工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

“もってのほか”食用菊を賞味

食用菊
このところ秋雨がしょぼしょぼ、最高気温も20℃を越えない日もあり冴えなかったが、今朝は久々に高い空を眺められた。
この時とばかりにたまりにたまったおがくずをエルフに満載し隣町の牧場へと搬送。
堆肥の材料だね。
今回は全体の半分ほどがアカマツ、ヒノキのおがくずなので、牧場主(奥さま)には少し遠慮気味にご挨拶。
普段は良質な広葉樹のおがくずばかりなので喜んでもらってくれる。
この牧場に世話になり始めた頃、ウォールナットのおがくずにはその色には驚かれたようだ。
簡単に樹種について説明し、その後臭いを嗅いでもらったら懸念が消えたと見え破顔一笑。
今日の針葉樹は発酵がなかなか進まない。促進させるための薬剤を入れなければダメなのだそうだ。
そんなことにも気に掛けず、作業を終えて帰路に就く頃にはにこやかに手土産を持たせてくれた。
その袋から見えるのは赤紫色の菊の花。?フム。
「山形の田舎から送ってもらったのよ」とのこと。
いわゆる食用菊だ。ボクは調理したことがない。
さて‥と、簡単な調理方のポイントを立ち話で伺う。
湯がき方とともにお浸し、味噌汁などにも良いなどと教えていただく。
隣では昨年畜産の修行から帰ってこられたつなぎの作業服姿のご子息が静かに母親の話を聞いている。
その後倉庫へ立ち寄り、天乾中の桟干し材の屋根を直し、お宝、ミズメ樺の厚板(45mm、4m材)を数枚積み込み、帰路に就く。
車中、菊のレシピを考え考え、結局酢の物が一番かな、と判断する。、途中新鮮な鰺を求め、帰宅後にやけながら菊を冷蔵庫に放り込み、昼食の準備がてら、鰺を三枚に開き、塩で締めておく。
しかしあまりに大量な菊、隣近所2軒にお裾分け。田舎の方々だからレシピなど知らないだろうから、簡単に牧場主の話をそのまま伝える。
ミズメ樺の木取り中、その隣人がわざわざ報告に来る。「美味しかったわ ! 綺麗ねぇ」、早い !?
そして工房を閉めた後、鰺を酢洗いしさらに酢に漬け込む。
菊は萼を外し、大鍋に沸き立った湯の中へ塩ふたつまみと酢を入れ、パッと菊の花びらを放つ。サッと全体をかき回し、はい、それまで。ざるで受け、これを水に放ち、あら熱を取り、ざるで掬い、しばし冷蔵庫へ。
その間きゅうりを板ずりワカメと共に酢に浸し置き、別途三杯酢を作り、準備終了。
酢の物・鰺に菊入浴後、ビールなどを用意し、他の食材を並べ終えた後、酢の物を合わせる。は〜い、出来ました。
しゃきしゃきとした歯触り、ほの苦い野趣味。そして何よりも他の食材では叶えられない、この色だね。
(台所に立つ人ならとうにお判りのように、湯がくときに酢を入れるのは発色を良くするためのもの)
この牧場主の奥さま、山形から嫁いで来られた方だが、いつもとても良い笑顔で迎えてくれ、何かとめずらしい野菜などを持たせてくれる。
この菊、ネットで確認すれば、実は生産高は山形がダントツ一位。
何と「もってのほか」という異称が現地での通称なのだとか。
本当ですか? 牧場主のKさん。
*画像、クリック拡大。器:棚岡一二三

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  • 今朝の毎日新聞に「もってのほか」の記事が。
    このブログを思い出してしまいました。
    食品にも色々おもしろい名前があるものです。

  • ”もってのほか”毎日に取り上げられていましたか。
    さっそく〈毎日jp〉サイトで検索かけたらありましたありました。
    山形で収穫の最盛期だとか。名の由来がおもしろいですよね。
    黄色の食用菊はよく見かけますが、この赤紫のものはボクも知りませんでした。

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