木工技法とデザイン
木工芸の特徴の一つとして、素材としての木は他の工芸素材にみられるような可塑性には制約があるということを挙げることができます。
そのために「指物」という呼称にも見られるように、木の造形の多くは「組んで」、「指して」、という組み手、仕口の技術を駆使することによってはじめて成立するのです。日本においてはこうした技術体系が世界に誇るべき物として、古来より歴史的に形成されてきています。
またこの素材は有機素材ということでの特殊性、すなわち木は置かれた環境、また経年変化で、反り、暴れ、伸縮しますので、木工芸はこうした有機素材ならではの困難を解決することなくしては成立しません。これも日本の木工技術体系にふまえるならば、見事に解決してくれます。
従って木工芸を展開するためには、こうした技術体系を豊富に修得し、自家薬籠中のものにすることが、ひいてはデザインの自由な展開を保証するものになるのです。
「デザインの自由な展開」について地元の家具展に出品された水屋を対象に簡単に一つの例証を上げましょう。