工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

冬の光

鉋掛け
この時間、まだ夕刊が届かない。
新聞への信頼性は地に落ちて久しい、との思いはあるものの、やはり読めないというのは精神衛生上とても悪いようだ。
地方紙、静岡新聞が何か印刷ミスとかで配達が遅れるとのプレスリリースを出しているものの、本当の理由は解らない(併読している全国紙もあおりを受けて配達されない)。
よほどのチョンボを出して読者の眼に触れるのを避けたかったのだろうか。
ま、そんなことは読者にはどうでも良いこと。
さてところで今日の話題は冬の光。
我が工房は東、南、西の3方に窓があり、日の出から日没まで日射しが入る。
木工の仕事場の採光については様々な考え方があるようだが、ボクは良質な木工をするには採光はとても重要な要素だと感じている。
確かにあまりに強い光を取り込むことで、加工材への不均質な乾燥による変質、塗装工程でのムラ、など悪影響は無視できるものでないかも知れない。
それでもなお、採光は重要だ。
特に冬のように日射しが弱く、また日射時間も少ない時期には太陽光をしっかりと活用したいものだ。
これは何も作業者の作業環境のみを問題にしているのではなく、加工材・木材の表面精度、テクスチャーの判定というものに採光は必須の条件になるからである。
以前サンディング作業のエントリの時にも書いたことだが、仕上げの品質のチェックというものは意外と難しいもの。多くの新人はほとんど理解していないと考えた方が良いだろう。
それを理解させるには、太陽光の下でその切削面、研削面を透かして視ることだ。
少しは木という素材が持つ固有の表情を理解する者であればたちどころにその品質を見破ることができるだろう。
鉋掛けであれば、鉋まくら、刃の欠け、あるいは取れていない逆目なども歴然とするだろうし、サンディングであれば、高精度に掛けられた表面であればシャープにその材色固有の色が出ているはずである。
不十分であれば白くぼけていたり、ムラになっているもの。
手で触れてすべすべしているからいいだろう、というのはほとんど基準たり得ない。
なお人工の照明で代替できそうに思えるが、これがなかなか微妙。
うちは水銀灯と蛍光灯、そして部分的なスポットライトとして白熱灯を使用しているが、いずれも太陽光に代替できるほどに自然光に近くは無い。
そんなわけでこの冬の時季、陽の光は遠慮気味で弱く、しかも日照時間が短い。
したがって仕上げチェックは日射しのある時間帯をねらってすることにしているが、お天気にも影響されるのでストレスばかりがたまっていくことになるんだな。
今日は朔。いわゆる闇夜の新月だね。
かと言って狼になるほどの元気もないし、夕刊も来ないようだし、今日はふて腐れて布団にもぐっちゃおうかな。、

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