工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

栗の巨樹を愛でる(拭漆栗・書斎机の制作)その3

長手方向、3本の桟

上の桟は幅一杯に蟻桟が施されます。ここは上部が開放していますので、シンプルな蟻桟。

ただ、左右の脚部には天板の吸い付き蟻桟が落とし込まれてきますので、この吸い付き蟻桟にも上部の桟の蟻桟が効くように蟻枘を施します。(やっかいですが、強度確保のためには重要なポイント)

かなり厚めの後ろ脚ではあるものの、天板の吸い付き桟が納まる部位で、5枚組手のとような構造で、長手方向のアリ䙁が納まるところは少し薄いものになっており、これだけで2.6mの部材を支えるのは無理があるからです。
左右の脚部に穿った蟻枘と、ここに落とし込まれてくる天板への太い吸い付き桟の部材に穿った蟻枘の2つが、この長手方向の上桟を受け、堅牢な構造体となります。

この上部の蟻桟の下辺に穿った小穴から、デスク前面のパネルが垂れ下がる構造。
因みに、このパネルですが、天板を再製材する際の落としを用いました。
元々1m幅の材ですので、立派な追柾の木理が穫れ、2.6m長さの上下2枚で構成します。こんな材を新たに他で求めようとしても、たぶん、無理でしょう。

因みに、この2.6mの数本の桟を含め、脚部などのフリッチに近い厚板は別途、松井木材で調達。
いつもこんな難しい相談を快く受けて下さるのが松井さんですが、この度も、木取り表を渡し、ほぼその条件を満たす材を取り揃えてくれたものです。
次回に紹介させて頂く、このデスクのワゴンに供する栗材も同じく用意していただきました。

次ぎに下の桟ですが、意匠的な配慮から2.6mの横幅全域に流すパネルの下に見せるのは避け、パネルの背後に隠し、全体をすっきりと見せることとしました。
この背部に隠した下桟の枘は脚部側は閉部位であり、送り寄せ蟻です。

上下の桟と中央の平角の脚部とは相欠きで接合(ボルトなども併用)。

もう1本の足掛けにあたる桟ですが、これも左右の脚部とは寄せ蟻で接合。

加え、ここが重要なポイントになりますが、中央の持送り部位には120kgほどの天板の重量、および使用者のもたれかかる体重などにも耐えさせねばなりませんので、この中央の脚部が跳ね上がるモーメントを抑える構造が求められ、そのため、この足掛けの中央部と平角の中央の脚部を接合させることが求められます。

この耐力が無ければ、中央の脚部は天板の前垂れモーメントに引きずられ、やがては跳ね上がってしまいかねません。
また、この部位の[持送り]ですが、使用者の膝等と干渉しないよう、大きく削り込みます。
中央の柱と持送りの接合の仕口は蟻(この場合、現場設置における結合プロセスからテーパーの蟻桟)
なお、面形状ですが、兜面。

なお、この足掛けの貫と中央の柱の接合ですが、一般的な枘では耐えられない可能性もあり、やはりここも寄せ蟻で接合。
ただ蟻成形ですが、繊維方向を考えると無理が生じ、簡単にもげてしまいますので、雇いの蟻枘(つまり、鼓型のチキリ)です。

hr

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