Dewalt 〈DWP611〉の並行ガイド
コンパクトルーター、Dewalt 〈DWP611〉に関しては過去何度か取り上げてきましたが、遅ればせながら「並行ガイド」(Edge Guide)を導入しましたので、簡単に紹介しておきましょう。
なぜ今頃、という声も聞こえてきそうなほど本体購入からインターバルが空いてしまいましたが、これには理由があります。
1つは、この〈DWP611〉の活用場面では並行ガイドが必要とされるシーンはとても少なかったと言うことが挙げられます。
2つめとして、以前も日米電動工具の比較対照の記事の中で少し触れたことですが、この〈DWP611〉の並行ガイドのロッド位置、およびその仕様が、既に導入していたFestool社の〈MFK 700〉の並行ガイド(Parallel side fence)がジャストフィットし、これを代用することができたのです。(過去記事)
さてところが、この〈MFK 700〉の並行ガイドでは、作業内容によってはその機構上求めるセットアップができず、しぶしぶながらあらためて正規のアタッチメントとしての並行ガイドを求めることに(写真右がそれですが、緑の微調整ダイヤル部分が、本体寄りの位置であるため、これが邪魔をする機構となってしまっている)。そんな経緯でしたが、こうして正規のモノを導入してみれば、本体購入と同時に買っておくべきだったかと痛く反省するというお粗末な話しではあります。
前振りはこの程度で、この並行ガイドの特徴などを検証していきましょう。
DEWALTユニバーサル並行ガイド(DW6913)
この並行ガイド(DW6913)は、DEWALT社のプランジ式ルーターのそのほとんどに共用できる仕様のようです。
ただ、この〈DWP611〉は同社ルーターのラインナップにおいては最小のサイズで、コンパクトルーターと俗称されているものですので、当然にもヘビールーターなどとはロッドの位置関係は異なってきます。
そこで並行ガイドでは、ロッドの位置が2通りにセット可能な構造になっています(写真上)。
ここがミソですね。
ただこれもとりわけ複雑な構造であるわけではなく、単純に2ヶ所に溝が付けてあるだけのシンプルな設計です。それで十分に機能を果たせています。
基本的なフレームはダイキャストではなく鉄板ですが、さほどの難も無く、まずまずの品質と観ました。
ただ可動の定規(エッジ)部分はプラスチック製です。鉄板では精度が出せないための仕様でしょう。
しかし実用上はさほどの問題は無いでしょう。
プラスチックの定規部分の経年使用による精度劣化は、あらためてヤスリなどで平滑性を出せば再生可能というわけですからね。
もしこれが不都合であれば、木製で誂えれば良いでしょう。
微調整ダイアル(アジャスター)の秀逸さ
続いて画期的なのが、フェンスの位置設定におけるアジャスターの機構が優れていることです。
基本的な機構は他種と変わらぬものではあるのですが、ここにスプリングが効果的に用いられているところが特徴です。
一般的な機構では、本体にロッドを介して装着されたフェンスは、2本のロッドを任意な位置にそれぞれの固定ネジを解放、固定し、設定するわけですが、これだけでは適切な位置に設定することは意外と困難で、これに加え、微調整用のスクリューで狙った位置に最終設定するわけです。
ただ、このスクリューでの微調整は、スクリューのオスメスの遊びがあるために、適切な微調整は意外と難しい。
ここにスプリングを咬ませることで、ネジの遊び部分を極限的にゼロにしているのです。
決して複雑な機構ではありませんが、効果は大きなものがあるようです。
また、このアジャスターのダイアルへは10分割の刻みが施されているわけですが、なんと、1回転で1mm、刻みの1つが0.1mmというメートル単位での設計となっています。
インチが基本のアメリカ産としては、欧州、あるいは日本向け仕様であるかのような設計でありがたいではありませんか。
集塵アタッチメント
昨今、切削機能を持つ電動工具のほとんどにこうした集塵アタッチメントが付属するのがスタンダードなってきています。
私の若い頃には、そうしたものは皆無に近く、それも当たり前のように受け止めていましたが、作業者の健康を維持するためにはこうした集塵システムは必須と言って良いでしょうね。
こうしたルーター、トリマー作業における集塵機構ですが、作業者の健康維持に重要な働きを提供するだけに留まらず、切削作業そのものの作業性に大きく寄与していることをあげねばなりません。
テンプレートを用いた切削作業の場合、作業途上、このテンプレートに付着したダストでテンプレートガイドの摺動、走行が削がれてしまうことは必至です。
そこでダストが集塵されることで、この阻害要因は排除されますので、切削作業は快適、スピーディに進むことに繋がるのです。
またこれは余談ですが、テンプレートは1枚で行うのでは無く、その下にややサイズの小さい捨て板をもう1枚置くことで、ダストによる阻害を免れることはご存じの通りだと思いますが、これを併用することで、より良い作業環境が確保されることになりますね。
因みにDewalt 〈DWP611〉のプランジベースの集塵機構はとても優れています。経験上からその集塵効率ほぼ100%と言っても良いほどに吸い上げてくれます。
ところで、この並行ガイドの集塵機構ですが、どうでしょうか。
被加工材のエッジの切削というスタイルの特性上、刃物部分は開放せざる得ませんので、排出されるオガクズの3割程度の集塵効率といったところでしょうか(集塵機本体のパワーが大きく影響してくる事は言うまでもありませんが)。
上述のようにルーター本体にも、かなり本格的な集塵システムがありますので、そちらをメインとして考えれば、まぁ許せる範囲ではありますかね。
Festool社などの場合は、こうしたエッジ切削部分でもかなり本格的な機構を追求する姿勢がありますので、その差異は認めざるを得ませんがね(右写真のように、集塵補助のカバーがエッジ切削作業の構造に拘わらず、常にダスト集塵のために自由に回転する機構となっている)。
以上、簡単ですがDewalt 〈DWP611〉の並行ガイドの紹介でした。
Dewalt 〈DWP611〉はコンパクトなルーターとして、12mmの本格的なヘビールーターのサブとして大いに活躍してくれるだろうことは、これまでも紙幅を費やし記述してきたところですが、もし同様な考えで導入されていらっしゃる方であれば、お薦めしておきたいところですね。
冒頭に述べたように、この並行定規はDEWALT社ルーターのユニバーサルなものであり、たぶん国内の他の方々のBlogでも既に詳しく紹介されているものと思いますが、もし、私の考え違い、あるいはもっと他の優位点があるよ、といったことなど、何でも結構ですので、お気づきの点があればぜひコメントください。
8mm軸のカーバイドチップ ルータービット探しに暇の無いartisanでした ^^;

以下は、メーカー提供の取説からの資料引用です。

