馬蹄形のアームチェア
椅子づくりは楽しくも、やはり難しい。
その難しさにはいくつものことがあるが、やはりハコモノではあまり無い、三次元の造形が絡むというところに、大きな難しさと、楽しさがある。
案の定と言えば言い訳がましくもなるが、組み立て最後の段階で、ホゾとホゾ穴の位置関係が微妙にずれているとに気づき慌てた。
その差異わずかに数mm単位ではあるが、少し無理強いして組んでしまう。
このズレだが、画像のように座と、摺脚の馬蹄形の成形における、乾燥後の歪みで生じたものと考えられるね。
曲げ木とは異なり、一定の圧締時間を静止させておけば安定するはずのラミネート成形だが、やはり経過時間により、わずかの偏倚が生ずるというわけだ。
下の画像は、いくつかの加工プロセス。
順番に
- 座枠の留カット
- 背束(立て物)の矧ぎのための雇い核(ビスケットジョント)加工
- 同、Lamello 4°傾斜角設定
- 核加工の終わった、2枚の背束
(+ 座枠にも隅木のためのLamello加工)
この留め加工後にフィンガージョイントの加工に移る、予定だったが、
勘違いして(暫くやっていなかったので、うっかりと)伸びをみずにカットしてしまった。
仕方が無いので、裏からチキリ(おしゃぶり)を埋め込むことで解決
むしろ、フィンガーより接合度ははるかに高い(と言いつつ、正当化する)
(このチキリ加工は、馬蹄形+円弧状の前台輪のため、角度設定などにおいて困難を極めた)
この工程を紹介したのは、Lamelloの活用法のため。
つまり背束は中央で中折れの構成となっており(背束に緩やかなカーブをもたらすための処理だね)、それぞれ4°の傾斜角で接合されるのだが、こうした加工方法はLamelloの得意とするところだ。
因みに、この後、内側の矧ぎ口には、切り面を付けておく(外側はサスリで緩やかに削り込む)
切り面を付けるのは、少々矧ぎ口がずれても美しく見せるためのものワザだが、美的意匠と捉えても構わんだろう(これは正当化ではなく、あくまでも加工上の智恵を意匠的に昇華させたものだ ← ものは言い様だ)。