工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

〈ノクターン〉 平原綾香

ノクターン
いきなりの五線譜。
ショパンのノクターン20番 嬰ハ短調(頭の部分)
映画『戦場のピアニスト』に通奏低音のように使われていたことでも話題になったショパンの名曲の1つだが、最近では平原綾香の「カンパニュラの恋」あるいは「ノクターン」としてポップスとして唄われているというので買ってみた。
ボクはTVドラマは全くと言って視ないし、また紅白歌合戦も視ていなかった。
この曲は本人が役者としても登場したフジTVのドラマ内で使われ、また紅白歌合戦にも唄われていたというので、よく知られるようになっていたようだ。
知らぬはオイラだけ?
平原綾香と言えばジュピター。デビューアルバム『ODYSSEY』(04/02)だった。
ホルストの組曲「惑星」からのものだが、あの時もびっくり。まさかあの壮大な曲を年端もゆかない女性がポップスで唄っちゃうなんて……、と。
Path of Independenceその後も数枚のアルバムを編んでいるが、この「ノクターン」が収められた『Path Of Independence』(08/12リリース)は6枚目のアルバムになるものの、クラシックの名曲からリメイクされたのはジュピター以来とか。
ボクはわずかに3枚のアルバムしか手元にないので良くは分からないのだが、今回のアルバムはいずれも水準以上の出来栄えのように受け取った。
以前のものは、話題曲を除けば楽曲の問題もあるのだろうが、出来不出来の差異が大きかったように思うが、この「Path of Independence」では本格的ポップス歌手としての力を備えてきているように思えた。
まさにPath of Independence、自律したミュージシャンとしての歩を踏み出したという感じがする。
ショパン・ノクターン。このエモーショナルで叙情性豊かな名曲をあえて選んだ潔さというか、大胆さというか、その意気込みは買いたいと思う。
しかし本人にはその積もりはないかも知れないが、いっそのことショパンの他の名曲にも歌詞を付けて唄っちゃうのもありかもしれないな。
確かにクラシックの名曲に日本語の詞を付けて唄うという事のきわどさ、キッチュに陥る危険性をどう評価するのか。このリスクを伴うことをどう回避するのか。
恐らくは彼女自身にも迷いもあるに違いないが、ここはしかし唄いきるしかないのだろうね。
その独特の張りのある低音、ピュア・ヴォイスとか言われているようだが、キャピキャピの若い女性の歌声とは全く異質な安定した声質は、大歌手の素地を備えているのかも知れないと思わされるほどのものだからね。
祖父から続く音楽一家に育ち、天性の音楽的感性を持つ。
まだうら若い女性歌手がきらびやかな音楽業界で自己の地位を確立していくのはさぞ大変だろうが、雑音をはねのけてさらに声を鍛え、歌唱力を付け、様々なジャンルの音楽に触れ、多様性の中から彼女自身の唄世界をじっくりと造り上げていってもらいたいね。
アルバム『Path Of Independence』がその字義通りに、今後の彼女の歌い手人生の橋頭堡として位置づけられるような気もするので、大いに活躍してもらいたい。
*参照
■ インタビュー「ひと インタビュー」(朝日新聞、どらく
平原綾香 公式Webサイト
■ フレデリック・ショパン、夜想曲第20番 嬰ハ短調 Lento con gran espressione
 楽譜のダウンロード、および演奏はこちらからどうぞ
最後におまけにYouTubeからどうぞ

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • こんばんは。
    Jupiterにしろ、選曲も上手いですね。
    歌声といえば、Alison Kraussも衝撃で
    器楽はかなわない様に感じました。

  • Alison Krauss、ブルーグラスですね。
    唄、声楽というものは表現力として見た場合、楽器を越える何ものかがあるというしろうとさんの話しには同意できます。
    (平原綾香はサックスもやりますが、唄で勝負したことで評価を受けていることでも明らか?)
    それはクラシック声楽として鍛えられたボイスだけではなく、ポップス、ジャズ、あるいは美空ひばり(なんちゃって)など、サブカルチャーでも同様ですね。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.