工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

「コレクションテーブル」その2

コレクションテーブル・脚内部


引き続いてコレクションテーブル制作は続く。
このところ、地方への納品、地元の研修会などが続き、工房での作業進捗状況が芳しくない。

この時季はしかし、加工途上のものも変形する怖れもないので呑気なものだ。
日本の気象環境における木工加工のキホンは、勢いであることには違いはないのだがね。

さて画像はテーブル脚部妻手の内側を見ているところ。
在庫してあった半分を組み上げた状態のものだね。

うちではこのように、受注制作が基本ではあるとはいえ、1品制作ではあっても、複数台加工しておくことが少なくない。
少しでも加工費用を抑えようという配慮からだが、今回のように材種を変えて、サイズを変えてと言うこともあり、なかなかこちらの思うようにはいかないというのが実状かな。ヤレヤレ。

さて画像だが、妻手幕板にもガラスが入るのだが、幕板、貫にダイレクトに納めるのではなく、別の枠(額縁)を嵌め殺したところに納める、という手法を取る。

これは一見やっかいなようだが、ガラスの交換、あるいは加工における合理性からくる判断に依る。

こういう場合、組むにあたって二重の胴付きになるので注意が必要。どちらかは“逃げ”が必要。この場合は当然にも額縁の方をやや小さくする。
何でもかんでも寸法通りに加工すれば良いというものでは無い。

これは留めでグルリと回すので、あらかじめ額縁をこしらえてから嵌め合わせて組むというプロセスだ。

なお、貫の小穴は地板が入るところだが、この延長線上の脚の部分にも同じ欠き取りをしておくのが良い。
ピン角に取る必要は無く、組み上がった後に隙間がなければよいので、画像のように少しでも内部に入り込む程度で十分だ。

画像下は今回の樺仕様での額縁仕上げ削りだが、角面を小型の角面鉋を使って削っている図だね。
数年前に入手したものだが、やはりボクのようなかわいらしい手にはこの程度の大きさがちょうど良い。真鍮の調整ボルトが付いたあれは、とても片手でのコントロールが難しい。

良く研ぎ上げて、裏金をしっかり仕込み、軽快に逆目を止めつつ削れるようにしたい。
樺も意外と逆目がやっかいで、ここでヘマをして削り込んだりすると、角面の大きさがバラバラになって、みっともないったらありゃしないからね。

急がば回れで、刃物の管理を最優先させるというのがキホンであるようですな。

角面鉋

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