工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

土場作業の“快楽”

土場
日本列島、大荒れのようだ。
太平洋側は昨日の大雨とはうって変わって、快晴。しかし風がムチャクチャ強い。
そんな中、今日は材木の乾燥土場、倉庫の地盤整備で汗を流した。
地主が土地活用の用途を変更するにあたってついでにうちの方もやってしまおうという企み。
しかし土場整備とは言っても簡単な作業ではない。
枕木はそれぞれに水平を確保しなければならないので、この作業はなかなか難儀なこと。
材木の山はわずかに5山ほどだったが、ほぼ終日掛かってしまった。
仕事柄体力はあるが、腰痛持ちの身体にはいささか過負荷な作業だった。
しかしこうした作業としてはタイミングの良い時季だった。これが春から夏の時季だと、材木にとっても良くないし、暑さで体力の消耗も激しいだろう。
ボクは今さらこうした土場の環境を変えるつもりもないが、後進にアドバイスすれば、土場の枕木はH鋼などで一定の大きさのパレット状に造っておくことだね。そうすればフォークリフトで簡単に移動も可能だ。
やはり少しばかり締めただけのグランドは不当沈下してしまう。
もちろんベタコンを打てばなお良いだろう。
作業を終え次なる制作に資する材木を積み込んで帰宅。
年内に納入せねばならない受注品も多く、忙しい時期になってきた。
少し余談めくが、こうした肉体労働というものは決して嫌いでは無い。
労働は辛いが、身体にほどほどの負荷を掛け作業することで、身体は喜ぶというのであろうか、ある種の快楽さえ覚えることは誰でも経験的に知っていることだと思う。
近代における概念では労働は苦役ということになるのかも知れない。
自営業でのもの作りという形態からも性格づけられるのかも知れないが、過酷な労働で身体に疲労を与えてもなお身体は喜び、心も少しハイな気分になる。
今夜は「山谷ブルース」でも口ずさみ、一献傾ければ明日も快調に励むこともできるだろう。
    * 画像背景は豊かな茶園を擁した牧ノ原台地

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  • きょう一日の土場作業をおえて――
    (artisan に代わりて詠める歌)
       牧の原 土場の整備を おえたれば
          ピーナツ噛じり 酒ひとり汲む
       赤石も 富士も白嶺よ 風つよく
            いたき筋肉 さすりつつ呑む
    11月15日、大柳の辺を「ひかり」で通過しました。
    工房悠を目でさがしましたが、あっという間にすぎてしまった。
    久しぶりに、静岡の町を歩いた。
    駅南から浅間神社まで、わずか30分――。あれっ、静岡
    って、こんなにちんまりした町だったのかあ。
    帰りに呉服町の「や」の字に寄って、本を物色した。

  • 風に吹かれてさん、せっっかくの来静にもかかわらず、お招きできず失礼しました。
    でもほとんどうちの実態も分かっていらっしゃり、お見通しですな。
    静岡の「や」の字も往時と変わらずがんばっています。
    「す」の字(レコード屋さん)は大手に吸収されてしまって悔しい。

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