工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

大掃除を終えて‥、ちょっと行く末などを

tubaki
工場の大掃除(らしきもの)を終えた頃、早くも陽は沈んでいたが、朝からの強い風も和らぎ、静かに2007年最期の日も終わろうとしていた。
裏庭から椿を手折って花器に放り込みやっと落ち着くと、‥柄にもなく来し方行く末を思ったりする。
現世(うつしよ)では多くの課題を抱えての年越しとなるようだが、これも時代の転換期を迎えつつあるということなのだろうか。
「ミネルヴァの梟は黄昏とともに飛び立つ」とはヘーゲルの警句だが、新たな清新な時代の到来にはまだ幾度かの年越しを迎えねばならないのだろうね。
ボクは基本的にはオポチュニストなので、人間社会というものへの厚い信頼を基礎として、多くの魅力的な人生を送っている人への憧憬を自身の来し方への反省の材料とし、その方々とともに夢が語れる行く末というものを信じたいと思っている。
木工という生業も悪いものではない。
1つの職能をたゆまず鍛え上げていくという長い道筋もまた魅力的な人生であるかもしれない。
「職人さんはいいよね、どんな世相になっても食っていけるからね‥」などと言われることとは次元の異なる、もう少し深いところでのものづくりという営為が意味する尊い行為への確信であり、自然素材との交歓が意味する何物にも代え難い少しばかり幸せな関係のことである。
これを介して人と繋がることができるというのであれば、なお良いことではないか。
さて、このBlog運営も年を越え数ヶ月もすれば早丸3年になる。
自身、なんでこんなことやってんだろうと思うことも屡々。
幾人かの知人からも同じ問いを発せられることもある。
確かに、相応の力を投下しなければならないし、このBlogから受注に繋がるなどということなどめったにあるものではないので、自身の仕事においてどれだけの意味があるのかを一度まともに問うのも必要かも知れない。
単なる自己満足か ? 。
ただ、ネット社会という逃れることのできない社会状況を省みた時、木工の実践に関しては必ずしも歓迎すべき事ばかりではないという冷めた見方をしてしまうのも事実。
ボクが獲得してきた関連スキルなど大したことはないと自覚してはいるが、少しでも批評精神を横溢させ、総体の活性化とともに、若年層では必須の情報ツールとなっているネット上での木工の知の体系に少しは積極的に関与していかねばと、ある種の使命感にも似た思いで関わり続けている。(ま、時にはピエロのうら悲しさを知るのも必要だろう)
ただしかしやはりあくまでも個人的な浅学な知と浅い経験でしか記述できようもないのであって、間違いも多いことだろう。そこはぜひ慧眼をお持ちの諸先輩に修正をいただくことで、正していければと甘えたことを考えている。
同時にまた、若い方々にはこうしたネットにへばりつくことなく、足で探すことで良い作品との出会いを求め、真のスキルを持っているであろう諸先輩を訪ね教えを請うという、アナログなフットワークをこそ鍛えるべきと言っておこう。
あなたの未来はそこから拓けてくるだろう。
2008年、きっとミネルバの梟もうずき出すような成熟期へ向けた動きが見えることだろう。 ハピーに行こうぜ !
1年間のBlog付き合いの諸兄姉に深い感謝を。ありがとう。
Top画像:花器は小川幸彦、花生(竹)、椅子は杉山(ウォールナット大和)

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  • 一方的に情報や知識を受け取るだけのポジションである自身は貴兄に尊敬の念を抱くとともに、大きなコンプレックスを持ちいつもブログを開いています。
    ご自身が大きな人生の転換をされ苦労され得られた知識を簡単に受け止めてよいのだろうかと。
    座卓は何と完成近になりました。
    その後の連絡を怠り申し訳ありません。
    近々ご報告を致します。
    本年も大変お世話になりました。
    2008年も宜しきご指導下さい。

  • ぴあんさん とても良いアドバイスができたとは思えませんが、ご苦労されたのではとお察しいたします。
    「コンプレックス」とは意外なお言葉。いえ困ったお話しですね。
    雪、すごいんじゃ無いですか。お見舞い申し上げます。
    どうか今年もハピーにいきましょう。

  • 新年明けましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いいたします。
    よき新春をお迎えのことと思います。
    今年も素敵な年になりますように。
    昨年はこのブログから豊かさを戴き深謝致しております。

  • 鉋屑さん、温かいお言葉に勇気を得て、ぐぁんばっていきましょう。
    こちらこそよろしくおねがいします。

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