工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

脚新たなデザインでのコーヒーテーブルを制作しようと考えている。
構成としては4本脚、幕板なし、シンプルでモダンなもの、という要件でいこうと思う。
そこでまず脚部から木取り、加工。概ね思い描いていたデザインでいけそうだ。
設計はラフスケッチからはじまって3面図で詳細を決定していくのだが、家具という立体造形では、ボリューム感とか、3次元での見え方など図面段階では図ることの出来ない要素があることも事実。
この程度の設計では、いちいち模型を作るなどと云うことはしない。
いきなり良材を木取ってしまうのがボクのやり方。
実はこのデザインは工房 悠の家具としてはユニークなものでもなく、良くあるパターンで、ディテールにいくつか新しいところがあるだけなのだがね。
反り脚、テリ脚、そして稜線を活かした大きな面処理、というのが妙味。
今回はさらに幕板を設けずにダイレクトに天板(端バミ)に接合させようという企みだ。
天板は太鼓型のラインを持った4角形と円形の2種にしようと思う。
完成後、全景を見ていただこうと思う。
仕事は辛いが、このような構想から加工に至る経緯の高揚感は失いたくないものだ。

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  • 優れた木工家具というものは、部品の時点で美しいものだというのが私の持論ですが、それを裏付けるような画像ですね。完成後の全体像が楽しみです。
    ところでartizanさんのデザイン・コメントに時々登場する「テリ脚」というのは、どういう意味ですか。教えて下さい。

  • otake.o さん、どうも。
    《テリ脚》とは…、
    神社仏閣などの屋根(唐破風)に見られる反りが典型ですが建築デザインからあらゆる日用品に至るまで見ることができますね。
    工房 悠 の家具全般に使われています(単純に好きなんです)
    【てりむくり―日本建築の曲線 中公新書】(立岩二郎 著)
    はこれを日本文化の深層として解読しようと試みた書です(urlをここで貼り込むとレイアウトが崩れてしまうのでしませんが、amazonで検索してみてください)

  • ああ、いいフォルムだね。
    対峙して、すっくと立っているふたつの脚は、
    それぞれ自立しているふたりの人だ。
    じっと視ていると、
    あの十和田湖畔に佇っている光太郎の像が、
    髣髴としてくる……。
    六月の静謐なひかりのなかで、
    肌の色はたがいにちがってはいても、
    ふたりはしずかに語り合っている。
    かれらが育った森林の日々を思い出して、
    遠い地平線に目をやりながら、
    語っているのだろうか。
    >仕事は辛いが、このような構想から加工に至る経緯の
    高揚感は失いたくないものだ。
    じつにいい言葉ですね。
    木工作家にかぎらず、どんな分野の creators にも通底
    する創作・創造する者の意気と覚悟が謳われていて、
    はげしく共感します。

  • >風に吹かれて さん コメント感謝します。
    何だかずいぶんとお褒めいただき、天にも昇るキモチ……。こういうのをホメゴロシっていうのでは。
    まさか光太郎が出てくるとは !? 。好きですけどね、ボクも。木彫の「鯰」なんかサイコー。
    テーブル完成画像は、今暫くお待ちいただきます。

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