工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木口表情の豊かさ

ローズウッド木口面
画像は、ローズウッドの24〜30mm角材のたくさんの木口面。
単独の樹種ではあるものの、なかなかおもしろい表情だと思った。
よく見れば分かるように3種のサイズがあるが、Pull、抽手の素材だ。
これをデザイン画、下孔径のサンプルとともにロクロ屋さんに持っていき、成形してもらう。
いつも100個単位ほどで挽いてもらうのだが、これまでの在庫が底を見せ始めていたために、新たなデザインとともに3種を相当数づつ合わせて200個ほど挽いてもらう。
このローズウッドはすばらしい色調を持つ良質なものなのだが、かなりの頻度でカナスジ(鉱筋)を形成しているので、加工の難易度が高い。
つまり直ぐに刃物が傷む。(画像内で白く筋状に見える)
したがってロクロ屋さんからは忌み嫌われる材種ではあるのだが、懇意にしているSさんは、そんな顔は全くこれっぽちも見せずに、喜々として完璧な形状、かつ完璧な寸法精度で、数百個単位を見事なまでに削り出す。
職人とはかくあるべし、という見本のような人。
さてところで‥‥、このローズ木口の集成画像、見たことのあるイメージと頭をかすめた人。
あなたはかなり家具インテリアに造詣が深いと言えるかも知れない。
恥ずかしながら、小生は造詣に浅く、デザイナー、メーカー名も失念してしまっている。
実を言うとロースウッドではなく、ウェンジだったと記憶しているが、このように木口の集成材をテーブルトップとして用いた著名なセンターテーブルがあった。
単に表面硬度を確保するというだけではなく、むしろ木口の表情の多様さ、色調の豊かさを活かして魅せるデザインをねらったものだね。
濃色材を用いることでとても印象深く、また風格と高級感を見せるものだった。

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  • ペンなどを作ってるとこのくらいのサイズの端材が
    出てしまいます。ついつい、もったいないので
    とっておくと、箱が一杯になりますわ。
    でも、ふと、ちょっとした部品を作るときに
    役に立つんですよね。
    もったいないのお陰で端材の山のkentでしたー。

  • kentさん、その節は自作のペンをいただきましたね。
    手垢で(?)、良い感じになってきました。
    なるほど、手頃な端材が出るというわけですね。
    木口面を活かしたトップを作ってみるというのも端材利用法の1つかもしれませんね。
    共材を基本としながらも異種材を含めることで象嵌のように描く、なんてね。

  • FWW誌205号(今のひとつ前の号)に、このテーブルトップの
    作り方が特集されていました。
    先日、BS-TBSの番組で箱根寄木細工をお盆に挽く話がありました。
    いずれにしても根気のいる作業です。

  • おぉ、確かに‥‥「End Grain Up」というタイトルで詳細なリポートがありますね。
    無論、数ヶ月前に見ていたもののはずを、失念している。
    ちょっと相当ヤバイレベルの痴呆かも‥‥。
    (記事中のセンターテーブルとは違いますが)
    ここでは様々な樹種を混合させて構成していますが、やはり単一樹種の方が渋くクールなのではと、ボクは思いますが。
    acanthogobiusはどう思われます?
    しっかし、この暑さ、頭が膿んできそうで思考が定まりませぬ。。。

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