工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

いただきもの

いただきもの
いただきものというのは、社会において、人と人との関係をフレンドリーに繋げるものとして、現代社会においても依然有用なものだろう。
いや、地域コミュニティーが危うくなってきたり、荒廃の度合いを強める日本社会の人々の関係性の変容というものは、この贈り物という“文化”をより有用なものとしているのかもしれない。
社会学的には「贈与」という。
共同体と共同体を取り結ぶ重要なものとして、古来より広く営まれてきた慣習でもある。
ま、そんな堅苦しい民俗学的位置づけなどどうでも良いが、贈る人の思いと、贈られる側の期待がピタッと嵌るというのは、やはりそれほど簡単なものではない。
せっかくいただいたけれど、うちでは使わないものなので、どうしましょう‥、
などということも起こりうる。例えば以前も触れたかと思うが、洗剤などの事例はそれにあたる。
今度の場合はピタシと嵌ることが続いた。
右の2つは古都、京都からの贈り物。
山蕗のきゃらぶき、そして芦生漬だ。
まずきゃらぶきの方は、蓋のラインまでぎっしりと詰め込んであるので驚かされたが、添加剤も人工的な味付けも無く、いわゆる醤油漬けのとてもシンプルで懐かしい味だ。
ボクは普段から口に入れるものは過剰な味付け、添加物の多いものは避けているので、これらが使われた食品へはアレルギー反応が起きるほどに“脆弱”だ。
コンビニなどの食品はまず買ったことがない。
数週間前からぬか漬けを漬けているので、あまりたくさんはいただけないが、毎食食卓に上がるだろう。
そして隣は盛岡から届いた自家製のベーコン。
1Kgほどの塊だったが、妻が勝手にブロックに切りフリーズしてしまったので、こんな感じの撮影になってしまった。
実はボクの口にベーコンが入るのは本当に久々。
いや嫌いではないのだが、市場に売られている95%のものは、ボクは食べられない。
『亜硝酸Na』という発色剤がほとんど添加されているからだ。
うちでは普段の朝食はパン食なのだが、そのためにはソーセージが欠かせない。
当然にも市場のほとんどのソーセージにはこの『亜硝酸Na』が添加されている。
発ガン性が疑われるものであるにも関わらず、見た目を良くするだけのために使われている。
ただ市場には極少量ながらも、無添加のものが売られている。
信州ハムなどのメーカーのものがそれだ。
さて頂いたベーコンだが、当然にもそんな添加物など振り付けられてなどいない。あくまでも塩とチップからいぶり出される燻蒸の煙だけ(だったかな?)
これが実に旨い。
いわゆる温燻なのだろうと思われるが、しっかりと燻蒸され、風味豊かに三枚肉の旨みが封じ込まれている。
ボクはレシピが貧困なので、スパゲティー、野菜と一緒にとろとろと煮込んだ具だくさんのスープ、それとジャガイモと炒め合わせたジャーマンポテト、などかな。
こんな旨いベーコンは本当にもうけもの。
いずれも決して過度に手を加えたものではなく、素材の持ち味を活かしたシンプルで素朴な味わい。
ボクは人後に落ちない食いしん坊。
旨い物には素直に喜び、感謝の念を捧げるのが良い。

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