工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

メディアなどから見るJames Krenov氏の訃報(続々)

James Krenov 没後1月が経過した。

仏教徒ということではないが今日は月命日というわけだ。
これまでJK氏の訃報に関わる関連記事を3回ほど上げてきたが、ネットをリサーチしていてあらためてその影響力の広さ、強さに感慨を新たにしている。

無論その弔意は、事の性格上、敬意と親愛に満ちたものであることは当然にしても“20cで最も有力な木工家だった”とするような表現も散見されるなど、最大級の弔意の表明となっている。
また少なくない数で昨年5月に鬼籍に入ったSam Maloof氏と相並ばせての訃報が見られたのも特徴的だった。

しかしこれはその作風はもちろんのこと、その姿勢、思考、木工界に与えた影響などは大きく異なるものと考えるボクなどには、少なからず違和感を覚えるものではあった。
『San Francisco Chronicle』

さて、前回以降、メディアからの評伝として上げておくべきところは、『San Francisco Chronicle』ぐらいか。
家族からの情報でJK 死去の前後が少し明らかにされている。
この新聞情報は決してボクが見逃していたわけではなく、9月30日付(ネットでは)のものである。
この記事のコメントには、どうして訃報に3週間も掛かるのか?とシニカルなコメントを寄せている。この新聞は日刊だったはずだしね。
既に前々回に取り上げた、動画を含むインタビュー記事を上げた新聞であるにもかかわらず、であるのでコメント氏の訝りは不当なものではないだろう。
詫びのしるしというわけではないのだろうが、大きなサイズでの近影、作品写真が置かれている。
JK晩年の写真

なお、近影ということでは、 College of the Redwoods の学生だった人のJKワークショップ訪問時の写真が上げられている。
恐らくは視力傷害を負う最晩年のものと思われる頃の作品と共に納まった良い状態の写真だ。いわゆる写真投稿サイトと思われるが、寄せられているコメントも良いね。
なお、アメリカ本国を除けば英国、オーストラリア、フランスなど、 決して多くはないものの数カ国から訃報があげられていた。
ほとんどはThe Newyork Timesなど大手メディアを引用するものだったが。

『Australian Wood Review』
タイトルは「The Nonconformist」というから奮っているね。
「KY=空気を読め」と言われる昨今の日本の社会状況は、いくつかの鼻白むおかしな風潮の1つとして相容れたくないボクには、この記事を貫くJK固有の木工家具への取り組み方の独自性、魅力の数々を敬意と親愛に満ちた内容で書かれていることによって、Nonconformistという表現が決して非難めいたものなどではなく、親愛の情に裏付けされたものであることを確認し、ひとりほくそ笑む。
執筆者はCollege of the RedwoodsでJKに師事した人のようだ。

Sawmill Creek > General Woodworking and Power Tools
また、あらためて注目させられたのだが、米国においては木工に関係するフォーラムというも のが数多く組織され活発に活動していて、それらからJKへの親愛なる弔意が示されていることに感銘を覚えた。
ここでは、JKがダボ接合を基本としていたことへの議論が活発に展開されている。
あらためてご冥福をお祈りします。

* 過去関連記事
James Krenov氏、訃報(09/09/11)
メディアなどから見るJames Krenov氏の訃報(09/09/14)
メディアなどから見るJames Krenov氏の訃報(続)(09/09/21)

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