工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

09/08/11駿河湾地震を受けて

心地よい爆睡を大きな地震が破った。
右に左に、強烈に揺さぶられる。
普段は寝起きが悪い男だがこの時ばかりはパチッと覚醒し、事態を必至に確認しようと耳目、五感を研ぎ澄ます。
10数秒ほどの強い揺れが納まるのを待って跳び起き、周囲の状況を把握する。
書棚からの本の落下、棚からのバッグの落下が確認できるくらい。
TVの電源を入れれば、既に地震情報が流れている。
(これは予知情報として地震発生前に報ぜられ、間もなく本地震が来襲したとの報であった。無論それを理解したのは後刻)
隣接している工場に恐る恐る足を踏み入れるが、塗装途上で立てかけられていた家具パーツが散乱。
機械場では材木が倒れ、機械に覆い被さるという程度の被災。
報道される当地域一帯の震度5強、というには、軽微な被災状況と言えるかもしれない。
報道ではこの地震はかなり広域の国土を揺らしたようだが、幸いにして人身を含む大きな被害は無かったようだ。
家屋の屋根瓦の落下、店舗での商品の落下、など。
ただ東海ベルト地帯を結ぶ高速道路が寸断された。


この高速道の法面の崩落は、その盛り土という工法と、このところの長雨による脆弱化という複合的な要因があるのだろう。
しかし東名高速道がこうした地震で崩落というのはかつて無かったことかもしれないね。
ニュース映像でも分かるようにあのような寸断が起きて1台も被災しなかったというのは全く不幸中の幸いというべきだろう。
明日1日掛けて復旧させ、明後日には規制解除を行うとのこと。
その後、冷静になった頃判明したのが水道の水の濁り。
うちは地域の農家が共同で設置した小規模水道施設から供給されているのだが、そうではない市の一般の水道路の方も濁ったようで、どうも地下水系そのものが変調をきたしたようだ。
当地は大井川という大きな一級河川に近く、伏流水が豊富でこれを組み上げている訳なのだが、この濁りとなると、復旧は時間が掛かるかも知れない。
近くにある食品工場(紀文)も同様に濁った水を使う訳にはいかないとのことで、操業を停止しているようだ。
市の緊急の給水活動も開始され、これで何やら一気に被災地状況と化してしまった感じだ。
さてところで、朝の起き抜けの寝ぼけた頭に去来したのは何かと言えば、震源地に近い臨海地域に立地している浜岡原発の被災状況。
意外にも報道ではあまり詳しく報じないのが不思議でならないのだが、とりあえずは稼働中の炉は緊急停止され、放射能漏れは無いとのこと。
しかしこれは今後詳細な検証を経ねば、本当のところは分からないというのが実態ではないのかな。中部電力の長年の隠蔽体質からして信頼しろと言われてもね。
ま、そんなわけで、多くの方々から見舞いの電話、メールを頂戴したが、とりあえずはうちはこのように軽微な被災であったということを記して、いただいた見舞いに感謝しておきたい。
最後に戒めを記しておこう。
災害は忘れた頃にやってくる、という警句は、こうして実際に見舞われなければ失念してしまうものなのかもしれない。
この地震が東海地震と、どのように関係(あるいは関係しない)するのかは、今後の実証的、学術的な検証を待たねばならないが、1つだけはっきりしたことはある。
予知という対策における問題だ。
今日の段階を見る限りではメディアではほとんど問題にされていないが、1分にも満たないインターバルの事前予知情報を発してどれだけの実効性があるのだろうか。
国内における地震予知のシステムの中で最高レベルの施設、整備がされているのが、ここ駿河湾地域。
その結果、本震の40数秒前に発することができたことを、果たして喜び、評価されるべきであると言うのか、凡夫にはさっぱりわからん。
決して少なくない地震予知研究、設備費の予算計上の幾分かでも、起きた後の地震対策へと振り向けた方がよほど実効的ではないのか。
やってくるであろう次期政権に、果たしてこうした地震対策は奈辺にありや。

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  • 大きな被害がなく何よりでした。
    当地も9年前震度6強の地震にみまわれ、2階で掃除をしていましたがすざましいたて揺れに間違いなく家が崩壊すると瞬間思いました。
    阪神・淡路大震災に匹敵する大きなエネルギーの大地震でにもかかわらず奇跡的に一人の死者も火事もありませんでした。
    人口が密集していない事や、比較的地盤が安定している事がその要因に挙げられていましたが、被害は甚大でその額は485億円といわれています。
    当時小学校6年生だった二男が前日大山登山に同時刻に上がっており1日違いで難を逃れ肝を冷やしました。
    ちなみにこの地震で大山の標高は1711mから2m低くなり1709mになってしまいました。
    伊豆東海地方の皆さんは地震の備えが出来ていて、その甲斐もあって被害が少なかったと報道されていましたね。
    但し当地も地震後も余震や風評被害が大変でした。
    長かった梅雨(本当にあけたのかどうか疑問ですが?)も終わり今日は34℃の予報が出ています。
    どうぞお体ご自愛下さい。

  • ご無事で何よりデス!
    何より地震嫌いな私は あの瞬間、跳ね上がる様に起きて
    揺れている最中に叫びながら部屋を飛び出してしまいました。
    ….なんという動揺っぷり!
    冷静に考えると地震より自分の行動がコワイかもしれない。
    とても備えが出来ている県民の行動ではありませんでした。
    寝ていて起こった地震のせいか、眠ることが怖かったり
    震度1程度の微妙な余震でビビってしまう。
    コワくてコワくて、
    出来ることならば 忘れて暮らしたいこと、でもあるんですよね。
    ….気を付けなければ!!

  • ぴあん さん。鳥取県西部地震ですね。
    おぼろげながら覚えています。
    どこで大きな地震が起きてもおかしくない日本列島。
    明日は我が身、が実感として強く印象づけられました。
    >大地震でにもかかわらず奇跡的に一人の死者も火事もありませんでした
    マグニチュードの数値というものは地震のエネルギーではあっても、被害がどのようにもたらされるかはいくつもの複合的な要因が絡み合っての結果ですからね。
    やはりまずは「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の伝で、己の住まう地域の地形、地盤を調べ、それに基づいた備えをする、ということでしょうかね。
    サワノさん、Blog拝見しました。
    大変でしたね。仕事場、片付けはできましたか?
    >揺れている最中に叫びながら部屋を飛び出して
    困りますね。まず大事なお母様を守ることを優先させていただけませんと‥‥(苦笑)
    余震への怖れ、確かにコワイよね。
    でも余震はあくまでも余震でして、絶対に本震ほどには強くはならないので‥‥。
    徐々に時間経過とともに落ち着いてくるでしょうから、日常生活のリズムを維持することに努めましょう。

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