工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

棘との格闘

木工をしていると、手にトゲが刺さると言うことは茶飯事です。
たかがトゲ、しかし時にはされどトゲ状態になります。
侮るなかれ ! であります。
昔のことですが、かなり太いトゲが手のひらに刺さり、端末が深く潜り込みどうしようにも抜けないことがありました。
Tweezer
あまりの痛みに耐えかねて整形外科に駆け込み、メスで取ってもらったこともありました。
それから…、指先、爪の部分に深く刺さったこともありました。
これも自分では抜くことが出来なくて、この時はラジオペンチで隣人に抜いてもらったのでした。
ジャ〜ン !  そこで登場。すぐれもの Tweezer です。

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ウォールナット テーブル 制作その3

板矧ぎ
注文を受けたテーブルの大きさは 180cm×90cm 。
無垢板の天板でこのサイズを1枚の板で構成することは至難。(ブラックウォールナットで1枚ものでご希望でしたら、こんなものもありますが[参照1] [参照2])
一般に、数枚の板を合わせて(矧ぐ、と言います)希望のサイズにします。
昨日は足の痛みも引いてきましたので、力仕事が伴う甲板(天板)の矧ぎ加工を進めました。
(写真は矧ぎ加工、圧締中のもの 2枚の天板です)
簡単ですがプロセスと、圧締工具を紹介します
選木 (数枚の板を合わせ、1枚の板の如く構成するための重要なプロセス)
幅、長さのカット (適切に部位を切り取る)
矧ぎ口を取る (矧ぎ口のシャープさはとても重要。ただ真っ直ぐであれば良いのではなく、乾燥が進み、矧ぎが切れやすい木口部分をより強く圧締させるために、木端の中央部にかけて、やや透き気味に削る、などのビミョウな調整が求められる)
ボンドを用意する(うちではPIボンド[大鹿]を使います)
圧締作業
といった工程を踏みます。

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blogスタート時にはありませんでしたが、サイドバーに「Moon Phases」を表示しています。因みに昨日が闇夜であったことに気づいた方もいらっしゃるかもしれません。「新月」だったのですね。
古くは「朔」と表記していました。
「朔」(=0)、「上弦」(=7)、「望」(=14)、「下弦」(=21)、と運行していきます。(かっこ内は月相です)
工房にあるカレンダーは「月と波のカレンダー」というものです。ちょっと写真では不鮮明で見づらいですが、「月の満ち欠け」、「潮の満ち引き」、「旧暦」、「二十四節気」、「六曜」、「雑節」、「九星」、「干支」、「行事」などが表記されているものです。
月が地球に及ぼす摩訶不思議なエナジーを様々なデータで表し、それに古来からの暦に関わる情報を満載したユニークなカレンダーです。
暦

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春の椿事

今日も昨日に続いて土場での作業でしたが、思わぬ怪我を負ってしまった。
フォークリフトでの倉庫整理の最中、運転席から降りてフォーク上の材料の整備をしていた時に1本の厚板を足の甲に落としてしまい、しばらく動けなくなってしまった。
少しして、歩いてみれば歩けるので、たいしたこと無かったかと安堵し、作業継続するも、夕刻からさらに痛み始め、早めに終了することにした。
恐らくは骨折などではなく、打撲による痛みであろうから、数日で回復するものと思う。
しかしこのような負傷は何年ぶりのことだろうか。
業務を始めた頃は、毎年数回大小の怪我をしていた。
ボクの人となりを知る人は、せっかちであわてもの、という性格はバレバレですので、「最近は怪我をしない」と言えば「ウソだろう」と、信じてもらえない。
でもこれでも学習はするようで、年々、怪我が少なくなってきていたことだけは確か。
以前は骨まで達する切損事故で指を切り、手術、入院したことが2度、今回と同じように足の上に大きな材木を落として骨折し1ヶ月動けなかったことなどもあった。
いつもその時に頭に去来することは「もうこの仕事は無理だな。これで木工ともオサラバできる ウウゥーッ○×▽■@@・・・」と、うめきまくる。
しかし切損した指も何故かちゃんと伸びてきて、いそいそと仕事に追いまくられる日々が訪れていたりする。
良く職人の間で流布する物言いの一つとして「怪我は職人の勲章」などと言ったことがあるが、これは決して褒められたことではない。
恥であれこそすれ、勲章などであろうはずはない。
木工という業種は他と較べれば危険性が高いことは確か。
これは業態の特性からくるものだ。高速回転する剥き出しの刃物。大きく重量のある被加工物。
同時にまた、生産性、利益率の低い業種であるがための余裕の無さ。
こうしたことを背景とする劣悪な職場環境がもたらす安全面での高いリスク。
でもやはり、優れた職人は怪我はしない。今回のような負傷も、まだまだ半人前という証左か。
なお、ついでに付け加えたいことがある。怪我ではなく疾患に関すること。
木工業特有の職業病として、「気管支疾患」というものをぜひ注意されたい。
ボクは若い頃は美声(?)でしたが、今はだみ声。時には思うように言葉を発することができなくなることもある。慢性の気管支炎だ。定期的に呼吸器科のドクターに見てもらっているが、気管支拡張剤を処方してもらうだけで、手の施しようは無いそうだ。
これは数年前のある時、突然発症したものだったが、他に思い当たる原因はないので、明らかに工場での作業によるダストからくるものなのだ。
罹患する以前は木の埃など、自然有機物だから平気だろうと高をくくっていたのが間違いだった。
ぜひ関係者の皆さまも、しっかりダスト対策をしてください。
マスク着用。換気扇の整備。ダストコレクターの整備。
それに安全靴を履きましょうね。(自分に言い聞かせましょう)

春風に誘われて、外作業

桟積み
4月下旬並の暖かさ、に誘われて鼻歌交じりにトラックでドライブ。目的地は土場。
工場の周囲には土地が無く、少し離れたところに材木倉庫を構えた土場(材木の乾燥場のことを称する)があります。今日はテーブルの天板の材料出しです。
家具に用いる材木はしっかりと乾燥されていませんと使えません。
さっそく3年前から天然乾燥してきたブラックウォールナットを取り出してみました。
おそるおそる含水率計を当てました。
ウキウキ、嬉しさは春の陽気からのものではなく、その数値からです。1寸5分(≒45mm)の厚さなのに、何と13%を切る低い数値を示してくれました。

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「マルチコピー」使用感

3/4日付けでエントリーした、コンビニ「セブンイレブン」でのコピー機事情「マルチコピー」ですが、今日試みにデータを送り、プリントアウトしてみました。
結果はまずまずでした。簡単に報告します。
7-11コピー機
<まず自宅での操作>
ユーザー登録(登録は無料)→ローカルコンピューターから、データーを送る→「8桁のプリント予約番号」が返される(この予約番号はメールで送られるのではなく、ブラウザ上で瞬時に送り返される)
<店舗「マルチコピー機」での操作>
操作パネル(タッチパネル→写真)から予約番号を入力→データ取り込み→表示された金額を投入→プリントアウト
・・・といった簡単な操作でした。
7-11パネル

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ウォールナット テーブル 制作 その2

blogをはじめましたのでworkshop diary 的に、テーブル制作のプロセスを記述してみたいと思います。(断片的な内容になることはあらかじめお断りしておきます)
テーブル脚 ほぞ
【テーブル脚部】
ほぞ穴を穿ったところ。未だ成形する前なので、形状が見えてません。
ご覧のようにほぞ穴は2ブロックになっていますが、幅広の幕板(天板を支える板)を堅実に接合させるためには、このような配慮は重要なところ。
(2列のものが「2枚ほぞと称するのに対し、こちらは「重ねほぞ」と言うのでしょうか)


【幕板のほぞ加工途上】
テーブル 幕板
今回はテーブル2台分の加工なので、ほぞ加工作業はホゾ取り専門機械ではなく、汎用機の傾斜盤にて加工を進めています。

テーブル幕板ほぞ加工

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ウオールナット テーブル の制作


何やら1本屹立していますが、これはテーブルの脚になる部品。
数日前からウォールナットのテーブル制作を開始しました。
制作の経緯でも写真付きで記述するのも一興と思い立ち、デジカメ片手に工房に入ってます。
写真にもあるように、脚部のデザインはややテリ脚になっていますが、同時にまた傾斜していることが見て取れます。
これは「四方転び」という独特な脚部の構造を示すものです。
長手、妻手、両方向に傾斜させています(この場合は同じく 4°)
「四方転び」は構造力学的にも、視覚的にも構造上、安定感をもたらしますので、ボクは良く用いる手法です。

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コンビニ最新コピー機事情

ネットプリント
コンビニ業界の年間売り上げが、百貨店のそれを越えたということがニュースになって早 数年が経過するが、工房の立地点は東名高速道路ICに向かう幹線道路に近いこともあって、ひなびた郊外であるにもかかわらず3Kmほどの距離にコンビニエンスストアが5個所もある。
日中でもどこもそれなりに客は入ってる。
ボクはこうしたコンビニを利用することはほとんどないが、唯一例外があって、コピーサービスの時だ。
おうちコピーはB4サイズまでなので、カラーおよびA3サイズの図面のコピーは自転車で数分の距離にあるセブンイレブンのコピーサービスを利用している。
今日も久々に利用させてもらったが、機種が更新されていた。基本的コピーサービスの機能変化があったわあけではないけど、デジカメプリントがこのコピー機械でできるというものだったのでちょっと驚いた。「マルチコピー」と称するのだそうだ。

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陶額との格闘


他の工芸作家との共同製作は、日常の業務範囲を超えた難しさと楽しみが同居した魅惑がある。
写真は陶芸家「棚岡二三四」さんの陶板を額装したものである。
この陶芸家とは以前蒲郡プリンスホテルで2人展をしたことがきっかけで、親交させていただいている。
正直申しますと、女性の陶芸家、ということで紹介を受けたときはあまり乗り気にはなれなかったのですが、作品を拝見したとき、その誤解は理不尽だということにすぐ気づかされたのでした。女性性を売りにしたような作風かな、などと想像していたものの、何の、それは見事な焼き締めによる作品群なのでした。

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