプルで堅牢性が高い。その分軽量な構造だ。
恐らく同様にこのトリマーも快適に使えるものではないかと想像できる。
切削深さの調整はモーターユニット部ボデーがスクリューになっているのが見られると思うが、ベース部から伸びた外側ボデー部を回転させて昇降させる機構だ。これは同社のルーターの機構と同様である。
したがってモーターユニット部とカバーの中心軸が同一に保たれる最もシンプルで高精度な構造と言えるだろう。
この機種の下にランキングされるもう1つの機種が#7310。もっとシンプルで、廉価。BOSCHも以前同様の構造のものを製造していた。
さて次に国内メーカー。
多くの皆さんの愛用の品々だ。
米国市場のものと異なり、ボクが語るとそのいい加減さが暴露するのでやめておこう。
…という訳にもいかないから破綻しない程度に記述を進めよう。
マキタだが、恐らくは市場シェアは圧倒しているのではないだろうか。
その品質もさることながら営業戦略の勝利か。
トリマーの機種もいくつ現行機種があるのか不明なほどたくさんあるようだ。
画像のように他のメーカーのものとその構造はさほどの差異は認められない。
もっと言えば各メーカーほとんどうり二つの構造を見せられて、さてどのような評価をすれば良いのだろう。
これも護送船団方式と言うのだろうか?
実は1社が作っていてOEMで流している?なんてことはないのだろうね?
ま、それはともかく、したがってコメントは十把一絡げで十分だろう。
ダイヤルで切削深さを調整するという機構は(ラック&ピニオン方式)ここ数年来の改良点だろうか。
ただやはり「PRM500」を手にしてしまうと、ベースがプラスティックという堅牢性に於ける問題、あるいは重心が高い、などの形状の問題、などいくつかの点で見劣りがする。
画像で分かるようにほとんどが重心が高い形状だ。最上部の電気コントロール部と思われるあたりが大きく出っ張っているので重心バランスが悪い。(カタログでは細身で使いやすいと謳うが、重心バランスも考慮されねばならないだろう)
価格的にもBOSCHと比し、割高感がある(もちろん実勢価格においても)。
そしてやはり各社横並びというのも、如何にも日本的ではあるが、独自の企業ポリシー、設計思想というのを見てみたいと思うのも国内メーカーへの期待の表れとして受け取っていただければと思う。
さてせっかくだからこの際、言わせていただこう。
概して日本の電動工具メーカーは米国市場などでは、現地他メーカーへの対抗上と考えられるが、その技術革新には大きな経営資源を投下している。
しかし残念なことだが日本市場においてはこれらを投入するということはとても少ないというのが偽らざる実態だ。
多くの木工家が海外の関連雑誌などの広告に掲載される日本のメーカーの新機種に舌なめずりすることもしばしばだろう。
しかもだ。その価格は日本のものと比し、断然安いという不愉快な実態もある。何でやねん 怒 ! 。
日本の電動工具メーカーは木工業なんてあまり真剣に顧客対策をしていないということかもしれない。しかし恐らくは今後しばらく BOSCH の「PRM500」に需要層の関心は移行するだろうから、対抗上新規開発せざるを得なくなるだろうと考えたい。しっかりやってや。
最後に前回のエントリー「PMR500」に関して、その後新たに分かった問題について触れねばならない。
テンプレートガイドに関することだ。
この標準添付されているテンプレートガイドが貧弱であることについては触れたが、さらにまた納まるベース部分のホールとガイドの板の径に遊びがありすぎて動いてしまうのだ(テンプレートガイド=52φ、ホール径=53φ、つまり1mmの遊びがある)。これはとても無視できる量ではない。
1つの事例をあげれば、丁番の納まる欠き取りを行うのにこのテンプレートガイドを用いるということがあるが、1mm動いてしまうということは1mm分幅広く欠き取られてしまうということになる。これではいかに正しく墨付けしても精度の高い加工には使えないだろう。
本日メーカー側とやりとりしたが、この精度の問題については認めた。改善を望むように伝えたが、いつの時点でこのような改善が図られるかは全く不明だ。
また当面はベース側に遊びを無くするための「付け物」をするなどで対応したいと考えている。この部位は問い合わせたところ、やはりベークライトだそうだ。
どなたかこうしたことへの対策などお持ちであればご教示いただければありがたい。
本件、トリマーに関してはとりあえずこれをもってオワリとしたい。
また新たな情報が取得できれば記述したいと考えている。
多くの方々からのコメント感謝いたします。ありがとうございました。
ところで恐らくこのエントリー、読み込みにタイムラグが大きいのではないかと思う。「表」を使ったためのもの。
こういうのって「テーブル」を用いずCSSで軽く構築できるのでしょうか。どなたかその道の達人の方アドバイスを !

■ 関連記事:コンパクトルーター(トリムルーター)機種比較(2015.02.21)
やっさま
2006-9-6(水) 18:53
こんにちは。ギター製作をしているものです。
トリマーを買おうと思っていたので大変参考になりました。
ありがとうございます。
いきなりですみませんが質問させてください。
BOSHのPMR500のテンプレートガイドですが、
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=399804にあるように
BOSCH ルーター1613EVSの物を流用しても、
やはり遊びがあるのでしょうか?
artisan
2006-9-6(水) 19:51
やっさま、コメント感謝します。初めての訪問の方のようですね。いらっしゃいませ。
さて記事中(テンプレートガイド=52φ、ホール径=53φ、つまり1mmの遊びがある)は1613EVSなどに用いる「Templet Guide Kit」(RA1100〜1121)とサイズ関係は同一です。1mmの遊びがある、と言う点では同じですね。
しかしこれまで何度もこのトリマーを使っていますが、その使用感は記事で評価しましたように現行機種の中では最高位にランクされるものと考えられますので、廉価なことも合わせ含め、購入して間違いないものと思います。
どのようなお仕事されていらっしゃるのか、機会がありましたらご案内ください。
やっさま
2006-9-6(水) 23:34
早速のご回答ありがとうございます!
そうですか。やはり隙間がありますか・・・
私がトリマーを使う個所はギターの棹と本体の部分の
アリ溝で、かなり精度の必要な部分です。
PMR500を使うとするなら、
artisanさんのようにベースの改造なり新造なりが
必要になるかもしれませんね。
もう少し恥ずかしくないウッドワークが出来るようになりましたらウェブで公開させていただきますので、
そのときは「ソコはそれじゃ駄目よ」とか「遅いなァ、手が」
といった具合にご指導ご鞭撻ください。
やっさま
2006-9-6(水) 23:49
アメリカで売られているBOSH PR10とPMR500は良く似ているようですが、
この商品のアクセサリーにこんなのを見つけました。
http://www.boschtools.com/tools/tools-detail?H=175983&G=69689&I=69699&T=1
ベースプレートの代わりにねじ止めして、市販のガイドブッシュをつけられようにするるもののようです。
「ねじ止め」ということはねじ穴の位置やねじのピッチ(インチ・ミリ)がちがうとつかないと思いますが。
artisan
2006-9-7(木) 07:25
やっさま 引き続き、有益な情報を感謝します。
ボクはこのようなアタッチメントが存在することは知りませんでした。
仰るようにこのsubbaseを用いることで「Templet Guide Kit」もジャストフィットで使えるかも知れませんね。ラバーのリングもあるようですので固定性は悪くないかも知れません。
ダストコレクトのオプションも付くようですね。
取り付けのスクリューサイズの仕様は不明ですが、意外とピッタリくるかもしれません。例えピッチが合わなくともタッピングすれば解決するのでは?
やっさま
2006-9-7(木) 17:29
なるほど、タッピングですか・・
一応あっちのBOSHに穴の位置とねじ山ピッチを
問い合わせて見ます。
やっさま
2006-9-16(土) 00:59
こんにちは。
上記のサブベースについてUSA-BOSHから
回答がありました。
ねじの送りも間隔もアメリカ仕様のPR10と同じだそうで、
日本仕様のPMR500に取り付け可能だそうです。
このサブベースは市販のルーター用テンプレートブッシュと
artisanさんがココで書かれている、
http://blog.artisan.boy.jp/?eid=399804
1613EVSなどのボッシュルーター純正テンプレートガイドが
ジャストフィットするようです。
手にとって見たわけではないので保証はできませんが。
興味のある方は商品ページの「オーナーズガイド」を参照されると便利です。
私の場合は、
というとギターのアリ溝に使うビットには、
ベアリングガイドが最初から付いているタイプでしたので、
テンプレートガイドそのものが必要ありませんでした。あれま。
artisan
2006-9-17(日) 00:13
やっさま さん、(何か敬称の付け方がヘン?)PMR500 オプション情報ありがとうございます。
先のコメント↑のように、なかなか良いように思われます。
BOSCH Japanでも取り扱いをしてもらいたいけれど、これは望み薄ですね。
(ドイツBOSCHのサイトからは見つけられませんでした)
>ベアリングガイドが最初から付いているタイプ
というものも確かにあるようですね。当然この方が精度は高い。
しかしギターのどの部位に蟻溝が来るのでしょうね。ネックかな?
ギターを触らなくなって久しいボクには思い出せませんね。
やっさま、今後もどうぞよろしく。
やっさま
2006-9-21(木) 16:46
お返事ありがとうございます。
ギターのアリ溝(ダヴテイル=日本語でアリ溝で良いんですよね?)はネックとボディーをジョイントする部分にあります。
ギターを作るか壊した(!)ことのある人以外はまず見ない部分です。
こんな感じです。ガイドつきのビットも写真が載ってます。
http://www.stewmac.com/shopby/Instrument/Archtop_guitar/Tools/Neck_Joint_Router_Bits.html
日本で売っているベアリングガイド付きのビットは、
ビットの「先」にベアリングが付いた物が多いですが、
アッチのは「根元」についてるのが多いですね。
こういう深いカットをトリマーでやったら危ないのかもしれませんけど・・・
artisan
2006-9-22(金) 07:35
やっさま さん。ギター製作に係わるツール販売サイト、楽しく拝見させていただきました。
〈木口加工作業台+テンプレートガイド+ベアリング付きのダヴテイルビット〉
は、おもしろかったです。家具制作の分野でも応用できますね。
なおこのページ、レイアウトが大きく崩れていますが、URL表記の場合、自動改行しないことが理由です。悪しからず。
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2007-6-15(金) 00:28
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