工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

中国経済の過熱化と木工家の悲哀 ?

中国の飛躍的な経済的発展は日本国内への産業に功罪様々な影響を与えている。
今日はいつも切らすことのない家具金物が在庫の底をつき、納品で出向いた街の金具屋で購入する。
「こんにちは〜」と店のドアを開けるやいなや、いきなり社長曰く、「もう、金具屋、めちゃくちゃだよ」「これを見てよ」と、出されたのが銅など非鉄金属の素材価格の推移の表だ。
わずかに3年ほどで130%の値上がりを示している。
この金属素材の高騰は中国経済の過熱化によるものだといいうことは誰しも認めるところだろう。
昨今、ニュースでは異様な事件が多発していることを報じている。
マンホール、チェッカープレートなどの金属製品が市中の路上などから盗まれる。
個人住宅の玄関の金属製門扉も盗まれる。
挙げ句の果てには、大規模開発のニュータウン、新設工場などに敷設されつつある電力ケーブルがドラムごと、あるいは敷設してしまった地下埋設のダクトから強引に引き抜かれる(重機で引っ張ってしまうようだ)などという事件も起きているというのだ。世も末だね。
こうした金属需要をめぐる異常事態というもがは零細業者で締められている家具金物製作メーカーを苦しめているであろうことは容易に想像できるところだ。
いかに素材価格が高騰しても、これをそのまま商品価格に転嫁するというわけにもいかないのが実態だろう。
結果、廃業に追い込まれるメーカーも数多く、廃業しようにも借金を抱えにっちもさっちもいかなくなっているメーカーもあるのだという。
今日求めたのは「綱島製作所」(T.T.S)の丁番。うちの丁番の定番製品。国内メーカーのものでは最も信頼性の高い高品質なもの。真鍮製だから銅、亜鉛の高騰の影響を受け、既にかなりの値上げになっていた。
元々からしてかなり高価な丁番であったが、購入するときは100枚単位、あるいは50枚単位で求めていたのだったが、しかしこの高騰ではそんな単位では買えない。
でもだからと言って必要に応じた数量で求めていたのでは年々、いや月々の単位で値上がってしまうだろうから賢い買い方ではない。
どうすりゃいいのさ。木工家にもまるで相場師のような才覚まで求められる時代状況なのか。
家具に用いられる国内広葉樹の良木の需給が年々逼迫していることは何度が触れてきたが、関連する様々な素材の需給も同様のようで、なかなか困難な時代へと入ってきていることは間違いないところのようだね。

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