工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木材供給の変容を憂う秋

工房
スーパーの棚には松茸と栗が並び、ゴーヤはさすがに隅に追いやられている。
個展を前にした追い込みで遅くに工房を出れば、虫たちがさんざめいている。
いつのまにかすっかり秋が深まっていた。
週末に掛けて雨模様だそうで、今日の工房はとても蒸し暑かった。
Tシャツを数枚着替えたのも久々だ。
今日は高所作業の際、うっかり脚を踏み外し、腰をしたたかに打ち付けてしまった。
古傷がうずくというか、若い頃にぎっくり腰をしているので、これが再発するとチトヤバイので心配だが、しばらく安静にしていたら仕事を再開できるほどだったので安堵する。
展示会への出展作の制作も今日で全て終わった。
楢のチェストの甲板の木取りにややてこずってしまった。
気付くのが遅かっただけだが、耳の部分の大きな虫穴を取り切れず、それに代わるあらためて別の巾広の材を探すのに一苦労。
昨今、楢と言えば、流通しているのはもっぱらロシア極東産のものばかり。
昔入手した道産の楢も、徐々に底を突いてきている。
ロシア極東産のものも良いものもあるのだが、やはり道産のものと比較すると明らかに質感、色調、品質は異なる。
寂しい限りだね。
いつも思うのだが、概して材木というものは国内産のものの方が品質が高い。
楢も、タモも、クルミも、他のほとんどの材種において同じようなことが言えるのではないか。
地球上の植栽を考えたとき、南北の極では異なるが、緯度が同じであれば、基本的には同じような材種が生育しているようだが、なぜか、それぞれ品質が違うようだ。
これには様々な要因が考えられるが、まず何よりも気象の違いなのだろう。
これについては門外漢なのでこれ以上の記述は控えるべきだろうから言わないが、何故か良質なものが日本にあった(あえて過去形にしなけれねばならないのだろうか)ことは関係者としては誇りとすべきと思う一方、枯渇してしまっている状況を考えれば、逆に関係者としてはその責任の一端を担わねばならないとさえ感じてしまう。
うちの使用量など微々たるものであるに過ぎないが、これは使用量の多寡において論ずるべきものでもないだろうからね。
ボクなどは既にかなりの在庫を抱えているので必ずしも直接的な不安材料ではないが、今後の世代のことを考えれば、やはりそれまでの受益者としてみれば関心下に置くわけにはいかない問題でもある。
Top画像は今日の工房スナップ

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