工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

leitz刃物の行く末

過去数度、ドイツleitz社の木工刃物について紹介してきた。

ルーターマシーンについて(その1)
ルーターマシーンについて(その3)
ウォールナット テーブル 制作 その2
Leitz(ライツ)のルーター刃、入荷

うちでは主要には縦軸面取り盤のストレートのカッターブロックを数種、ビルトアップスタイルのカッターブロック、グルージョイントカッター(矧ぎ用ミニフィンガーカッター)、など、
あるいは12mm、16mmシャンクのルータービット各種など、いずれも替え刃方式のものを愛用してきた。
いずれも満足のいく刃物であり、加工精度、および切削能力、つまり生産性に大きく寄与してもらっている。
昨日、良く立ち寄ってくれるleitz(株)名古屋の営業マンがひょっこりと顔を出してくれた。
だが、いつもの晴れやかな顔ではない。
差し出された名刺には、別会社の名称が見える。
おや、どうされたのですか?
照れ笑いしながら、転職の経緯と、如何に新しく就職した会社がすばらしいか語り始めた。
チップソーの製造会社だそうだ。
ではleittz中部はどうなるの?
暫くは拠点は置かず、本社(横浜)の営業区域となるとのこと。
おやおや、実質的な業務縮小じゃない。トホホ
ボクのBlogで数回にわたって、leitzの刃物がいかに素晴らしい刃物であるかアピールしても、そんなものへの突っ張りにもなりゃしない。へへへ。
これは、やはり国内の木工業界の低迷、そして木工業と既存の国内刃物製造業者との緊密な業務関係に入り込むことの困難性、さらには海外に製造拠点を置くことで、使用者側の細かな要求に十分に答えられないもどかしさ、というようなことも遠因として、営業展開の難しさというものがあっただろうことは大いに理解できる。
ドイツ側から言えば非関税障壁とでも言いたくなるような、日本固有の業務慣行に切り込むことの困難性ということになるだろうか。
とりあえずは、所有する刃物についての替え刃の供給体制を確認することになるか。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • Leiz刃物との付き合いは、Leiz社が横浜に営業所を開設する以前からあり、
    直接ドイツに刃物を注文しておりました。国内に営業を展開していた頃、
    私の工房にも営業が訪ねて来たりしておりましたね。日本の商習慣で商売
    をするのは難しかったのでしょう。残念です。世界のトップクラスの刃物
    であっても、営業だけでは厳しいでしょう。木工関係者の刃物の技術教育
    が不可欠だと感じます。また研磨業者の理解不足には泣かされます。特に
    チップソーの歯形を、Leizオリジナルに研磨してくれない。高価であって
    替え刃式の刃物は研磨の必要がないので、好んで使用します。手動送材用
    刃物と機械送材用との違いは、日本国内では未だに理解されません。

  • jubaさん、さっそくご丁寧なコメント感謝です。
    地方の業務拠点が閉鎖するということは、たいへん残念なことですが、決して唐突なものというものでもなく、以前より日本法人の経営上の困難は聞き及んでいたところです。
    やはり日本の木工機械のかなり特異な規格、安全性への関心の低さ、特異な商慣行、などいくつかの問題が容易に想像されますが、せめて貴兄らとともに理解あるユーザーの一員として、Webの片隅でその特性を紹介していくのも幾ばくかの意味もありそうです。

  • 私が以前勤めていた会社の営業マンたちも、それぞれ
    木工業界に散らばって行きました。
    自分たちで代理店を立ち上げる者、ライツ、ロイコ
    天龍製鋸、兼房刃物などの会社に勤める者など色々
    だったと思います。
    現在の状況は断片的にしか入って来ませんが業界の
    状況を反映してそれぞれに苦労していると思います。

  • acanthogobiusさん、そうですか。
    ボクはあまり刃物業界との交流はありませんので詳らかにしませんが、木工刃物を主たる事業にしているところは苦闘していることが想像に難くありませんね。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.