工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工の計測精度(デジタルノギス)

ノギス
過日、名古屋の大須で木工家、材木業者など数人と酒場を探しながらの道筋、デジタルノギスを衝動買いした。
そこは大須ではありふれた間口2間ほどの小さな電材店。
時刻は夜8時を回っていたにもかかわらず、店主が一人客待ちをしている風。
その店舗の店先のワゴンに派手なPOPで「デジタルノギス、特価販売 !」とあるので、酒場の席ができるまでの間合いにちょっと冷やかし半分で覗く。
価格はなんと1,980円。ワォ ! めちゃくちゃ安い。
ホンマカイナ?使えるん、こんなんで?
手に取ってみると、確かにステンレス製の重量感あふれる仕様。
やや仕上げ精度に難が見られるものの、ボクが使うには必要にして十分な品質(かもしれない)。
1つ手にとって、暇そうなレジに座っている店主ににこやかに声を掛ける。
どうぉ。これ?
「ミツトヨだと20,000円のものだよ」(確かにそうした認識はボクにもある)
「会社の方などは、まとめて10本、20本と、買っていくよ」(なるほど)
じゃぁ、騙されたと思って1本、いただこうか。
「騙された、は無いでしょ」(笑いながら、)
というわけで買ってしまった。


これまでのところ、過酷な使用環境にも問題なく使えている。
以前、カタログ販売で外国メーカーのもので3,000円ほどのものを求めたことがあったが、これはアゴがプラスチックであったため、精度が悪く全く使い物にはならなかった。
今度のものは工作精度も良く、ステンレス製なので剛性が高い。安心して長期にわたって使えると思う。
ところで、木工加工においてはどの程度の寸法精度が要求されるだろう。
このデジタルノギスは1/100mmまで計測できるが、ボクは1/10mmの単位で十分だろうと考えている。
ただ一般のノギスでは1/10mmの目盛りがあるものの、必ずしも正確にこの目盛りに合わせるのは容易いものではない。
したがってこの1/100mm単位のノギスもこの不足を補うという意味はあるだろう。
実は視力が弱くなってきたためにデジタルに替えたのじゃないの?、との陰口も聞こえてきそうだが、いえいえ、ボクはまだまだ裸眼で1mm単位の目盛りのスケールで、0.1mmを読むことができるのでね。ご生憎さま (^_^)b
因みに画像の中の小さな奴だが、いつもポケットに忍ばせて使っている。
アゴのところを見ていただくとお分かりのように、先端はずいぶんと細く、また薄く加工している。
これは様々な加工プロセスにおいて、枘の厚みであるとか、小穴の位置の確認であるとか、様々な計測の際に、丸鋸のあさりの厚みに入るようにとの考えからのもの。したがっておよそ2mmほどの厚みに削っている。
過去何度か言ってきたが、木工とは言っても、プロダクトとしての精度を追求するというのがボクの基本的考え方。したがって工作精度は0.1mm単位で追い込む。
これには常にノギスが必須というわけだね。
*画像:上から ミツトヨ製、今回購入のデジタル表示、小型

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  • うちでも随分前から使ってます。
    ターニング関係ではインチ径とかが
    結構使われてますのでボタン一つで
    変換してくれる機能付きのデジタル
    ノギスは重宝します。
    確かに大きい表示は助かります!!
    これでソーラー式だったともっと
    いいのですけどね(高いです)

  • kentさんWoodturnerには不可欠でしたね。
    ソーラー式なんていうのもあるのですね。
    ボクは遅れていますね。恥;
    ミズナラ軸のボールペン、快適です。感謝 !

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